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人手不足の現状は?解消・人材確保の方法についても

コラム

人手不足の現状は?解消・人材確保の方法についても

2023/08/10
今、日本の至るところで「人手不足」という声があがっています。人手不足は企業経営において深刻な問題のひとつです。人材が不足していれば、スムーズな業務の遂行や事業の拡大が難しくなるほか、業績の悪化や企業存続の危機にもつながるおそれがあります。
 
日本では少子高齢化が進んでおり、今後はさらに労働人口が減少し、慢性的な人手不足状態が続くことでしょう。人手不足の解消、人材確保はどの企業にとっても関係する重要な課題であり、早急に対策を講じる必要があります。

今回は、日本における人手不足の現状や、人手不足解消・人材確保の方法についてです。


有効求人倍率について

まず、日本の求人についての現状を見ていきましょう。厚生労働省によると、2023年6月の有効求人倍率は「1.30倍」でした。前月を0.01ポイント下回り、2か月連続で減少しています。新規求人倍率は2.32倍となり、前月を0.04ポイント下回りました。正社員有効求人倍率は1.03倍となり、前月と同水準となりました。

有効求人倍率:求職者1人に対し何人分の求人があるかを表す。数値が大きいほど、求人に対して人手が足りていないことを示す。


6月の有効求職者(仕事を求める人の数)は前月から0.6%増となりました。一方で、企業からの新規求人数は前月から2.8%減少、前年同月と比較すると2.1%減となりました。産業別で見ると、「製造業」は前年同月から11.0%の減少となり、「建設業」でも7.2%の減少。そのほか、「教育、学習支援業(2.6%減)」などで減少しました。他方で、「宿泊業、飲食サービス業(1.3%増)」「医療、福祉(0.9%増)」「学術研究、専門・技術サービス業(0.8%増)」で増加が見られました。

物価高を受け仕事を求める人の数が増えた一方、原材料の価格が高騰している影響などから、製造業を中心に新規求人を控えているのではと見られています。




日本における人手不足の現状は?

日本における人手不足の状況はいかがなものでしょうか?帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によれば、2023年4月の正社員の人手不足企業の割合は51.4%、非正社員では30.7%でした。

人手不足を感じている企業の割合の推移は下記のようになっています。コロナ禍により企業の人手不足感は一時的に収まったものの、その後は緩やかに上昇し、2022年後半以降は正社員・非正規社員ともに人手不足状態へ戻っていることが見て取れます。

<人手不足を感じる企業の割合(%)(正社員の不足/非正社員の不足)>
  • 2023年4月 :51.4% / 30.7%
  • 2023年1月 :51.7% / 31.0%
  • 2022年10月:51.1% / 31.0%
  • 2021年10月:43.8% / 25.1%
  • 2020年10月:34.0% / 19.0%


また、人手不足の状況は業種によって異なります。以下の業種は、従来より慢性的に人手不足であるとされています。

<正社員>建設業、運輸業・郵便業、医療・福祉
<非正社員>宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽


人手不足は社会情勢や景気等によっても左右されます。前述の帝国データバンクの調査(2023年4月)の正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」が 75.5%で最も高く、6カ月連続で業種別トップと、深刻な人手不足が続いていています。次いで、近年のニーズに対するIT人材の不足感が目立つ「情報サービス」(74.2%)が続きます。さらに、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が設けられることで輸送能力が不足する可能性が懸念されている「物流2024年問題」が注目を集める「運輸・倉庫」(63.1%)も高い数値となりました。

非正社員では唯一8割を超えた「飲食店」(85.2%)がトップに。飲食店に次いで高い数値を記録したのは「旅館・ホテル」(78.0%)と、正社員・非正社員ともに人手不足感が目立ちます。また、「飲食料品小売」(58.7%)や「繊維・繊維製品・服飾品小売」(52.0%)など小売業も複数が上位に。コロナ禍で人員調整を行った業種が、以前まで回復していない状態が続いていると言えるでしょう。


人手不足解消・人材確保の手段は?

事業の継続や拡大のためには、優秀な人材の確保することが必要不可欠です。しかし、今は売り手市場であり、企業間で人材獲得競争が激化しています。人材を確保するためには、求める人材像を言語化して採用ミスマッチを減らし、自社に合った求人の掲載媒体を選びましょう。そのほか、人手不足解消・人材確保の手段としては以下のようなものがあります。

◼︎自社の定着率を上げる
人手不足を解消するには、離職を防止し定着率を向上させることが重要です。定着率を上げる方法として、以下のようなものが挙げられます。
  • 新入社員の受け入れ体制を整える
  • 適切なタイミングでの配置転換
  • 教育制度の見直し
  • 適切な評価制度を運用する
  • 社内のコミュニケーションを円滑にする
  • 給与を上げる仕組みを作る

◼︎柔軟な働き方に対応する
勤務日数や時間、勤務場所、雇用形態など、各企業で多様な働き方が選択できる環境を整えています。時短勤務や在宅勤務、副業やダブルワークを承認・推奨したり、コアタイムをずらしたりと、時代にあわせて雇用形態の幅を増やすことで、採用の間口を広げることができます。働く人のワークライフバランスが充実すれば、ストレスや疲労、離職を予防できるほか、効率性・生産性の向上にも繋げられるでしょう。


◼︎候補者の対象を広げる
資格や経験の有無、必要経験年数、担当プロジェクトの規模、使用言語など採用条件を見直しましょう。必要性を検討し、不要な条件を取り除くことで採用の間口を広げられます。

また、高齢者や外国人の雇用も視野に入れることで、人手不足の改善につなげられます。高齢者の雇用は、豊富な経験や広い人脈を持つ人材の確保、助成金や税制上の優遇といったメリットがあります。外国人の雇用を増やすことは、言語など日本の人材だけではカバーしきれない課題を補えたり、ビジネス商圏を拡大するチャンスに繋げられる可能性を高められます。


◼︎業務内容・業務プロセスの見直し
業務の中に、実は必要性のない仕事が含まれていたり、リソースと業務量が適切でなく業務過多となっていることがあります。能力がある人に業務が集中してしまい、結果的に優秀な人材が流出してしまい、人材不足となっているケースがあります。こうした事態を避けるため、日頃の業務にムダや無理が無いか見直し、不要な手順を省き、効率的な業務プロセスに改善します。

慣習的に続けている業務は無いか、複数人で同一の業務を行っていることはないかなど、あらゆる視点から業務内容を見直します。そして、業務をマニュアル化したり、ITツールを導入して業務を自動化することで効率化を図りましょう。また、外注やアウトソーシングを活用すれば、社員がこなすべき業務を減らせて、時期による業務量の変化などに柔軟に対応できるようになります。必要があれば専門のコンサルティング会社などに依頼して、定期的に業務内容・業務プロセスの見直し、改善をしていきましょう。



いかがでしたでしょうか?

現在、あらゆる業界、企業で人手が不足しています。企業は人材確保に向けて採用に力を入れるだけでなく、業務の効率化や教育・研修制度の充実、多様な働き方の実現などを進めることで社員満足度を高め、定着率向上をはかっています。

生産性向上や業務効率化を図るためには、事務処理や会計業務、人事管理などのITツールを利用したり、外注・外部に依頼するなどして業務改善する方法が挙げられます。外注・外部による業務改善は、専門的かつ客観的な目線で行われるため、より無駄の業務を省けたり、コア業務に集中できたり、金銭的・時間的・人的コストを削減できたりといったメリットを得られます。「人手が足りない」とお悩みの場合は、ITツールやアウトソーシングの活用を検討してみてもよいでしょう。

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