SAF(持続可能な航空燃料)とは?概要や国内外の動向について
2023/07/21
気候変動による地球環境への影響は多岐に渡り、様々な自然災害を引き起こし、生態系や農作物へ悪影響を及ぼしたりしています。気候変動問題解決に向けて世界中で取り組みが進められており、近年では化石燃料の消費によるCO2排出量増加に対する対策が講じられています。
特に、航空機は輸送重量あたりの燃料消費量が桁違いに大きく、最近では「飛び恥」という言葉も登場しています。航空各社で燃費の良い機体の採用やエンジン洗浄など、燃料削減に取り組まれてきました。昨今では、乗客などがカーボンクレジットを購入するサービスや、航空会社によるカーボンクレジット利用なども行われています。
こうした中、CO2削減のために航空業界で注目を集めているのが持続可能な航空燃料 「SAF」です。
今回はSAFについて、概要や国内外の動向についてまとめていきます。
持続可能な航空燃料 (SAF)とは?
SAF(サフ)とは「Sustainable Aviation Fuel」の略で、「持続可能な航空燃料」のことを指します。植物や藻類、廃材、飲食店や家庭などから排出される廃食用油、廃棄される動物の脂などを原料とするバイオマス燃料や、グリーン水素(再生可能エネルギーを利用して作られた水素)を利用した合成燃料などがSAFです。
SAFは持続可能な原料から製造され、化石燃料と比較すると約80%の二酸化炭素排出量を削減できる点が大きな特長です。さらに、化石燃料と混合して使用することができるため、既存の航空機や給油設備などにそのまま使用できるという利点もあります。
このSAFの製造・利用を拡大することで、航空業界として二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指しています。航空機のCO2排出量は人類全体の2〜3%にも及ぶとされ、航空業界ではCO2排出軽減の取り組みが求められています。
国際民間航空会社の団体である国際民間航空機関(ICAO)は2022年10月に、国際航空分野で2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする長期目標を採択しました。航空機によるCO2排出量削減には、SAFの導入推進が有効的とされ、この目標においてもSAFの開発・増産などの加速化を必要としています。
※SAFの概要や注目されている背景についてはこちらの記事でも触れています。
国内のSAF関連の動向は?
日本では、2030年までに国内の航空会社が使用する航空機の燃料のうち10%をSAFに置き換えることを目標にしています。
経済産業省は2023年5月に、石油元売り業者に対して、国内の空港で航空機に給油する燃料のうち、少なくとも1割を2030年からSAFにすることを義務づける方針を示しました。違反した際には罰則も設ける方向とのこと。石油元売り業者に義務付けることで、目標をより確実にしたい考えからであり、違反した際には罰則も設ける方向とのこと。
日本が掲げる目標達成に向けて、国内のSAF需要は国土交通省によると2030年には約171万キロリットルまで拡大するとみられており、国内生産のサプライチェーン構築が急がれています。しかし、SAFを国内生産するにあたっては、廃食用油や農産物などの原料が膨大に必要となり、安定確保の課題が残っています。
東京都では、2023年に「廃食用油回収促進に係る事業提案」を公募し、下記の通り事業を採択しました。SAFの原料となる廃食用油回収の拡大、そしてSAF製造へつなげる新たなサプライチェーン構築の後押しを目的としています。
・都内店舗を回収拠点とした専用容器による未利用資源(家庭系廃食用油)の回収・リサイクル等事業
1)回収専用容器(リターナブルボトル)による家庭系廃食用油の回収
2)廃食用油のリサイクル(石鹸・インク溶剤等の製造及び将来的なSAF燃料への研究・開発)
3)回収拠点店舗を活用した消費者(都民)への周知活動
事業者:株式会社イトーヨーカ堂
・日本初の国産SAF大規模製造に向けた廃食用油回収促進事業
1)家庭系廃食用油の回収
2)SAF製造・利用に関する教育活動
3)SAFイベント・キャンペーンの実施
4)回収した廃食用油のSAF利用可否に関する検討
事業者:日揮ホールディングス株式会社、コスモ石油株式会社、株式会社レボインターナショナル
また、国内の航空会社でもSAFの製造や導入に向けた取り組みが進んでいます。ANAではSAFを使用した定期便の運航がすでに行われています。また、JALでもSAFの国際線定期便への搭載のほか、国産SAFの商業化へ向け、国産SAF2種類を同時に搭載したフライトの実施(2021年6月)などが進められています。
海外のSAF関連の動向は?
◼︎アメリカ
アメリカでは2021年9月に、2050年までに航空部門で使用される燃料の100%をSAFに置き換えるという目標を発表しました。この目標達成に向け、2022年9月に米国エネルギー省(DOE)が具体的な工程表を発表しています。なお、SAF100%化の目標発表と同時に、2030年までに年間30億ガロンのSAFを生産・利用する目標も掲げられました。
また、2022年8月に成立した「インフレ削減法」では、SAFの生産などへの助成金および税額控除の資金として、今後4年間で2億9,000万ドルの予算が充てられました。
◼︎EU
EUでは2050年までにゼロエミッション(温室効果ガス(GHG)排出量ゼロ)の達成を目指し、様々なSAFの導入促進が行われています。
2023年4月には、欧州議会と欧州連合(EU)理事会によって、欧州の航空会社に対しSAFの使用目標を義務付けることが合意されました。EU域内の空港に航空燃料を供給する企業は、SAFの割合を2050年までに70%に引き上げるよう義務付けられました。2025年には2%、30年には6%、35年には20%、50年には70%と段階的に引き上げられます。
また、SAFに含まれる「eフューエル」と呼ばれる合成燃料の割合についても、30年からは燃料の1.2%、50年には35%とすることが義務付けられました。
また、化石燃料とSAFとの価格差を補うことを目的に、2022年12月に2026年までに無料許可証を段階的に廃止すること(24年には25%減、25年には50%減予定)が合意されました。EU域内を運航する航空会社は、CO2排出に対してEU炭素市場から交付される許可証の提出が求められ、現在は大部分の許可証は無料交付されています。今回の合意により航空会社はCO2排出許可証取得に支払いが必要となりますが、SAFを使用する航空会社には24-30年に2000万件の許可証を無料で交付するとのこと。
いかがでしたでしょうか?
今回はSAFについて見てきました。
気候変動問題の解決に向けてはカーボンニュートラル社会の実現など世界中でアクションが進められています。その一環として、航空部門のCO2排出削減策として注目を集めている「SAF」の活用、そして開発促進が至る所で進められています。
現在、SAFの国内生産にむけて、航空会社以外の企業でも取り組みが進められています。従来の化石燃料から大幅にCO2削減を可能とするSAFは、今後さらに重要性が高まり、各社による動向に注目が集まることでしょう。SAFに関して何らかの取り組みを検討しているという方は、ぜひ当社エコ・ブレインとともに取り組みませんか?
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