電子帳簿保存法とは?対象書類や適用要件など
2023/07/07
1998年7月に施行された電子帳簿保存法は、ペーパーレスやデジタル化の推進などの流れに応じて度々改正が行われてきました。直近の2022年の改正では、電子取引データの電子保存が義務付けられたことで話題となりました。電子保存については、2023年12月31日まで猶予期間が設けられているものの、各企業で対応していくことが求められます。
そこで今回は、電子帳簿保存法について概要や対象書類、適用要件などについてまとめます。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や領収書・請求書といった書類などについて、電子データによる保存(電子保存)を認める法律です。「電帳法」の略称で示されることもあります。
本来、国税関係の帳簿や書類は、紙で保存するのが原則でしたが、その保存処理には様々な問題や負担がありました。これらを軽減するため、電子データでの保存ができるようにした法律です。
電帳法で定められている要件を満たすことで、従来は紙文書での保管が義務付けられていた帳簿書類が、電子データでの保存が可能となります。なお、要件は時代とともに見直されており、2005年改正によるスキャン保存制度の導入から、複数回の要件緩和等の改正が行われてきました。
★電子帳簿保存法の対象者とは…
電子帳簿保存法の対象となるのは、所得税や法人税の国税関係帳簿書類の保存義務者です。つまり、以下のような事業者で、法人や個人の違い、事業の規模は問われません。
- 法人税を納める義務がある普通法人、公益法人等
- 所得税の納税義務がある個人事業主
電子保存の3区分とは?
電子帳簿保存法が定める電子保存の形式は、3つの種類に分けられます。
電子帳簿保存法上の区分 (イメージ)
電子的に作成した帳簿や書類を電子データのままで保存すること。例えば、会計システムで作成した仕訳帳や総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書などを「電子データのままで保存する」ことを指します。自社が電子的に作成した請求書等の控え(電子取引に該当しないもの)なども含まれます。
紙で受領・作成した書類をスキャナで読み取る、またはスマートフォンやデジタルカメラで撮影して画像データで保存すること。相手から紙で受け取った請求書や領収書などのほか、自社が紙で作成した契約書などの取引関係書類の控えも該当します。
紙ではなく、電子データでやりとりした請求書等の取引関連書類をデータで保存すること。従来は電子メールやクラウドサービスなど電子取引での場合も、出力した紙での保存も可能でした。しかし、今回の改正によって電子取引を行った場合は、電子データでの保存のみとなり、自社が発行した書類も、取引先から発行された書類も該当します。
2023年12月31日まで猶予期間がありますので、それまでに対応を進めておきましょう。なお、あくまで領収書などをデータで受け取った場合等だけが対象ですので、ネット通販などでも紙で受領した場合はこの限りではありません。
電子帳簿保存法の対象書類は?
電子帳簿保存法の対象となる書類は、以下の3種類です。そして、電子帳簿保存が可能なものと、スキャナ保存が可能なものに大きく分けられます。
- 国税関係帳簿…仕訳帳、総勘定元帳など
- 決算関係書類…貸借対照表、損益決算書など
- 取引関係書類…見積書、契約書、領収書、請求書など
【国税関係帳簿】仕訳帳、総勘定元帳、売上台帳など
【決算関係書類】貸借対照表、損益決算書、棚卸表など
【取引関係書類】自己で作成した取引書類の控え…見積書、契約書、領収書、請求書など
決算関係書類を除く国税関係書類のうち、自己で作成した取引書類の控え、および取引相手から紙で受領した書類。
【取引関係書類】
自己で作成した取引書類の控え…見積書、契約書、領収書、請求書など
相手方から紙で受け取った書類…見積書、契約書、領収書、請求書など、
手書きで作成した総勘定元帳や仕訳帳といった主要簿、同じく手書きで作成した請求書や補助簿といった書類は、たとえスキャナ保存をしても、電子帳簿保存法の対象外です。必ず紙の原本を保存しなければなりません。
電子帳簿保存法の適用条件とは?
電子帳簿保存法では、帳簿や書類の電子データの保存を行う際、改ざんされていないことを示す「真実性の確保」、誰もが視認・確認できる状態を示す「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。
■真実性の確保
- 記録の訂正・削除などを行った場合の事実内容を確認できること
- 通常の業務処理期間を経過した後の入力履歴を確認できること
- 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項同士との間において、相互にその関連性を確認できること
- システム関係書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
■可視性の確保
- 保存場所に電子計算機・プログラム・ディスプレイ・プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形及び明瞭な状態で速やかに出力できること
- 取引年月日・勘定科目・取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
- 日付又は金額の範囲指定により検索できること
- 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
※参考:国税庁「電子帳簿保存時の要件」
なお、スキャン保存については電子データに変換する際の改ざんを防止する観点から、システム要件や日数制限などが定められています。
※1 国税関係書類の受領等から入力までの各事務の処理に関する規定を定めている場合に限る
※2 入力期間内にその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認できる場合には、タイムスタンプ付与に代えることができる
※3 国税関係書類の受領者等が読み取る場合で、書類の大きさがA4以下であるときは、大きさに関する情報の保存は不要
※4 税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じられる場合、(2)(3)の要件が不要
2023年改正における変更点は?
2023年の改正では、電子帳簿保存制度について、大きく下記の3点の変更点がありました。
■令和5年度税制改正による主な改正事項
届出書を提出し、一定の範囲の帳簿が「電子帳簿」の要件を満たすと、過少申告加算税が5%軽減される「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」があります。この適用を受ける場合に優良な電子帳簿として作成しなければならない帳簿の範囲が、申告所得税・法人税について、下記のとおり見直されました。
<「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の対象となる帳票>
- 仕入帳
- 総勘定元帳
- その他必要な帳簿(具体例:売上帳、仕入帳、経費帳、賃金台帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳など)
国政関係書類をスキャン保存する際の解像度、諧調、大きさに関する要件、および入力者等に関する情報の確認要件が廃止されました。
また、スキャナで読み取った際に、帳簿との相互関連性を必要とする国税関係書類が、「重要書類」に限定されました。
※重要書類…契約書・領収書・送り状・納品書等のように、資金や物の流れに直結・連動する書類
税務調査の際に、調査担当者からの電子取引データの「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」に応じられる場合は、全ての検索機能がふようとなります。この措置について下記の通り対象者が見直されました。
<検索要件がすべて不要となる対象者>
・基準期間の売上高が5,000万円以下の者である場合
基準期間(法人では2事業年度前、個人では前々年)の売上高が、「1,000万円以下」から「5,000万円以下」に拡大されました。
・電子取引を書面出力している者が一定の要件を満たす場合
電子取引データを書面に出力し、取引年月日、取引先などで整理された状態で提示・提出することができる場合には、検索要件は不要となりました。
また、電子取引であっても出力書面の保存をもって電子データの保存に代えることができる「宥恕措置」が2023年12月31日をもって廃止されることになりました。そして、猶予措置が新設されました。電子取引の電子データ保存への移行ができなかったことについて、所轄税務署長に「相当の理由がある」と認められ、税務調査等の際に電子データのダウンロードや出力に対応できる場合は、検索要件は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことが可能となりました。
いかがでしたでしょうか?
あらゆる分野でデジタル化・電子化が進んでおり、その流れを汲んで電帳法も複数回の改正がなされています。「電子取引」に関するデータ保存義務化は、2024年1月から対応できるようにしておく必要があります。
経理業務を取り巻く環境はどんどんと変化しています。電子取引などへの対応が困難な場合は、猶予措置で動向を見ながら対応を進めていきましょう。電帳法に対応した会計ソフト・クラウドサービス等も登場していますので、これらの導入を検討してみるのも一つです。経理の効率化・財務管理の見える化も可能となり、課題の早期発見やコスト削減につなげていくこともできるでしょう。
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