生活者から見た、SDGsに貢献する企業の取り組みとは?
2023/06/08
2030年までに世界が解決すべき国際目標を定めたSDGs。正式名称は、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」といい、2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択されました。目標達成に向けて国や企業でさまざまな活動が取り組まれています。SDGsへの関心の高まりから、商品やサービスを選択する際に、企業がSDGsに取り組んでいるかをも判断基準とする消費者もいます。
今回は、生活者から見たSDGsにおける企業ブランド調査のランキング結果(株式会社博展による)および、上位の企業の取り組みについてです。
生活者から見たSDGsに貢献する企業ランキング
株式会社博展が、SDGsに関して、取り組みから情報発信までできている企業のランキングを発表しました。生活者のSDGsに対する企業ブランド調査『Japan Sustainable Brands Index(以下、「JSBI」)からランキングを作成。
JSBI は、SDGsやサステナビリティ活動に対して、関心の高い生活者の視点を重視しSDGsや各企業のサステナビリティ活動への認識が、購買や推奨といった実際の行動にどのような影響を及ぼすのかを分析しています。
無印良品を展開する「良品計画」が、2020、2021の連続2位から順位を上げ、今回初めて総合ランキング1位を獲得しました。総合2位には2年連続1位だった「トヨタ自動車(TOYOTA)」がランクイン。続く3位以下は「住友林業」、「王子ネピア」、「味の素AGF」の順となっており、昨年からそれぞれランキングを上げています。
※調査結果が詳細に記載されているレポートはこちらから
ランキング上位企業の取り組みとは
上位にランクインした企業はどのような取り組みをしているのでしょうか?ここでは各企業のSDGsに関連する取り組みの一部をご紹介していきます。
■総合1位「良品計画」
株式会社良品計画は、無印良品やMUJIブランドの小売店舗・商品開発と製造・販売を展開する専門小売企業。 住宅、家具、衣料品、雑貨、食品などの販売店を国内外に出店しているほか、オンラインストアやホテルも手掛けています。
良品計画は従来、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つの視点から社会・環境に配慮したモノづくりやサービスの提供を行っています。さらに2022年に就任した堂前宣夫社長が「地域への土着化」を打ち出し、店舗のある地域と連携して、地元にある課題に積極的に取り組む姿勢を見せています。
2022年秋冬シーズンに定番のデニムシリーズを「環境に配慮した、飽きずに長くはけるベーシックデニム」というコンセプトでリニューアル。糸を染める回数、染めの時間を短縮することで、染料の使用量だけでなくウォッシュ加工に使用する水の使用量を削減しています。
2020年7月からプラスチックボトルを回収し、リサイクルを行っています。店頭で、使い終わった化粧水や乳液のボトルなど空のボトルを回収。回収したPET素材のボトルはリサイクルし、プラスチックごみの削減と石油由来原料の有効活用につなげています。
環境負荷、農家の人々の健康への影響を考慮し、オーガニックコットン、再生コットン、認証を取得したコットンを使用しています。本来なら捨ててしまう、服の生地を裁断する際に発生した端切れなどを、原料として再生し、再生コットン、再生ウール入りの商品として販売をしています。
また、オーガニックコットンの種を寄付して、生産量を増やしていく試みを2021年からスタートしました。
2021年1月より、ベッドやデスク、収納家具など必要なものを必要な期間利用することができる「月額定額サービス」を開始。暮らしを変えるタイミングで家具を処分することなく、廃棄物の削減にもつながるサービスとして、新社会人や新大学生など一人暮らしの方々を中心に好評。新生活を始める家族や二人暮らし世帯などにも利用できるアイテムも追加されています。
・キャンプ場の取り組み
良品計画では、3つのキャンプ場(新潟県津南町、岐阜県高山市、群馬県嬬恋村)を運営しています。合計で約70万坪(約231.4 ha)のキャンプ場周辺の森林を天然に近い形で管理・保全に取り組みんでおり、木の炭素固定によるCO2の吸収に貢献しています。
また、地域の方が講師として参加するアウトドア教室やキッズサマーキャンプを開催し、人々が自然への理解を深める機会を創出しています。
良い商品であっても、販路がない、大手企業に卸すには数量や品質レベルなどに対応できない、といった理由から消費者のもとに届かないものが多くあります。そこで良品計画は「諸国良品」を運営しています。これは地域の生産者と消費者をネットストアでつなぐ産地直送サービスで、地域に根差した食品や数の少ないもの、期間が限られているものを、産地から直接、消費者に届けられるようにしています。
■総合2位「トヨタ自動車」
トヨタは愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカーです。世界で最も有名な日本企業の一社であり、繊維機械、産業車両、自動車・自動車部品の製造・販売を手掛けています。
創業以来、「トヨタ基本理念」に基づいて事業活動を通じた豊かな社会づくりを目指しています。2020年には「トヨタフィロソフィー」を取り纏め、「幸せの量産」をミッションに掲げました。サステナビリティ基本方針や個別方針に基づき、サステナビリティ推進、『社会・地球の持続可能な発展への貢献』に取り組んでいます。
カーボンニュートラル実現に向け、技術と知恵を結集して水素エンジンの開発を進めています。「水素エンジン」はいくら燃やしてもCO2を出さない水素を燃料とします。トヨタは2021年5月、世界で初めて水素エンジン搭載車両でレースに参戦。過酷な耐久レースの現場で課題を見つけ、最速で技術を鍛えるべく取り組んでいます。
・移動型バリアフリートイレの開発
移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」を開発しました。快適で衛生的な多機能トイレを搭載した小型車両で、普通免許でけん引できます。そのため、自由に移動してさまざまな場所に設置が可能。「モバイルトイレ」の開発により、障がいの有無にかかわらず、誰もが行きたい場所に行き、やりたいことに挑戦できる社会の実現に貢献しています。
2013年、スーパースキル(SS)ラインと名付けられた手作業エンジン組付ラインを上郷工場に設置。SSラインでは、電気を使わずモノの重さを利用して動く「からくり」を活用することで、体力に頼らずとも作業ができるようになっています。
一線を退いた再雇用者をはじめとして、妊婦さんや子育て中の方、障がいを持った方など、ライン作業に不安がある方も、すべての人がいきいきと活躍できる工場です。
愛知県豊田市にある「トヨタの森」では、複数の森や里山を整備・保全活動を行っています。また、地域に伝わる伝統的な文化を守り伝える活動や、自然について学ぶ機会を提供する環境学習プログラムを実施し、人と自然が共生できる社会づくりに取り組んでいます。
さらに国内外の生産拠点では10年間で200万本の植樹をするなど、「工場の森作り」にも取り組んでいます。
■総合3位「住友林業」
住友林業グループは、経営理念のもとサステナブルな経営を行ってきました。サステナビリティ戦略及び重要課題を組み入れた「中期経営計画サステナビリティ編 2024」では、住友林業グループが定めた9つの重要課題へ取り組む2024年度までの具体的な数値目標を、SDGsの視点を織り込み事業本部ごとに、より細かく設定しています。これら指標の達成を目指すことで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。
木材の製材過程で発生する端材や、新築・解体現場で出る木くずをチップ化し、製紙やパーティクルボードなどの原料として使用しています。また発電ボイラーなどの燃料として供給する、チップ事業を通じて資源の循環利用に貢献。今後は、間伐材などの林地未利用木材も利用し、燃料用途の取扱数量のさらなる拡大を目指すとしています。
住友林業グループは、国内で総面積約4.8万haの社有林を、海外で管理保有面積約24.0万haの植林地を管理しています。これらの森林で植林、下刈り、枝打ち、間伐など、育林のための適正な管理を実施することで森林の公益的機能の維持・向上に努めています。伐採後に必ず植林することで、持続可能な森林経営を推進しています。
被災後の速やかな復旧を促すサービスの開発を進めています。複数のセンサーを住宅に取り付け、地震の揺れの大きさや浸水状況などをデータとして取得、ネットワークを介して収集し、分析する実証実験に取り組んでいます。得られたデータを損害保険会社と連携して、迅速な損害鑑定へ活用するなど、データの利活用についても検討しています。
2019年度よりガソリン車の標準設定を廃止し、国内グループ会社の全事業所で低燃費車の導入を進めています。2022年に導入した社有車385台のうち、350台を低燃費車としました。
業種別の傾向では
対象306社を19業種に分類し、業種でのランキングも発表されています。業種別傾向では、「化粧品・トイレタリー」、「薬品・医療用品」、「食品」が高評価を得ました。トイレタリー部門の企業12社のうち、11社が100位以内に入りました。薬品・医療用品部門は対象12社のうち11社においてJSBI得点が100点を超え、最高位は8位でした。
■1位「化粧品・トイレタリ―」
王子ネピア株式会社は、「ネピア(nepia)」ティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンペーパー、紙おむつなどを生産する衛生用紙メーカーです。
・2011年からFSC®認証紙を採用
他社に先駆け、いち早くFSC®認証紙を採用。 また王子グループは民間では最大規模の国内外45万haの森を保有しています。植林活動を行い、森のリサイクルに努めています。
・東ティモールの衛生環境の改善に貢献
トイレットロールやティシュの売上の一部で、東ティモールの子どもたちと家族の命を守るユニセフの活動を支援しています。17,500を超えるトイレづくりと屋外排泄を根絶するプログラムを通じ、衛生環境の改善に貢献。
P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は、世界中で洗剤や紙おむつ、ヘアケア製品、化粧品、小型家電製品などを製造・販売する日用品メーカー。日本でもP&Gジャパンを展開しています。
・環境に配慮した容器の開発・販売
単一素材(モノマテリアル)を採用した詰め替えパウチ
10年以上の開発期間を経て、リサイクル可能なポリエチレンベースのフィルムを採用した単一素材の『詰め替えECOPOUCHエコパウチTM』を完成させています。パッケージ変更により、従来のプラスチックボトルに比べてプラスチック使用量を約 60%削減しています。
・インクルーシブな環境づくりに向けた取り組み
職場においてLGBTQ+への「アライ」(理解者・支援者)の輪を広げることを目的とした社外向け研修プログラムを2021年より実施。また、ウエルシアホールディングス株式会社とともに、LGBTQ+のユーザーが安心して買い物できる環境づくりを目指し、接客時のハンドブックの開発などを行っています。
※参考:「ニュースルーム」
■2位「薬品・医療用品」
ユニ・チャーム株式会社は、生理用品、紙おむつなどの衛生用品の大手メーカーである。ウェルネスケア関連製品、ペットケア関連製品、フェミニンケア関連製品、ベビーケア関連製品、Kireiケア関連製品、食品包材等の販売。タンポンやナプキンなどの生理用品や紙おむつで日本国内のトップシェアを誇る。
・独自の使用済み紙おむつリサイクルシステムを実現
回収した使用済み紙おむつを、未使用のパルプと同等に衛生的で安全なパルプとしてリサイクルするシステムを実現。リサイクルパルプを配合した商品の実用化に取り組み、2022年5月に販売。
・性別や性的指向等により活躍が制限されない社会への貢献
インドの学生を対象に生理に関する教育プロジェクトや、農村地域に住む女性の経済的自立支援を行っています。日本においてもアプリなどで、体質やライフスタイルに合った生理ケアを進めています。
※参考:「サステナビリティマネジメント」
大塚製薬株式会社は、医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出ならびに輸入を行う企業。ポカリスエットで知られ、「医療関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業」の両輪にて事業を行っています。
・リサイクルPET樹脂を30%利用したPETボトル容器の展開
「ポカリスエット」をリサイクルPET樹脂を30%利用したPETボトル容器で販売し、他の商品にも展開しています。
・国内全8工場へのCO2フリー電力の導入
生産活動におけるすべての購入電力に、CO2を排出しない再生可能エネルギー由来の「CO2フリー電力」を導入。2021年はCO2年間排出量の約59%を削減しています。
・日常生活における啓発活動
熱中症の知識や対策について児童・生徒達に分かりやすく伝える出張講座や、日頃の部活動や各種競技会の安全な実施のための情報提供を行っています。また、アルコール依存症の診断・治療に関する講習会や、正しい理解のための啓発活動なども実施しています。
※参考:大塚製薬「サステナビリティ」
■3位「食品」
森永乳業株式会社は、栄養・機能性食品事業を行う乳製品メーカー。全世代の健康課題に寄り添い、「ビヒダスヨーグルト」「パルテノ」などのヨーグルト、「はぐくみ」や「ミルク生活」などの粉ミルク、流動食、サプリメントなどのさまざまな商品を展開しています。
・メタンガス削減の取り組み
畜産バイオマス発電と排水処理を兼ね備えた、酪農・畜産におけるふん尿処理システムをグループ関係会社が運営する農場に導入。バイオガスプラントで回収したメタンを使って発電することで、牧場で排出されるメタンの排出量を最大30%削減することを目指しています。
・健康課題に配慮した商品設計
栄養に関する豊富な知見や国内における生乳基盤、ビフィズス菌やラクトフェリンなどの独自の機能性素材を活用した商品・サービスを通じて「健やかな成長」と「健康寿命の延伸」に貢献することを目指しています。
※参考:「森永乳業のサステナビリティ」
味の素株式会社は、うま味調味料の「味の素」で知られる食品会社。食品事業以外にも化粧品ブランド「Jino」などアミノ酸生産技術を活用したケミカル事業、医薬事業も行っています。
・化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替品の開発
アミノ酸系香粧品素材を利用した独自技術により、従来のマイクロプラスチックビーズを代替する製品の開発に成功し、2022年に上市しました。この代替品は、自然由来の原料のみを使用しているため生分解性が高く、環境負荷が低減できる。
・持続可能な農業への貢献
アミノ酸発酵工程から発生する副産物を有効活用して高品質の肥料を生産しています。堆肥の発酵熱を利用した菌体乾燥技術により、副生物を乾燥させる際に発生していたCO₂排出量を大幅に削減。さらに、環境負荷を低減するだけでなく土壌改質効果が見込まれ、また、農作物のアミノ酸含有量や糖度を高める等品質を安定させることから、農作物の販路拡大に寄与しています。
※参考:「ESG・サステナビリティ」
いかがでしたでしょうか?
2015年にSDGsが国連サミットで採択され、「サスティナビリティ(=持続可能性)」が注目されれるようになり、企業は環境や社会、経済に配慮したサスティナブルな経営を求められています。サスティナブルな取り組みを行うことは、企業イメージが向上やブランディングにつながります。
企業のサステナブルな活動はSDGs、CSRやESGとともに今後さらに注目されることになります。当社エコ・ブレインでもサスティナブル経営やSDGsへの取り組み等、各社動向にアンテナ張っております。サスティナブル経営・SDGs取り組みなどについてご相談がある方は、エコ・ブレインまでご相談ください!
「ごみがたくさんある」「ごみの分別がわからない」「リサイクル率を上げたい」など、ごみについてお困り・お悩みがある場合は、ごみの専門家であるエコ・ブレインにおまかせください!
長年ごみ問題に携わり、解決に導いてきた知識と経験のあるスタッフが、皆さんのごみにまつわるお悩みを解決します。
エコ・ブレインでは、東京23区をはじめ東京都含めた関東圏はもちろん、今まで築いてきた全国各地の協力ネットワークもフル活用し、北海道から沖縄まで日本全国が対応エリアとしています。廃棄物の分別も弊社が行いますので、分別の仕方が分からないという方もご安心ください!
エコ・ブレインの対応地域(東京エリア)
中央区、千代田区、文京区、港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、豊島区、北区、台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区
八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、西多摩郡、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町
ごみの処分など廃棄物関連にお困りの方、疑問がある方など、ぜひエコ・ブレインまでお問い合わせください!