国内企業のSDGsの取り組みとは?(2023年5月)
2023/06/02
2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択された、SDGs=「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」。2030年までに達成すべき世界が解決すべき国際目標です。目標達成に向けて国や企業でさまざまな活動が取り組まれています。
今回は国内企業のSDGsの取り組みについて、最新のものを含めてご紹介します。
企業がSDGsに取り組むメリットとは?
まず、企業がSDGsに取り組むメリットはなんでしょうか?
SDGsの掲げる目標はいずれも世界全体で取り組むものであるため、SDGsに取り組む企業は社会に対して責任を果たす企業として認識されます。社会的にSDGsに対する関心が高まっている現在、企業イメージの向上やブランディング、信頼獲得にも非常に効果的であるといえるでしょう。
その結果、自社の商品やサービスの売り上げの向上に繋がる他、優秀な人材の確保にも繋がり人材の採用においても有利になります。
SDGsが定めている目標は、世界が直面している解決すべき課題を含んでおり、課題を解決するための取り組みは新しいビジネスチャンスのきっかけになりえます。SDGsの取り組みを推進していけば、問題解決のための新規事業の創造や、他社や行政との協働などの可能性がでてきます。
売上という目標ではなく社会課題の解決を中心に考えることで、これまでにない新しいビジネス開発の可能性が広がるケースも珍しくありません。
近年ESGを考慮した投資が重視され、拡大しています。企業が社会貢献につながる取り組みを行っているかどうかが、投資先の判断基準の1つとして一般的になってきています。
SDGsの17の開発目標には環境問題への対策など、世界全体に関わる目標を多く含んでいます。SDGsに取り組むことは環境や社会、あるいはその両方に貢献することとなり、投資家に対する効果的なアピールになります。
企業のSDGsへの取り組み事例
では、国内企業はどんな取り組みをしているのでしょうか?ここでは一部企業の取り組みについて最新情報を含めてご紹介します。
■コカ・コーラシステム
日本のコカ・コーラシステムでは、2018年1月に発表した「容器の2030年ビジョン」に基づき、2030年までに全てのPETボトルを100%サスティナブル素材へ切り替えることなどを目指しています。
グローバルビジョン「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」に基づき、「設計」、「回収」、「パートナー」の3つの柱からなる活動に取り組み、容器由来の廃棄物削減と日本国内におけるプラスチック資源の循環利用の促進をはかっています。2022年第一四半期には、国内の清涼飲料事業におけるPETボトル容器のサスティナブル素材使用率50%を達成しています。
100%リサイクルPETボトルを使用した「コカ・コーラ」 表示シール付きラベルレスボトルを2023年5月29日より期間限定発売。
2022年4月から100%リサイクルPETボトルを使用したラベルレスボトルの「コカ・コーラ」、「コカ・コーラ ゼロ」をオンライン限定で販売していました。ラベルレスボトルには成分表記ができないため、これまではケース単位でオンライン限定での販売でした。この度、ボトルに表示シールを貼ることで1本単位での販売が可能となります。
・「製造に使用した水」は使用後に回収・処理を行い循環利用し、その後適正に処理した上で河川へ放流。「製品に使用した水」は、植林、間伐、水田湛水、草原再生といった水源の保全活動を通じて水源涵養の能力を高め、豊富な地下水を育むことで自然へ還元。
・日中に冷却用の電力を使わず夜間にシフトすることで、日中の消費電力を最大95%削減することが可能な「ピークシフト自販機」を2013年から展開。
・東海工場、広島工場、えびの工場の見学施設に太陽光パネルを設置し、自社電力として利用。
■ヤマト運輸
ヤマトグループは、2014年4月に「国連グローバル・コンパクト」への署名を行うなど、持続可能な社会づくりに向けた国際的な取り組みに賛同しています。
2020年1月に発表した中長期的な経営のグランドデザイン「YAMATO NEXT 100」で掲げている環境ビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と社会ビジョン「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」の達成に向けて、サステナビリティな取り組みを行っています。
ヤマト運輸は燃料電池(FC)大型トラックを物流に活用する実証実験を開始しました。終了時期は定めておらず、運用や車両を随時改善しながら本格的な実用化を目指しています。
トヨタ自動車と日野自動車が共同開発したFC大型トラックを、「羽田クロノゲートベース」(東京・大田)と「群馬ベース」(前橋市)の2拠点間の輸送に1台を導入。運行距離は往復約300キロメートルで、週6日稼働します。
ヤマト運輸は、30年に20年度比で温暖化ガス排出を48%削減する目標の実現に向け、拠点から自宅などに届ける「ラストワンマイル」でEV化を進めており、2030年までに2万台の導入を目指しています。航続距離、積載量、燃料供給時間の観点でEV導入が難しい拠点間の幹線輸送について、FC大型トラックを導入し可能性を探るとしています。
・施設の移転や集配方法の変更で使わなくなった資材や品物をイントラネットの「資産有効利用サイト」を通して有効利用。
・荷物の受け取り、発送ができるオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」や、非対面での受け取りが可能なEC向け配送商品「EAZY」など、利便性と再配達抑制・温室効果ガス排出削減を両立したサービスを展開。
・グループ共通のハラスメントハンドブックを配布、各社でハラスメント防止の研修を実施。
■良品計画
無印良品を展開する株式会社良品計画は、「感じ良い暮らしと社会」の実現を目指しています。創業以来、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つの視点で、社会や環境に配慮したものづくりやサービスを続けています。
ESGのトップランナーとして、創業からかわらないESG視点にさらに磨きをかけることを目指し、資源を無駄なく有効活用する活動を進めています。
これまで銀座店やオンラインストアを含む6店舗で実施していた新古品などのワケありの商品を販売する「もったいない市」を、5月19日から全国の大型実店舗20店舗に拡大。
「もったいない市」は、傷・汚れ等によりお客様へお届け出来なかった商品や、開封後返品された商品など、まだ十分使える商品を廃棄するのではなく、お買い得な価格でお客様に販売する取り組み。店舗により商品の取り扱いは異なり、無印良品の定番家具であるスタッキングシェルやブナ材折りたたみチェアなど、日常にすぐに役立つ家具を取り揃えています。
・団地住戸および周辺の屋外施設や商店街区までリノベーションの対象を広げ、地域コミュニティの形成にも取り組むことで、団地を拠点とした地域の生活圏を活性化する「MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト」
・無印良品の衣服を回収し、色を染め直すなど、新たな価値のある商品に再生させることによる、廃棄物削減の取り組み。
・食の多様化や健康意識の高まりや、環境負荷の低減などを考慮し、植物性原料を主体とした商品の開発。
■株式会社JTB
JTBグループは「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念としています。中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」の策定にあわせ、長期的なグループの成長と社会への貢献を目指すうえでの重要課題を設定。「SDGs推進」「サステナブルな社会形成」を企業の責任として捉え、東京都が推進する「人や社会、環境に配慮した消費行動」である「エシカル(倫理的)消費」の普及啓発を推進する活動「TOKYOエシカルアクションプロジェクト」のパートナーにも参画しています。
2023年5月23日より、食品ロスの低減につながる商品やサービスの開発を通じて、サステナブルな食の循環モデル(サーキュラーエコノミー)をめざす「Sustainable Voyage Project」を始動。このプロジェクトは、食の過剰在庫・大量廃棄の削減につながる商品やサービスを、趣旨に賛同し協賛したパートナー企業や団体との共創によって生み出す取り組みです。
プロジェクト発の商品やサービスを通じてサステナブルな社会実現に貢献するほか、学校や教育機関との連携により食品ロスの現状を幅広い世代が認知する機会の創出を目指すとのこと。第1弾として規格外野菜を最大28.4%活用した商品「ロス旅缶」を開発しました。
・2018年より社内でダイバーシティを推進する機会として、全社員参加型のコミュニケーションイベント「JTB Diversity Week」を開催。
・紙パンフレットを削減し、デジタル化を推進。紙はFSC認証の紙を利用し、紙のリサイクルも進める。
・観光を通じたより良い地域社会・地球環境づくりにむけた活動。世界の観光業界を代表する企業リーダーで構成されるWTTCのアドボカシー活動に参画し、2018年5月には違法野生動植物取引撲滅への賛同を表明。
■株式会社ファンケル
ファンケルグループは1980年の創業以来、一貫して社会課題解決型企業として成長。2018年には「ファンケルグループ サステナブル宣言~未来を希望に~」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献していく意志を表明しました。さらに、中期経営計画「前進2023」~逆境を超えて未来へ~に基づき、グループにとっての重点課題を再設定。持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長をめざして、重点テーマとして「環境」「健やかな暮らし」「地域社会と従業員」の3つの項目を設定しています。
子ども食堂での食育活動を5月から神奈川県内で開始。販売している発芽米や青汁を活用し、子どもや子どもを取り巻く地域の方へ向け、食や栄養に関する知識とバランスの良い食を選択する力を習得する「食育」を行うことで、将来に向けた健やかな身体づくりや未病の改善など社会活動の貢献につなげることを目指します。なお、今回実施する子ども食堂を主催しているNPO法人「コドモノトナリ」とは、神奈川県主催の「かながわSDGsパートナーミーティング」に参加したことで協働が決まりました。
・リサイクル事業者と連携し、社員食堂から排出された生ごみを堆肥化することで資源として有効活用するほか、バイオガス発電に活用する取り組み。
・マイルドクレンジングオイル本体容器のボトル素材をケミカルリサイクルで作られた100%再生由来のPET原料を採用。
・視覚に障がいのある方、特別支援学校、がん患者の方など、ハンディキャップを持つ方を対象とした「ファンケルセミナー」を無料で開催。
いかがでしたでしょうか?
今回は国内企業のSDGsの取り組みについて、最新のものをご紹介しました。
2015年にSDGsが国連サミットで採択され、「サスティナビリティ(=持続可能性)」が注目されれるようになり、企業は環境や社会、経済に配慮したサスティナブルな経営を求められています。サスティナブルな取り組みを行うことは、企業イメージが向上やブランディングにつながります。
企業のサステナブルな活動はSDGs、CSRやESGとともに今後さらに注目されることになります。当社エコ・ブレインでもサスティナブル経営やSDGsへの取り組み等、各社動向にアンテナ張っております。サスティナブル経営・SDGs取り組みなどについてご相談がある方は、エコ・ブレインまでご相談ください!
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