有価物の価格やそれぞれの市況は?(5/15時点)
有価物とは?
自分・自社にとっては不要であっても、「その物自体の価値はまだ残っている物」「有償で売却できるもの」を「有価物」といいます。
【有価物の例】
金属屑 | 非鉄金属:銅スクラップ、砲金スクラップ、真鍮スクラップ、被覆電線スクラップ、アルミスクラップ、ステンスクラップ、鉛スクラップ、亜鉛スクラップ 鉄スクラップ:鉄骨、トタン、空き缶、スチール、ギロチン材、ドラム缶 その他スクラップ:バッテリー屑、貿易スクラップ、機械スクラップ、ミシン、編み機、草刈り、アルミ付タイヤ、pH電極、電極、 電線、アルミ缶、アルミホイル、アルミ箔、デスク、イス、メンテナンス部品、ベアリング、金属部品、端材、部材カス、鉄切削くず |
古紙類 | 段ボール、新聞、雑誌、コピー紙、チラシ、カタログ、事務用品(紙製)、シュレッダー紙、封筒、包装紙、トイレットペーパーの芯、台紙、紙箱、紙管、紙袋、説明書、能書 |
樹脂類 | プラスチック類、ペットボトル、プラスチックボトル、樹脂パレット、トレイ、クリアケース、中栓、キャップ、携帯サック、ケース プラスチック、ビニール類、フィルム、プラスチック切削くず |
ガラス類 | ガラス容器、ガラス器具 |
中古品 | 中古商品、中古製品、物流機器、工作機械、その他製造物 |
有価物と廃棄物の判断は、原則的に①その物の性状、②排出の状況、③通常の取り扱い形態、④取引価格の有無、⑤占有者の意思の5つを総合的に勘案して判断がなされます。有価物の価格は市況によって左右されます。トンあたり数十万円で業者が買い取ってくれるものもあれば、トンあたり数円~数千円程度にしかならないものなど、種類によります。
現在の市況や価格は?
それでは、有価物の現在の価格はどうなっているのでしょうか? ここでは、一部を紹介していきます。
・スクラップ鉄
国内の鉄スクラップ相場は3月中旬から下落が続いており、4月下旬にはさらにトン当たり1000―2000円下落しました。4月末のH2炉前価格は、関東が48,000~49,000円、関西(大阪・姫路)が47,500~49,500円と、前月末比較で4,000円ほど安値に。さらに5月初旬に国内の鉄スクラップ価格は大幅続落。
4月の鉄スクラップ市況について日本鉄リサイクル工業会は、欧米・日本の粗鋼生産減を背景に、3月中旬以降の弱基調を引き継いだ形で推移した、としています。米国の銀行破綻から始まった金融不安はアジア地域に影響を与えており、国内の鉄スクラップ相場の下落はアジアと欧米の経済減速を映しているとされます。
また、建設向け等の国内外の鉄鋼需要が後退し、鉄スクラップ需要も鈍ったことから日本からの鉄スクラップ輸出価格も下落。相場が目先で反転上昇する兆しはなく、今後も軟調が継続することが見込まれます。
・古紙(段ボール・新聞・雑誌)
古紙の国内価格は2022年11月に、2年9ヶ月ぶりに新聞古紙、雑誌古紙ともに高値をつけました。デジタル化やリモートワークの広がりなどから、新聞や雑誌の販売が落ち、古紙の在庫が減少したことが背景にあります。
それ以降、現在も古紙価格は横ばいで推移していますが、一方で製紙原料となる古紙の在庫は増加。3月末時点で製紙原料の古紙在庫が4カ月連続で前年を上回っています。関東製紙原料直納商工組合(関東商組、東京・台東)の3月末時点の在庫(32社分)は、段ボール・新聞・雑誌の3品合計で3万6100トンと、前年同月末から18.0%増えました。
品種別では製紙原料の主力となる段ボール古紙の在庫が1万8822トンで37.3%増加。段ボール古紙から作る段ボール原紙の輸出が低迷しています。また国内も日用品や食品の相次ぐ値上げによる買い控えが響き、段ボールの出荷が鈍ったことを映しています。
菓子箱や化粧品箱に使う白板紙の原料となる雑誌古紙も、在庫が1万1196トンで前月比49.3%増加、前年同月比16.5%増加。インバウンド需要は上向いている一方、物価高の影響で消費者の購買意欲が落ち、菓子箱など製品の出荷は低迷しています。
古紙在庫の解消が進まないままであれば、高止まりしている古紙の国内価格も下落する可能性も考えられます。
・廃ペットボトル
日本容器包装リサイクル協会によれば、廃ペットボトルの2023年度上期分の平均落札単価は、60.4円/kg。最高値を付けた22年度下期から一転、およそ半値まで大幅に下落しました。
2022年は海洋プラごみ問題の深刻化や脱石油化の動きを背景に、飲料メーカーが主導する「ボトルtoボトル」の動きが拡大。結果、各企業による廃ペットボトルの引き合いが強く、家庭から出る廃ペットボトル価格は高騰しました。
しかし、原油高が落ち着いたことで新品の樹脂が値下がりし、再生資源の割高感も背景に競合する再生樹脂の引き合いが鈍りました。
ただ、ボトルtoボトル向けの原料確保に向けた動きが見られている西日本では最高値が付くなど、今後再び高値に反転する可能性があります。
・ガラスびん
日本容器包装リサイクル協会の公表しているデータによると、リサイクル会社に引き渡す分の落札単価は年々高くなっており、2023年度には最高値を付けました。
コロナ禍での需要減を背景に、2021年のガラスびん出荷量はコロナ前から大きく減少。22年に増加したものの、以前の出荷量には届いていません。加えて、ガラスびん3R促進協議会の公表しているデータを見ると、空きびん回収量は年々減少傾向にあります。インターネット通販での購入が増えたことなどで低下したものと見られています。
素材劣化をしないため、何度でも繰り返し再⽣できる「⽔平リサイクル」が可能なガラスびん。日本では一升瓶などの需要はこれまで減少が続いてきましたが、環境意識の高まりで空き瓶のリユース需要は高まりを見せつつあります。回収率の低さやリユース需要の高まりなどから、使用済みのガラスびんの価格が高くなりつつあるのではないでしょうか。
・廃食油
食用油は「廃食油」と呼ばれ、その需要が高まっています。2021年の秋口頃から価格が高騰しはじめ、現在も高額な状態が続いています。全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の資料によれば、国内廃食油の輸出価格は22年11月は約190円/キロと、2年前の水準(80円程度)から2倍以上。
高騰の背景には、廃食油などを原料とした航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」があります。SAFは従来の燃料よりもCO2の排出量が少ないなどの性質から国内外から注目を集めています。日本の廃食油は品質が高く、SAF製造のために全体の3の1が海外に輸出されています。海外からの引き合いが強く、取引価格は高騰しています。
さらにコロナ禍で飲食店等の時短営業や閉業したことから、廃食油の出てくる量が減っています。需要が増えているのに対し、廃食油そのものが減っていることも価格高騰の要因の一つです。廃食油の回収率を上げるため、無料回収をする業者も出てきたり、大手スーパーのネット販売専門店では、無料で使用済みの食用油を回収するサービスを試験的に始めています。
廃食用油は家畜のエサや工業用の原料でもあり、今後も奪い合いが激化すれば国内価格の上昇が続くおそれもあります。
いかがでしたでしょうか?
今回は主に有価物と言われるモノの現在の相場、および市況について見てきました。
環境負荷や廃棄物の埋め立て処理問題など地球が抱える環境問題解決のためにも、リサイクルやリユースが推進されています。持続可能な社会の実現のためにも、有価物に当たるものはリサイクル・リユースに回しましょう。
現在、様々な影響によりモノの値上げや値下げが起きています。市場価格や動向を見極めながら、有価物の売買をしましょう。有価物の売買を検討、または相談したいことがあるという方は、当社エコ・ブレインまでお問い合わせください!
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