有価物の価格やそれぞれの市況は?(2/22時点)
2022年はあらゆるものが「値上がり」し、23年もまだまだそのラッシュは止まりそうにありません。原料、燃料そのものの値上がりがあり、原料となりえる有価物の値上げも見られています。
今回は主に有価物の現在の価格相場、および市況について見ていきます。
自分・自社にとっては不要であっても、「その物自体の価値はまだ残っている物」「有償で売却できるもの」を「有価物」といいます。
【有価物の例】
金属屑 | 非鉄金属:銅スクラップ、砲金スクラップ、真鍮スクラップ、被覆電線スクラップ、アルミスクラップ、ステンスクラップ、鉛スクラップ、亜鉛スクラップ 鉄スクラップ:鉄骨、トタン、空き缶、スチール、ギロチン材、ドラム缶 その他スクラップ:バッテリー屑、貿易スクラップ、機械スクラップ、ミシン、編み機、草刈り、アルミ付タイヤ、pH電極、電極、 電線、アルミ缶、アルミホイル、アルミ箔、デスク、イス、メンテナンス部品、ベアリング、金属部品、端材、部材カス、鉄切削くず |
古紙類 | 段ボール、新聞、雑誌、コピー紙、チラシ、カタログ、事務用品(紙製)、シュレッダー紙、封筒、包装紙、トイレットペーパーの芯、台紙、紙箱、紙管、紙袋、説明書、能書 |
樹脂類 | プラスチック類、ペットボトル、プラスチックボトル、樹脂パレット、トレイ、クリアケース、中栓、キャップ、携帯サック、ケース プラスチック、ビニール類、フィルム、プラスチック切削くず |
ガラス類 | ガラス容器、ガラス器具 |
中古品 | 中古商品、中古製品、物流機器、工作機械、その他製造物 |
有価物と廃棄物の判断は、原則的に①その物の性状、②排出の状況、③通常の取り扱い形態、④取引価格の有無、⑤占有者の意思の5つを総合的に勘案して判断がなされます。
①その物の性状…品質が利用用途に合っており、かつ飛散や流出、悪臭等がないか
②排出の状況…計画的に排出されており、適切な保管・品質管理がされているか。
③通常の取扱い形態…製品として市場が成立しているか。
④取引価値の有無…受け取る側に対し、有償で引き渡されているか。※処理料金に該当する金品の受け渡しがあると廃棄物とみなされる。また引き渡し時の価格が、輸送費用などを差し引いても引き渡し側に損失がある場合も、廃棄物の収集運搬とみなされる。
⑤占有者の意思…占有者に適切な利用、または他人に有償で引き渡す意思があるか。
有価物の価格は市況によって左右されます。トンあたり数十万円で業者が買い取ってくれるものもあれば、トンあたり数円~数千円程度にしかならないものも。
現在の市況や価格は?
それでは、有価物の現在の価格はどうなっているのでしょうか? ここでは、一部を紹介していきます。
金属価格の国際的な指標である、ロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場は、ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー危機により、2022年3月には一旦4,000ドル/トン付近まで高騰。しかしそこをピークに、5月以降は世界経済の後退懸念や需要停滞により下落が続きました。9月には2,100ドル台まで下落、年内はほぼ横ばいで推移しました。
丸紅の「アルミニウム市況見通し」では、2023年の世界のアルミ需給は47万2000トンの供給不足と予測されています。一方、需要は半導体サプライチェーンの改善や自動車の軽量化、脱プラスチックの加速などから、堅調に推移する見通し。生産回復に時間がかかるとみられており、今後価格上昇に転じる可能性があります。
LMEの銅価格は1月に約6カ月半ぶりにトン9000ドル台の高値を回復したものの、同月17日には相場は下落。ドル高が進んだことが嫌気されたものの、中国の需要回復の兆しを受け、週間ベースではプラスとなっています。
国内についてはJX金属が22日、2月積み銅建値をトン129万円に改定。昨年6月以来8カ月ぶりの高値を回復しました。指標となる海外銅相場反発と円安ドル高進行を受けたことによります。中国経済の回復により銅取引は加速し、供給不足により銅相場は上昇していくのではとの指摘もあります。
2022年はあらゆる紙が値上がりし、古紙の国内価格も上昇しました。11月には、2年9ヶ月ぶりに新聞古紙、雑誌古紙ともに高値をつけ、横ばいで推移。デジタル化やリモートワークの広がりなどから、新聞や雑誌の販売が落ち、古紙の在庫が減少したことが背景にあります。
12月末には段ボール・新聞・雑誌の3品合計古紙在庫が13カ月ぶりに前年を上回りました。前年同月末に比べ3.8%増、前月比67.4%増でした。しかし、種別でみると、主力の段ボール古紙は15.2%増の一方、新聞古紙は13.6%減、雑誌古紙は4.4%減でした。
日本容器包装リサイクル協会によれば、廃ペットボトルの22年度下期分の平均落札単価は、115.4円/kgと過去最高を記録。
海洋プラごみ問題の深刻化や脱石油化の動きを背景に、飲料メーカーが主導する「ボトルtoボトル」の動きがますます拡大しています。再生ボトルの比率を高めるため、再生ペットボトルの消費量を増やしており、品質の高い家庭系ペットボトルごみの争奪戦が繰り広げられています。大手飲料メーカーは独自に自治体と提携するなど、独自の廃ペットボトルのリサイクルを強化。
この結果、廃ペットボトルは争奪戦の様相を呈し、家庭から出る廃ペットボトル価格は高騰。容リ協の統計によると、リサイクル業者の22年度通期の取引価格は、なんと前年度の4倍弱に値上がりしました。
脱炭素の流れで再生樹脂の需要は伸びているため、今後も割高感が強まる可能性があります。企業ごみも洗浄コストをかけてでも利用する需要が高まり、奪い合いになる見込みもあるとされています。
飲食店やコンビニなどから出る廃食油(UCO)の国内価格が上昇しています。その背景には、UCOが燃料としての輸出が拡大していることがあります。燃料価格の高騰に伴って、海外で割高に取引されているためです。全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の資料によれば、国内UCOの海外向け燃料利用は、前年度から約3万トン増。輸出価格は22年11月は約190円/キロと、2年前の水準(80円程度)から2倍以上に。
国内でもバイオディーゼルや持続可能航空燃料(SAF)の原料として需要の高まりが見られているものの、海外に流れ国内向けの供給が増やせていない状況があるといいます。30年に国内航空会社の使用燃料の10%をSAFに置き換える計画が出されています。しかし、高品質な日本の廃食油は海外からの引き合いが強く、取引価格も急騰しています。今後も「奪い合いの激化により、価格の上昇が考えられます。
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