再生利用認定制度とは? 概要から解説
2022/12/14
廃棄物処理法では廃棄物処理業を行う場合や、廃棄物処理施設を設ける場合にはそれぞれ各市町村や各都道府県の許可が必要になります。しかし、環境大臣の認定を受けることで、一定の許可なく処理できる仕組みがあります。
今回はその仕組みのひとつ「再生利用認定制度」について解説します。
再生利用認定制度とは?
再生利用認定制度とは、一定の要件に該当する再生利用に限り、環境大臣が認定することにより、廃棄物の処理業の許可、および廃棄物処理施設の設置許可を不要とする制度です。
処理施設の設置が進まず逼迫する中で、 廃棄物のリサイクルや減量化を推進するための規制緩和措置として、設けられました。また、大規模かつ安定的に再生処理できる施設を有効活用する意図もあります。
対象となる廃棄物は?
再生利用認定制度の対象となる廃棄物は、再生利用によって生活環境の保全上支障が生じることを防ぐため、廃棄物自体が生活環境の保全上支障を生じさせない蓋然性の高いものに限定して、環境大臣が個別に告示により指定することとなっています。
現在環境省告示で指定されている廃棄物は以下の通り。
■対象となる廃棄物
- 廃ゴム製品(ゴムタイヤ等で鉄を含むもの)
- 廃プラスチック類
- 廃肉骨粉(化製場から排出されるもの)
- 金属を含む廃棄物
- 汚泥(建設無機汚泥、シリコン含有等)
なお、構造改革特別区域制度により一定地域の廃木材も対象とされています。
■対象とならない廃棄物
- 一定のばいじん・燃え殻
- バーゼル法上の有害特性を有する廃棄物
- 容易に腐敗・揮発する等の生活環境保全上支障の生ずるおそれのある廃棄物
再生利用認定制度の認定の基準とは?
次の基準が定められており、全ての基準に適合する必要があります。
■再生利用の内容の基準
- 再生利用の促進に寄与すること
- 再生品の利用が見込まれること
- 再生品の原料として使用すること
- 燃料として使用することを目的とするものでないこと
- 燃料として使用される再生品を得るためのものでないこと
- 生活環境の保全上支障が生ずるおそれがない再生品を得るためのものであること
- 受け入れる廃棄物の全部または大部分を再生利用施設に投入すること
- 再生に伴う廃棄物がほとんど生じないこと
- 排ガスを生ずる場合にはダイオキシン類の濃度が0.1ng/㎥以下であること
- その他廃棄物ごとに定める基準に適合していること
■再生利用を行い、または行おうとする者の基準
- 5年以上再生利用を業として行なっている者、または経理的・技術的にこれと同等以上の能力を有する者で周辺環境保全等に配慮した事業計画を有する者
- 受け入れ廃棄物および再生品の分析および管理ならびに再生施設の運転管理を適切に行うことができる者
- 再生利用を的確に行うに足りる知識および技能を有すると認められる者
- 得られる再生品の品質管理ができること、
- 再生利用施設の維持管理について基準に従いできること
- 再生利用等を的確に行う知識・技能、経理的基礎を有すること
- 廃棄物処理業の許可の欠格事由に該当しないこと
- 再生利用を自ら行う者であること
- 法令違反していない者であること
- 廃棄物ごとに定める基準に適合していること
■再生利用の用に供する施設の基準
- 施設が基準に適合していること
- 申請書に記載された処理能力を有すること
- 周辺地域の生活環境保全において適正な配慮がなされたものであること
- その他廃棄物ごとに定める基準に適合していること
申請から認定までの流れは?
新規で再生利用認定に申請するときの流れは以下のようになっています。
① 本制度に対する照会・構想の相談
具体的な申請手続きに入る前に、再生利用を行う廃棄物の種類を決定し、事業計画の概要がまとまった段階で、環境省廃棄物適正処理推進課(一般廃棄物)または廃棄物規制課(産業廃棄物)に相談します。
② 事前確認
①の相談で構想が制度に適したものであると判断された場合、処理に係る体制を認定の各基準に照らし合わせながら具体的に構築します。申請書類を作成したら、環境省廃棄物適正処理推進課または廃棄物規制課で事前確認を受けます。
③ 審査(申請書類の提出)
事前確認で了解を得られた後、申請書類を環境省の廃棄物適正処理推進課または廃棄物規制課に提出。申請書類に不備がなければ、審査が進められます。
審査では、申請内容の認定基準への適合や行政処分の有無等の確認が行われます。必要に応じて現地調査による確認がされる場合もあります。現地調査は、事前確認の段階で行われる場合もあります。
④ 標準処理期間
新規申請の認定にかかる標準の処理期間は3ヶ月です。
この期間は環境省の担当者が申請書類を受理した日から認定日までの期間であり、事前確認に係る期間は含まれません。なお、申請書類の受理後書類の不備が発覚した場合の補正期間は除きます。
再生利用認定制度の実務上の注意点とは?
認定を受けると、対象の廃棄物を処理する場合に限り、処理業及び施設設置の許可が不要となります。また、マニフェストの発行も免除されますが、そのほか処理基準の遵守などが求められます。
■処理業・施設設置の許可→不要
環境大臣による認定を受けると、廃棄物の処理業の許可、および廃棄物処理施設の設置許可が不要となります。
■マニフェストの交付→一部不要
再生利用認定業者に産業廃棄物の処理を委託する場合、マニフェストの交付は義務付けられていません。
ただし、金属を含む廃棄物・バーゼル法上の有害特性を有する廃棄物については、マニフェストの交付が必要とされます。
■再生利用に関する報告
認定を受けた者は、毎年6月30日までに、その年の3月31日以前の1年間における当該認定に係る廃棄物の再生利用に関する報告書を環境大臣に提出しなければなりません。
【提出先】
- 一般廃棄物:環境省廃棄物適正処理推進課
- 産業廃棄物:施設の所在地を所管する地方環境事務所
【記載事項】
- 氏名または名称および住所(さらに法人の場合は代表者氏名)
- 認定年月日および認定番号
- 当該認定に係る施設において再生利用を行なった廃棄物の種類および数量、再生により得られた再生品、再生品を除く再生に伴い生じた廃棄物の種類および数量
- 再生品の利用状況
- 再生品を除く、再生に伴い生じた廃棄物の処分方法ごとの処分量
■収集運搬における表示と書面の備付け
認定を受けたものが再生利用に係る収集運搬を行う場合、船舶及び運搬車への表示義務が課されます。
■廃棄物処理基準の遵守、帳簿の備付け、記載および保存の義務
通常の廃棄物処理業者と同様、廃棄物処理基準の遵守、帳簿の備付け、記載、保存の義務が求められます。
■都道府県知事又は市町村長による報告徴収、改善命令等
一般(産業)廃棄物処理業者と同様に、報告徴収および改善命令の対象となります。
いかがでしたでしょうか?
今回は、再生利用認定制度について解説してきました。
環境大臣による許可を受けると、廃棄物処理業・処理施設設置許可の不要、マニフェスト発行の免除といったメリットがあります。しかし、廃棄物処理基準の遵守、契約書の締結、帳簿の記載や保存義務等の規制は適用されます。
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