土・残土は廃棄物?処分方法はどうすればいい?
2022/11/09
建設工事の現場では、さまざまな種類の廃棄物が大量に排出され、その中には「残土」とよばれる土も発生します、その残土を処理することは「残土処理(処分)」と言います。土は工事以外でも、ガーデニングなど日常生活のシーンからも排出されます。土はその状態によって取り扱いが変わる場合があり、土が発生したら廃棄物処理法に従って適切な方法で処理しなければなりません。
今回は土・残土の処理について見ていきます。
(写真素材:photo AC)
土や砂は廃棄物?
土・残土の処分方法について見ていく前に、まず土や砂は廃棄物にあたるのでしょうか? 法律上の廃棄物の定義は以下のようになっています。
廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。
なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。
ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
つまり、別の所に持っていってもそのまま土地造成等の際の原材料となる、または自然物と変わらない「土砂」については廃棄物には当たらないということになります。
ただし、「土砂」であれば全てが廃棄物に該当しない、というわけではない点について留意しなければなりません。
廃棄物にあたる・あたらない「土砂」?
上記で「土砂」の全てが廃棄物に当たるというわけではない、と説明しました。建設現場などで発生した残土の判断を誤れば、廃棄物処理法に違反したとみなされてしまいます。ここでは特に廃棄物の判断に注意が必要な「土砂」について見ていきます。
■建設発生土
建設発生土とは、建設工事にともなって排出される土砂のことで、一般的には「残土」と呼ばれています。建設発生土(残土)そのものは、廃棄物処理法の規定に該当していないため、廃棄物には該当しません。
ただ、建設工事で発生する土砂の中には、次のような産業廃棄物が含まれている可能性が高く、産業廃棄物に分類されるものもあります。
紙くず・金属くず・コンクリートの塊・建設時に発生した木材・汚泥・有害物質 など
「金属くず」が混ざった状態であれば、「金属くず」の部分と土砂を分け、土砂の部分を取り出すことによって「建設発生土」としての扱いが可能になります。しかし、有害物質が染み込んだ土壌の扱いは慎重な対応が必要とされます。
■建設汚泥
建設汚泥とは、建設工事に建設工事に伴って排出されるもののうち、含水率が高く泥状のもののこと。建設汚泥は、産業廃棄物に分類され、廃棄物処理法のルールに従い適切に処理しなければなりません。
泥状とは、標準仕様ダンプトラックに山積みができず、また、その上を人が歩けない状態をいい、おおむねコーン指数が200kN/㎡以下又は一軸圧縮強度がおおむね50kN/㎡以下のものを指します。
※コーン指数:地盤の強度を示す指標。
・標準仕様ダンプに積み上げられず、その上を人が歩けない
・ダンプに山積みできても、運搬中に泥状に変化しやすい
これらの掘削物は建設汚泥として取り扱う必要があるため、処理する際は注意が必要です。なお、土砂か汚泥かの判断は、「掘削工事に伴って排出される時点で行うものとする」とされています。
ただし「粒子が直径74マイクロメートルを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物にあっては、容易に水分を除去できるので、ずり分離等を行って泥状の状態ではなく流動性を呈さなくなったものであって、かつ、生活環境の保全上支障のないものは土砂として扱うことができる」ともされています。
土・残土の処理方法は?
それでは、土や残土の処分はどうすれば良いのでしょうか?
土は可燃ごみとしても不燃ごみとしても処分することはできないため、それ以外の方法で正しく処分する必要があります。一般家庭などで排出された土を正しく処分するには、以下の5つの方法があります。
また、建設現場で生じた残土を処分する場合は、廃棄物処理法のルールに基づいた適切な処理が必要です。残土は第一種から第四種までの建設発生土および泥土の五段階にランク付けされており、これにより埋め立て工事等、その土の特性に最適な再利用がなされます。
残土(建設発生土)の種類と再利用法
・第1種建設発生土…砂や礫(つぶて)など<コーン指数:定められていない>
【主な用途】土木構造物の裏込め・道路用の盛り土・土地造成・河川の高規格堤防の建設・工作物の埋め戻し
・第2種建設発生土…砂を多く含む砂質土や礫の割合が多い礫質土など<コーン指数:800kN/㎡以上>
【主な用途】土木構造物の裏込め・道路用の盛り土・土地造成・河川の堤防の建設・工作物の埋め戻し
・第3種建設発生土…粘性土などのうち施工性が確保されているもの<コーン指数:400kN/㎡以上>
【主な用途】土木構造物の裏込め・道路用の盛り土・土地造成・河川の堤防の建設・工作物の埋め戻し
・第4種建設発生土…第3種建設発生土以外の粘性土<コーン指数:200kN/㎡以上>
【主な用途】土木構造物の裏込め・道路用の盛り土・土地造成・河川の堤防の建設・工作物の埋め戻し・水面の埋め立て
・泥土…建設現場などで発生する泥状の土<コーン指数:200kN/㎡未満>
【主な用途】土質の改良後、水面の埋め立て
※ただし再利用できないものは、汚泥の取り扱いに
汚泥の処分方法は、汚泥の性質や含有物によって異なりますが、セメント等固化剤による固化、脱水、乾燥、焼却等の処理によって減量化され、最終処分が行われます。建設汚泥は埋立処分のほか、海洋投入処分も認められています。
建設汚泥は、その低い再資源化率や最終処分場の残余容量の逼迫、不法投棄問題から、建設汚泥の再生利用の促進を目的とした「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」が策定されています。ガイドラインにおいて、再生利用で基本となる方策は以下の3つとされています。
・自ら利用…建設汚泥を「建設汚泥処理土」として再生利用する(建設汚泥が発生した現場内で再生利用する場合、もしくは建設汚泥の排出工事者と利用工事者の元請業者が同じ場合が対象)
※建設汚泥処理土:建設汚泥を脱水・乾燥・安定処理などの改良を行って工作物の埋戻しや土木構造物の裏込めなどの土質材料として利用できる性状のもの
・有償売却…再資源化施設などで処理された「建設汚泥処理物」を有価物として、他人に有償で譲渡する
・再生利用制度の活用
なお、再生利用が確実な建設汚泥処理物については、再生利用先へ搬入されるまでは廃棄物として扱われることで流通等が妨げられるのではという懸念から、中間処理を加えて建設資材等として製造された時点で扱える、という通知が出されています。
いかがでしたでしょうか?
今回は土・残土の処理について見てきました。
土や砂は基本的に廃棄物として扱われないため、ゴミとして処分する以外の適切な方法で処理をしなければなりません。しかし、土砂は廃棄物ではありませんが、汚泥は廃棄物に分類されます。建設現場などで発生した残土については、判断を誤れば廃棄物処理法に違反したとみなされてしまいますので、土砂と汚泥をしっかりと見極めた上で、適切な処理を行いましょう。
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