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「グリーン購入法」とは?概要から企業のメリットまで

コラム

「グリーン購入法」とは?概要から企業のメリットまで

2022/10/27
現在、さまざまな環境問題に対する取り組みが見られています。行政や企業についても、環境に配慮することが求められます。昨今は、直接的な事業活動だけではなく、環境に配慮した調達「グリーン購入」が求められます。

持続可能な社会を実現するため制定された「グリーン購入法」という法律があります。今回は「グリーン購入法」について見ていきます。

(写真素材:photo AC)

グリーン購入法とは?

グリーン購入法とは、正式名称を「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」といい、2000年5月24日に成立し、2001年4月1日から施行された法律です。国の機関や都道府県・市区町村などの地方公共団体、事業者、国民、製造メーカーのそれぞれがグリーン購入をすることで、環境配慮型の市場を拡大し、持続的発展が可能な社会の構築を図ることを目的とします。

基本方針は以下のように定められています。

国は、国及び独立行政法人等における環境物品等の調達を総合的かつ計画的に推進するため、下記に関する調達の基本方針を定める
1)国及び独立行政法人等による環境物品等の調達の推進に関する基本的方向
2)国及び独立行政法人等が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類(特定調達品目)及びその判断の基準等
3)その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項



★「環境物品等」とは…
「環境物品等」は、グリーン購入法で次のように定義されています。
1)再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料又は部品
2)環境への負荷の低減に資する原材料又は部品を利用していること、使用に伴い排出される温室効果ガス等による環境への負荷が少ないこと、使用後にその全部又は一部の再使用又は再生利用がしやすいことにより廃棄物の発生を抑制することができることその他の事由により、環境への負荷の低減に資する製品
3)環境への負荷の低減に資する製品を用いて提供される等環境への負荷の低減に資する役務

グリーン購入法の対象は?

グリーン購入法が適用される条件は以下のようになっています。

  • 国及び政令で定める独立行政法人及び特殊法人
  • 地方公共団体…努力義務
  • 民間事業者及び国民…責務のみ

それでは各々の内容を見ていきましょう。


■国及び独立行政法人等

・国及び独立行政法人等は、物品及び役務の調達にあたっては、予算の適正な使用に留意しつつ、環境物品等を選択するよう努めること
・国は、環境物品等への転換を図る活動を促進するため必要な措置を講ずるよう努めること


■地方公共団体

・地方公共団体は、環境物品等への転換を図るための措置を講ずるよう努めること
・都道府県及び市町村は、毎年度、環境物品等の調達の推進を図るための調達方針を作成するよう努める
・当該年度の環境物品等及び調達の目標を定める
・調達方針に基づき、調達を行う


■事業者及び国民

・事業者及び国民は、できる限り環境物品等を選択するよう努めるものとする
物品の製造、輸入、販売、役務の提供を事業を行う事業者は、環境への負荷の把握のため必要な情報を適切な方法で提供するよう努める
・環境ラベル等による情報提供
他の事業者が製造等する物品等について、環境負荷の低減に関する情報の提供を行うものは、科学的知見及び国際的整合性を踏まえ、有効かつ適切な情報の提供に努める


環境ラベルとは?

グリーン購入法の基本方針の「その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項」では、第三者機関による環境ラベルの情報の十分な活用を図ることを求めています。

環境ラベルとは、地球の環境負荷の低減に繋がる商品やサービスにラベルがつけられる制度のこと。製品が環境に配慮されたものであるという情報を伝達する役割を持ちます。

環境ラベルの種類によって、対象商品やサービスが異なっており、下記は日常生活の中でよく見かけられるラベルです。
  • エコマーク
  • バイオマスマーク
  • 再生紙使用(R)マーク
  • グリーンマーク
  • 統一省エネラベル
  • 燃費基準達成車ステッカー
  • エコリーフ環境ラベル
  • 植物油インキマーク

特にエコマークは環境ラベルの代表例であり、グリーン購入法の基本方針にも引用されています。
エコマークの認定基準は、多くの商品分野でグリーン購入法の「判断の基準」に対応しています。「判断の基準」に対応しているエコマーク認定製品は、グリーン購入法適合と判断できます。


★エコマークとは…
エコマークは、第三者機関である日本環境協会が審査・認証する信頼のマークです。
商品の一生(生産から廃棄までのライフサイクル全体)を考えた認定基準が策定されています。
グリーン購入法の特定調達品目をはじめ、幅広い商品分野の商品を認定しています。





特定調達物品とは?

グリーン購入法では、特定の品目について、環境への配慮の基準として「判断の基準」と「配慮事項」を定め、それに適合する商品を購入するよう努めるよう定めています。こうした重点的に調達を推進すべき物品を「特定調達品目」と言います。

特定調達品目の品目及び調達の判断基準は、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の「特定調達品目及びその判断の基準等の見直しと追加」の基づき、毎年度見直しが行われ、常にアップデートされています。令和2年度には、新型コロナウイルス感染症対策に伴う生活様式の変化やカーボンニュートラルに向けた社会情勢を踏まえ、テレワーク品目の追加やプラスチックごみ問題、次世代車および電動車に対応した改定がされました。

現在は下記の22分野が特定調達品目となっています。この22分野からさらに細分化された、285品もの品目があります。より詳しい品目をご覧になりたい場合は、環境省の「エコマークとグリーン購入法特定調達品目(2022年度版)」をご覧ください。

分野

特定調達品目

紙類

コピー用紙、トイレットペーパー等

文具類

ボールペン、ゴム印、ステープラー、ファイリング用hん、ノート、付箋紙等

オフィス家具等

椅子、机、棚、ホワイトボード等

画像機器等

コピー機、スキャナ、プロジェクタ、インクカートリッジ等

電子計算機等

電子計算機、ディスプレイ等

オフィス機器等

シュレッダー、掛時計等

移動電話等

携帯電話、PHS、スマートフォン

家電製品

電気冷蔵庫、電子レンジ等

エアーコンディショナー等

エアーコンディショナー、ストーブ、ガスヒートポンプ式冷暖房機

温水器等

ヒートポンプ式電気給湯器、ガス温水機器、石油温水機器、ガス調理機器

自動車等

乗用車、タイヤ等

消火器

消火器

制服・作業服等

制服、作業服、靴、帽子

インテリア・寝装寝具

カーテン、カーペット、毛布等

作業手袋

作業手袋

その他繊維製品

テント、旗、モップ等

設備

太陽光発電システム、テレワーク用ライセンス等

災害備蓄用品

災害用備蓄用飲料水、ブルーシート等

公共工事

盛土材等、セメント、タイル、フローリング等

役務

食堂、清掃等

ごみ袋等

プラスチック製ごみ袋





グリーン購入のメリットとは?

グリーン購入のメリットは、調達先を工夫するだけですぐに取り組める点と言えます。さらに、
グリーン購入を取り組むことで、環境保全やSDGs達成の貢献につながり、対外的なアピールにもなります。

グリーン購入のメリットは消費者側だけではなく、製造、商品やサービスを提供する事業者にとってもメリットとなるでしょう。グリーン購入の目安であるエコマークに関する調査によると、多くの消費者がエコマークに取り組む企業に好印象を持つというデータがあります。企業間においてもグリーン購入を行う際の目安としてエコマークが活用されています。

現在、環境に配慮した商品やサービス、環境経営に力を入れている企業を選択する消費者「グリーンコンシューマー」も増えています。環境配慮製品、サービスの優先的購入を進める「グリーン購入ネットワーク(GPN)」に参加する事業者も増加しています。環境に配慮しているかどうかは、商品選択や購入決定の大きな要因であると同時に、企業の環境意識の高さを伝えることができます。環境に配慮した商品の需要が高まっているなか、環境負荷の少ない商品やサービスの提供・開発を進めることで、新規事業の創出や既存事業の拡大が望めます。




いかがでしたでしょうか?

今回は「グリーン購入法」について見てきました。
施行は古い2001年と古いですが、昨今の環境意識の高まりから、その重要性が再認識されています。環境に配慮した製品やサービスが優先的に購入されるようになってきた中、環境負荷を意識した調達、モノづくりが求められています。

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