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産業廃棄物の処理に関わる許可・資格とは?

コラム

産業廃棄物の処理に関わる許可・資格とは?

2022/08/24
事業活動を続ける上で、どうしても廃棄物は排出されてしまいます。事業所から排出される「産業廃棄物」は、排出事業者が自らの責任で適正に処理することと義務付けられています。自己処理できない場合は許可業者等へ処理(収集運搬及び処分)を委託しなくてはなりません。

許可証のない業者による産業廃棄物の収集運搬・処分は、法律で禁じられています。事業者が業者に産業廃棄物の処理を委託する際には、必ず許可を所持しているかチェックしておく必要があります。しかし、委託業者がどんな許可を持っていればいいのか分からない、と思う方も多いのではないでしょうか?

今回は産業廃棄物業者に必要な許可や資格について解説していきます。

(写真素材:photo AC)


産業廃棄物に関する許可とは?

産業廃棄物は、「廃棄物処理法」で定められている、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち20種類のこと。その中でも「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」は「特別管理産業廃棄物」として規定されています。

産業廃棄物処理許可業者は、取扱う産業廃棄物の種類や業の形態で「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処分業」「特別管理産業廃棄物収集運搬業」「特別管理産業廃棄物処分業」の4種類に分けられます。いずれも都道府県や政令市の許可と監督の下、保管基準や収集運搬基準、処理基準を遵守することが義務付けられています。

以下ではそれぞれについて、業務内容や許可を得るために必要な要件などを見ていきましょう。
 

産業廃棄物収集運搬業
「産業廃棄物収集運搬業」は、特別管理廃棄物を除く産業廃棄物について、排出事業者から委託を受けて収集または運搬を行います。産業廃棄物収集運搬業の許可を得るためには、下記の条件を満たし、都道府県知事または政令市に許可申請を行います。なお、産業廃棄物の収集運搬にあたっては、収集運搬基準を満たしていなければなりません。

【産業廃棄物の「収集運搬基準」】
  1. 飛散、流出しないようにすること
  2. 悪臭、騒音または振動で生活環境の保全上、支障が生じないように必要な措置を講ずること
  3. 収集または運搬のための施設には、生活環境の保全上支障を生ずるおそれがないように必要な措置を講ずること
  4. 運搬車、運搬容器および運搬用パイプラインは、飛散、流出、悪臭の漏れがないものであること
  5. 運搬車両に、「産業廃棄物の収集または運搬の用に供する運搬車」である旨その他の事項を見やすいように表示し、かつ、必要な書面を備え付けておくこと
(廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号)

 

条件

・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの講習を受講するなど、産業廃棄物収集運搬業を行える知識・技能があること

費用

・講習受講料
新規許可申請:31,000
Web
申し込み:30,500

・届出料
新規:81,000
積替保管を含む更新:73,000
積替保管を含まない更新:42,000
変更:71,000

審査期間

おおよそ3ヶ月程度

有効期間

5年間

引き続き事業を営みたい場合、許可期限満了日の2~3ヶ月前までに更新許可申請を行う

難易度

比較的易しい



産業廃棄物処分業
「産業廃棄物処分業」とは、中間処理や最終処分の工程を事業として行うことを指します。産業廃棄物は、環境に悪影響を与えない方法で処分されることが前提となっており、廃棄物処理法では、環境への負荷の度合いによって最終処分の基準を定めています。

産業廃棄物処分業許可は、都道府県知事あるいは政令指定都市は市長から許可を得て、証明書を交付されます。許可証のない業者による産業廃棄物の処分は法律で禁じられており、排出事業者と業者の双方に罰則が科せられます。

条件

・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること

費用

・受講料

郵送申込:49,200円

Web申込:48,700円

・届出料

新規許可;100,000円

更新許可:94,000円

変更許可:92,000円

審査期間

おおよそ3ヶ月程度

有効期間

5年間

難易度

普通


*優良認定とは?
優良産業廃棄物処理業者認定制度で、下記の認定基準を満たすと優良認定を受けられます。
・順法性(5年以上の実績があり、不利益処分を受けていない)
・事業の透明性(インターネットで情報を適切に開示)
・環境配慮の取り組み(ISO14001などの認証取得)
・電子マニフェスト導入
・財務体質の健全性



特別管理産業廃棄物収集運搬業
特別管理産業廃棄物は、排出の段階から処理されるまでの間、特に注意して取り扱わなければなりません。そのため、収集運搬を事業として行う場合には、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する特別管理産業廃棄物の収集運搬課程の講習会を受講し、修了試験に合格することで得られる、資格が必要です。事業を開始するためには、都道府県・政令市に申請を出し、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を得なければなりません。

 

条件

・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること

費用

・受講料

郵送申込:47,100円

Web申込:46,600円

・届出料

新規許可;81,000円

更新許可:74,000円

変更許可:72,000円

審査期間

おおよそ3ヶ月程度

有効期間

5年間

優良認定を受けた場合は7年に延長

難易度

普通



特別管理産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物は産業廃棄物の中でも危険性が高いため、普通の産業廃棄物とは別に処理基準が定められ、処理業の許可も区分されています。処理基準には、埋立処分の際には管理型最終処分場で行わなければならない、さらに廃PCBや廃石綿の特定有害産業廃棄物に指定されているものは遮断型最終処分場で行わなければならない、などが定められています。

特別管理産業廃棄物の処理を事業として行う場合は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する特別管理産業廃棄物の処分課程の講習会を受講、修了試験に合格して資格を得る必要があります。その後、上記の処理基準を満たした上で都道府県・政令市に申請、許可を受けます。

条件

・公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格すること

費用

・受講料

郵送申込:69,300円

Web申込:68,800円

・届出料

新規許可;100,000円

更新許可:95,000円

変更許可:95,000円

審査期間

おおよそ3ヶ月程度

有効期間

5年間

難易度

難しい



★欠落要件に注意!
上記4つに関する講習の受講と届出は、下記の欠落要件に該当しないことが大前提となります。

【廃棄物処理法第7条欠落要件】
  • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ないもの
  • 禁錮以上の刑に処せられ、執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法、浄化槽法、その他生活の環境保全を目的とする法令で政令に定めるものに違反し、罰金に処せられ、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律および刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律に違反して罰金の刑に処せられ、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 一般廃棄物収集運搬・処分業の許可、産業廃棄物収集運搬・処分業の許可、浄化槽法による許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

【廃棄物処理法第14条欠落要件】
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が暴力団員に関する規定または廃棄物処理法第7条の欠格要件に該当するもの
  • 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに、暴力団員に関する規定または廃棄物処理法第7条の欠格要件に該当する者がいること
  • 個人で政令に定める使用人のうちに、暴力団員に関する規定または廃棄物処理法第7条の欠落要件に該当する者がいること
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者



産業廃棄物に関する資格とは?

産業廃棄物に関わる資格は「特別管理産業廃棄物管理責任者」「廃棄物処理施設技術管理者」の国家資格が2種類あります。「特別管理産業廃棄物管理責任者」は排出事業者に関わる資格で、「廃棄物処理施設技術管理者」は処理業者に関わるものです。

では、この2つがどのようなものか、以下で見ていきましょう。


特別管理産業廃棄物管理責任者
「特別管理産業廃棄物管理責任者」は、産業廃棄物の中でも「特別管理産業廃棄物」を事業活動から発生する場合に、その事業者に対して事業場ごとに選任することが義務付けられています。事業者が特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなかった場合は、30万円以下の罰金に処すると規定されています。

特別管理産業廃棄物管理責任者の役割・業務内容は主に以下の3点です。
  1. 排出状況の確認:事業場から生じる特別管理産業廃棄物の種類や量を正しく把握し、不法投棄や処理漏れなどのトラブルを防ぐ
  2. 処理計画の立案:特別管理産業廃棄物をどのような手段・スケジュールで処理していくのかの予定を立て、各担当者の動きを明確化する
  3. 処理方法の確保:特別管理産業廃棄物の保管状況を把握し、適切な委託業者選び・マニフェストの交付や保存を行う


特別管理産業廃棄物管理責任者には誰でもがなれるわけではなく、環境省令で定められた下記の資格が必要です。選任要件を満たさない場合でも、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)主催の講習会を修了し、試験に合格すれば同等の資格を有していると認められます。また、要件は「感染性産業廃棄物」を扱うか否かにより、若干異なります。


条件

・医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師または歯科衛生士であること

・2年以上、環境衛生指導員として働いたことがあること

・大学・高専において、医学、薬学、保健学、衛生学もしくは獣医学の課程を修めて卒業した者、またはこれと同等以上の知識を有すると認められる者

費用

郵送申込:14,300円

Web申込:13,800円

難易度

普通

感染性産業廃棄物以外を扱う特別管理産業管理廃棄物管理責任者」の場合は下記の要件が必要です。

■必要資格:実務経験
【環境衛生指導員】2年以上
【大学】
理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学:2年以上
薬学、工学、農学に相当する課程、衛生工学、化学工学以外:3年以上
【短大・高専】
理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学:4年以上
理学、薬学、工学、農学に相当する課程、衛生工学、化学工学以外:5年以上
【高校、中学】
土木科、化学科に相当する学科:6年以上
理学、工学、農学に相当する科目:7年以上


廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物処理施設技術管理者とは、廃棄物処理法に基づいて、産業廃棄物処理施設に設置が義務付けられている技術管理者のことです。処理施設の設置者が廃棄物処理施設技術管理者を務めることも可能です。設置義務を怠ると30万円以下の罰金が科されます。

特別管理産業廃棄物管理責任者の役割・業務内容は、施設が正しく稼働するように、機械や人員が適切に稼働するように管理・監督することです。廃棄物処理施設技術管理者の選任要件は、以下のようになっています。なお、選任要件を満たしていない場合でも、一般財団法人日本環境衛生センター主催の講習会を修了し、試験に合格すれば同等の資格を有していると認められます。

廃棄物処理施設技術管理者講習は、「基礎・管理課程講習」と「管理課程講習」の2種類があり、基礎・管理課程講習は、実務経験の有無に関わらず、20歳以上の全ての人が受講可能です。管理課程講習は、実務経験のある、または特定の学部を卒業しているなど、一定の条件を満たした人が対象で、学歴や経験により受講日数が短縮されます。

条件

・以下の選任要件を満たすこと

・または一般財団法人日本環境衛生センターが行う、廃棄物処理施設技術管理者講習を修了すること

費用

基礎・管理過程:121,000円

管理過程:103,400円

難易度

難しい


■必要資格:実務経験
【技術士】
化学部門、上下水道部門、衛生工学部門
上記以外の部門:1年以上
【環境衛生指導員】2年以上
【大学】
理学・薬学・工学・農学を専攻して、衛生工学と化学工学を修了:2年以上
理学・薬学・工学・農学と相当する課程を専攻して、衛生工学・化学工学以外を修了:3年以上
【短大・高専】
理学・薬学・工学・農学を専攻して、衛生工学と化学工学を修了:4年以上
理学、薬学、工学、農学もしくはこれらに相当する課程で衛生工学または化学工学に関する科目以外を修了:5年以上
【高校】
土木科・化学科または相当学科:6年以上
理学、工学、農学またはこれらに相当する科目:7年以上
【上記以外】10年以上


いかがでしたでしょうか?

今回は産業廃棄物業者に必要な許可や資格について解説してきました。

産業廃棄物は、事業者自らの責任において適正に処理しなければならない、また自ら処理しなければなりません。誤った方法で処理したり、許可のない業者に処理を委託してしまうと、思わぬトラブルにつながってしまいます。産業廃棄物の処理を外部に委託するときは、きちんと許可証を確認するようにしましょう。

また、産業廃棄物の収集運搬・処分業に興味のある方は、これから事業として営みたいと考えている方は、必要要件を確認しましょう。

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