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産廃処理に重要な「マニフェスト」を紛失したら?

コラム

産廃処理に重要な「マニフェスト」を紛失したら?

2022/07/27
事業所から排出される廃棄物は、事業者自らの責任で適切に処理することが義務付けられています。基本的に、廃棄物処理業者に運搬・処理を委託することになりますが、産業廃棄物の処理を委託する際、必ず「マニフェスト」と呼ばれる伝票を交付する必要があります。

産業廃棄物のマニフェストは、排出事業者が自社の廃棄物が適正に処理されているのか確認できる制度。マニフェスト制度には排出事業者が守らなければならない義務がいくつかあり、その一つに「保存義務」というものがあります。

では、もしもマニフェスト を紛失してしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか?


マニフェストとは?

マニフェストとは「産業廃棄物管理票」ともいい、産業廃棄物の処理を委託する際に、委託者(排出業者)が発行する伝票のことです。産業廃棄物の収集・運搬・中間処理・最終処分などを処理業者に委託する場合、委託者は業者へマニフェストを交付します。

マニフェストは、排出事業者が収集運搬業者、処分業者に委託した産業廃棄物の処理の流れを自ら把握し、不法投棄の防止等適正な処理を確保することを目的としています。そして、排出事業者は、マニフェストを使用し、委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか確認する義務があります。マニフェストを使用しないと罰則の対象となります。

廃棄物処理は「排出事業者が責任を持って処理しなければならない」と法律で決められています。もしも、処理事業者が廃棄物を不法投棄した場合、責任は委託した排出業者にあります。そのため排出業者は委託先の廃棄物処理工程を把握し、不法投棄がないよう適切に処理する必要があるのです。


マニフェストの「保存義務」とは…

紙マニフェストは複写式で、A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票の7枚綴りとなっています。マニフェストは、交付した排出事業者と受け取った処理業者とも、5年間保管することが義務付けられています。



排出事業者が交付した紙マニフェストは収集運搬業者や処分業者に提出後、A票、B2票、D票、E票の4枚は返送されます。A票については交付日から、その他は返送を受け取った日から5年間保管することとなっています。

【排出事業者が保管するマニフェスト伝票】

A票

排出時の自社控え

出時に必要事項を記入し収集運搬業者の受領サインの後、A票のみを切り取る

B2票

運搬終了の確認

収集運搬業者が運搬を完了後、返送される

D票

処分終了の確認

中間処理業者が処分を完了後、返送される

E票

最終処分終了の確認

最終処分が完了後、返送される


A票以外は各々のタイミングで返送されるわけではなく、最終処理までに紛失してしまったり、5年間という長期間の間にいつの間に無くしてしまっているケースも考えられます。

マニフェストを紛失したまま放置してしまうと、保管義務違反で6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に課せられる可能性があります。過去、紙マニフェストを廃棄した排出事業者が書類送検される事例もあります。


紙マニフェストの再交付は可能?

紙マニフェストは業者に引き渡すと同時に交付するものであるため、再交付は原則不可能となっています。

マニフェストを再交付してしまうと一回の廃棄物処分依頼に対し、2つのマニフェストが存在することになり、以前発行したものを廃棄すると保管義務違反、また委託した内容と異なる虚偽の交付をした(虚偽記載)とみなされてしまう恐れがあります。

「紛失してしまったなら、再交付すれば良いのでは?」と思うかもしれませんが、紙マニフェストを再交付することで発生するリスクも認識しておきましょう。


伝票を紛失したときの対処方法は?

では、マニフェストを紛失した場合の対処方法はあるのでしょうか? 実は、廃棄物処理法ではマニフェストを紛失した際の措置について規定されていません。

ただ、委託した収集運搬業者や処分業者が保管している伝票のコピーを、紛失したマニフェストとして代用することが可能です。

代用できるコピーの伝票
A票…B1票のコピーで代用
(収集運搬業者の会社名・運搬担当者名・運搬終了日の記載があることを確認)
D票…C1票(処分業者の控え)のコピーで代用
(処分業者の会社名・運搬担当者名・処分終了日の記載があることを確認)
E票…C1票のコピーで代用
(処分業者の会社名・運搬担当者名・処分終了日・最終処分を行った場所と所在地の記載があることを確認)



紛失が発覚したら、なるべく早く業者に依頼し、コピーを送ってもらいます。受け取ったコピーは、後日返送されるマニフェスト伝票と照合して、記載内容が適正か確認するようにしましょう。コピーの伝票には紛失の経緯と措置の内容を書面で残しておくと、後で確認する際にコピーの伝票を誤って破棄するようなトラブルも防げます。

なお、マニフェスト(A票・B2票・D票・E票)は、交付日から所定の期間内に返送・報告されなければいけません。もし、マニフェストが返送・報告される前に委託した運送業者や処理業者からマニフェスト紛失の連絡があった場合、コピーを送ってもらうなど紛失に対する措置は、期限内に完了するようにしましょう。


電子マニフェストに切り替えも

上記の対処法はあくまで故意ではない紛失時の代替措置です。マニフェストを紛失することのない管理体制を整えることが重要です。とはいえ、5年間、書類を社内に保管するのは、保管スペースの確保や管理に労力を費やすことになります。

マニフェストを保管する場所や管理体制にお悩みであれば、電子マニフェストに切り替えることもおすすめです。
マニフェストは紙か電子から選択することができ、電子マニフェスト制度は、マニフェスト情報を電子化し、①排出事業者、②収集運搬業者、③処分業者の3者が情報処理センターを介したネットワークでやり取りする仕組みです。

電子マニフェストならばマニフェスト情報は情報処理センターに保存されるため、紙マニフェストは保存義務があるのに対し、電子マニフェストは5年間保存の義務はありません。保管場所を用意する必要もなく、紛失リスクや管理の負担削減、さらにマニフェストを確認する際に探しやすいなど業務効率化といったメリットがあります。

電子マニフェストについてはこちらで詳しく紹介しています。



いかがでしたでしょうか?

今回はマニフェストを紛失した場合の対処方法について紹介してきました。紛失リスクや管理負担の削減などのため、紙マニフェストから電子マニフェストに切り替えも検討してみてはいかがでしょうか?

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