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健康にも環境にも優しいと注目の「プラントベース」とは?

コラム

健康にも環境にも優しいと注目の「プラントベース」とは?

2022/05/27
近頃、「プラントベース」という考え方が注目を集めつつあります。

ベジタリアンやヴィーガンの方のほか、健康意識が高い方、環境への配慮に関心がある方などは、プラントベースをすでにご存知で、その考え方を取り入れているという方もいらっしゃるでしょう。しかし、具体的にプラントベースとはどのような考え方なのか、そもそも言葉自体見聞きしたことがない、という方も少なくはないかもしれません。

今回は、サステナブルな食生活としても注目を集めている「プラントベース」の考え方、またプラントベースフードを提供しているお店などをご紹介します。

プラントベースとは?

まず、「プラントベース」とは、動物由来の原材料を配合せず、植物性の原材料を使用した食品全般のこと言います。また、それらを積極的に取り入れることをコンセプトとした食生活のことを指します。

プラントベースフードでは「野菜、果物、全粒穀物、植物油、ナッツ」など植物性の食材を中心にバランスよく摂ることを推奨していますが、乳製品や卵など動物性の食品を食べることも可能です。

「ヴィーガンやベジタリアンとどう違うの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ベジタリアンは「菜食主義者」の総称として知られており、一般的に肉や魚介類、それらの含有食品を食べない人のことを指します。

ヴィーガンは「完全菜食主義」といって、ベジタリアンの中でも食材を選ぶ基準が最も厳しいそう。肉類はもちろん、卵、乳製品、はちみつなどあらゆる動物由来の食品を摂らない食生活のことです。また食事だけではなく、衣食住全てにおいて動物由来の製品の使用を避けるとのこと。

一方でプラントベースは「植物由来のものを多く摂取するよう心がける」ものであり、完璧な菜食主義ではありません。植物を基本とするヘルシーな食事法であり、動物性の食品を食べることもあります。



「プラントベース」はサステナブル?

プラントベースは植物性食品をメインにすることから健康に良いことがわかります。しかし、それだけではなく、地球環境の保護にも役立つ「サステナブルな食生活」としても注目を集めているのです。

「プラントベースがサステナブルである」と言われるのは、次のような理由からです。

・温室効果ガス排出削減
動物性食品の代表格とも言える「肉」。牛や豚、鶏などの畜産動物の飼育は、地球温暖化を加速させているとの指摘があります。

日本の農林水産分野の温室効果ガス排出量は、約5000万トン(2018年度)。そのうち約1370万トンは牛のげっぷや家畜排せつ物から出る温室効果ガスと、全体の約30%を占めています。

特に牛の胃から発生されるゲップ=メタンは、二酸化炭素の約25倍の温室効果があると言われています。ただ、メタンは温室効果ガスの中でも分解されやすい性質を持っているため、私たちの行動により地球温暖化の速度を抑えられる温室効果ガスとしても注目されています。

メタンや一酸化二窒素といった温室効果ガスの排出源は畜産に限ったことではないものの、プラントベースフードを選択することで、畜産由来の温室効果ガスの削減、そして気候変動の緩和につながる可能性を期待できます。

・水資源の節約
普段私たちが食べいている「お肉」が食卓に並ぶまでに、たくさんの水が使用されています。家畜による水消費は、環境に大きな負担をかけていると、世界的に議論になることが多いテーマです。

数年かけて飼育される牛は特に水の消費量が多く、牛肉1kgの生産に約20,600リットルの水が必要だとされています。この大量の水は、飲料用ではなく、牛の飼料となる穀物を生産する際に使われています。穀物生産に大量の水が使用されており、水資源の枯渇にもつながっていると言われています。

日本は比較的水資源が豊富な国ですが、世界では干ばつや水資源の枯渇といった問題が実際に起こっています。畜産による肉食を控え、プラントベースフードに移行することで、水の使用量を大幅に削減することができます。


国内のプラントベース取り組み事例

近年は日本でも多くの企業がプラントベース商品を販売していたり、プラントベースフードメニューを提供する飲食店も登場しています。ここでは、その一例をご紹介します。

●トップバリュ
イオンのプライベートブランド「トップバリュ」では、「もっと“植物由来”」をテーマに植物置き換え食品「Vegetive(ベジティブ)シリーズ」を展開しています。主に肉や乳製品などを植物性の素材に置き換えた商品を販売。国内のスタートアップが開発した発芽大豆を原料の一部に採用した大豆ミンチやそれを素材とした大豆ハンバーグなどのラインナップがあります。

●ナチュラルローソン
ナチュラルローソンはコンビニのローソンが首都圏を中心に展開するコンビニで、女性を中心に「美しく健康で快適な」ライフスタイルを身近でサポートするお店。大豆と玄米を原料にしたZEN MEATを使ったボロネーゼ、キーマカレーのほか、ゼラチンなどの動物性原料を使わずに仕上げたヴィーガングミなど、多様なプラントベースの商品を展開しています。

●PLANT BASED TOKYO
2021年7月東京都渋谷区にオープンした、“地球とカラダにやさしい”がテーマのカフェ「PLANT BASED TOKYO」。大豆たんぱく原料を製造する不二製油の協力の下、肉や卵などを植物性素材に置き換えたメニューを開発。大豆ミートを使用した唐揚げや、副菜のサラダやひじき煮など、植物由来の食材に置き換えた日常の食事で親しまれるメニューが取り揃えられています。

●yacore(ヤコア) 吉祥寺店
2021年11月、吉祥寺御殿山に「環境・社会・人にやさしい」プラントベースカフェがオープン。ひき肉の代わりには大豆ミートを使用したハンバーガーや、豆乳を代用したラテなどのドリンクが用意されています。また、スイーツには車麩を使い、ココナッツミルクときび糖に浸し、油で揚げたヘルシーなドーナッツを食べることができます。


紹介した企業や店舗以外にも、近年プラントベース事業に参入してきている企業はたくさんあります。「プラントベース」はこれから一層広がりを見せることでしょう。



いかがでしたでしょうか?

プラントベースという言葉自体を知らずとも、大手企業でもプラントベースの取り組みがすでにはじまっており、気づかないうちに手にしていた、ということもあるかもしれません。プラントベースは手軽にすぐにでも始めることができる食生活です。
ていねいな食生活を手軽にはじめたい、健康的な食生活を送りたい、環境に配慮した生活をしてみたいなど…、プラントベースを始めるにあたっては、さまざまな考えの人がいるでしょう。どのようなきっかけでも、プラントベースは自分にとっても、環境にとってもメリットのあるものです。
企業としても、プラントベースに取り組むことは、環境へ配慮した経営であることをアピールすることができます。パリ協定の発効やSDGsの採択などにより、企業の環境への取り組みも重要視されている今、プラントベース事業への参入を検討してみてはいかがでしょうか?


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