イギリスのごみ処理やリサイクルの現状は?
2022/04/28
イギリスはヨーロッパの北西部に位置する島国で、「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」が正式名称です。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで構成されている国家です。
イギリスといえば、「紅茶」や「ビッグ・ベン」、「ハリーポッター」など、様々なものが思い浮かぶでしょう。伝統と新しい文化が共存するロンドンを始め、オックスフォードやコッツウォルズ、湖水地方など魅力的な地を擁し、観光に訪れてみたいという方も多いのでは?
そんなイギリスは、実は積極的に環境問題に取り組んでおり、2012年に開催されたロンドン五輪は、「史上最も持続可能なオリンピック・パラリンピック」として、ロールモデルの役割を果たしました。
※ロンドンオリンピックについては、こちらの記事でも紹介しています→【オリンピックは「環境保全」も大きなテーマ?】
では、イギリスでのごみの処理の現状、リサイクル・脱プラに対する取り組みはどのようになっているのでしょうか?
イギリスのごみ処理の現状
環境食糧農村地域省の発表によれば、2018年のイギリスの総廃棄物排出量は2億2000万トンで、商業・産業廃棄物は4390万トン。イギリスで発生した廃棄物の約6割をしめたのは建設廃棄物(「鉱物性廃棄物」「土壌」)でした。
イギリスおよびEUでの廃棄物処理方法は「リサイクル」「焼却(エネルギーリカバリー)」「焼却(エネルギーリカバリー以外)」「埋戻(リカバリー)」「埋立」があります。 EUでは、EU廃棄物枠組み指令(DIRECTIVE 2008/98/EC)において、廃棄物管理の優先順位を①発生防止(Prevention)、②リユース前処理(Preparing for re-use)、③リサイクル、④エネルギー回収などリサイクル以外のリカバリー、⑤ディスポーザルと定めています。
※リカバリー:特定の機能を果たすために使用される他の有用な物質を置き換えることを目的とする処理(リサイクル、燃料や熱発生のための利用、埋戻し、溶媒再生、農薬土壌の改善処理など)のこと
2018年のイギリスでの廃棄物処理方法の比率は、「リサイクルおよびその他の回収」が最多の50.4%(1億840万トン)を占めました。次に利用されている廃棄物処理方法は「埋立」で、2018年には23.6%が埋め立て処理されました。
家庭ごみの総発生量は2640万トンで、2018年と2019年は同程度のトン数でした。なお、大部分がイングランドからであり、2019年には英国全体の83%(2210万トン)を担う形に。
イギリスのリサイクルの現状
イギリスでは、1997年より容器包装リサイクル制度が導入されています。各自治体が容器包装リサイクル事業者等との調整の上、収集対象品目を決めています。例えば、ロンドン市では家庭からの廃棄物をリサイクルできるもの(紙・ボール紙・プラスチック製ボトル・プラスチック容器およびその他のプラスチック、家庭用金属包装、ガラス)と他のものに分別して排出しています。各家庭に6ヶ月おきに配布されるごみ袋で捨てます。
イギリスの家庭ごみのリサイクル率は2019年に46.2%となり、2018年から1.2%上昇しました。家庭ごみのリサイクル率は、イギリス各国で上昇を見せました。
2019年のイギリスでの包装廃棄物は、67.2%がリサイクルまたは回収されています。2020年の暫定値でも同様の結果となっており、2020年の包装廃棄物発生量1,260万トンのうち、780万トンがリサイクル、60万トンがエネルギー回収されています。なお、2020年のリサイクル率は金属が76.0%と最も高く、次いでガラス(75.8%)、紙・ダンボール(65.6%)と続きます。
イギリス政府は、容器包装のリサイクル目標を各年設定しており、2022年は以下のように定められています。
紙:83%
ガラス:82%
再生ガラス;72%
アルミニウム:69%
金属:87%
プラスチック:61%
木材:35%
また、リサイクル率を向上のために、使い捨て飲料容器(プラスチック、ビン・カン)に対するデポジット・リファンド制度が導入されています。これは、飲料製品価格に容器のリサイクル料を上乗せし、リサイクル時に返還する仕組みで、ドイツではこの制度によりリサイクル率が975になったそう。
イギリスでは年間推定130億本のペットボトル飲料が消費されていますが、そのうち30億本以上が焼却・埋立処分されるか、海洋などへ流出しているとのこと。下記で紹介するレジ袋の有料化、マイクロビーズの禁止に続く措置で、プラスチック廃棄物の削減を目指す、今後25年の環境行動計画と並行して取り組まれています。
イギリスでの”脱プラ”に向けた動き
世界各国で行われている「プラスチックごみ」の排出量削減の取り組み。日本でも2020年7月にレジ袋の有料化が義務付けられましたが、イギリスでは一足先にプラスチックごみに対する改革が行われていました。
イギリスでは2015年にレジ袋有料化がされ、主要なスーパーマーケットのレジ袋販売量を95%削減のほか、英国の浜辺では投棄されたレジ袋の数が60%以上減少に成功しているとのこと。また、レジ袋の有料化と共に、2018年にはマイクロビーズ(マイクロプラスチック)の使用が禁止、2020年10月からはプラスチック製のストロー、マドラー、綿棒の供給が禁止されました。
※マイクロビーズ(マイクロプラスチック):5mm以下の微細なプラスチックのこと
そして、2022年4月からは「プラスチック製包装税(Plastic Packaging Tax)」が導入されました。企業の再生プラスチック使用促進を目的としており、プラスチック製包装材の生産者と輸入者が対象となります。課税額は包装1トン当たり200ポンド(約3万400円、1ポンド=約152円)。
いかがでしたでしょうか?
今回はイギリスのごみやリサイクルの現状について見てきました。
一足先にプラスチックごみに対する意識改革を行ったり、世界規模のイベントである五輪での多数の環境イニシアティブを実現させるなど、環境問題に積極的な取り組みを見せるイギリス。家庭ごみの分別回収強化をしていく考えもあり、今後もイギリスにおける廃棄物および環境に対する施策は、注目していきたいところです。
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