3Rとは? 国内企業での取り組みも紹介
2022/04/26
「3R」という言葉、一度は耳にしたことがあるでしょう。
3Rは環境問題に関する重要なキーワードであり、環境省を主として取り組みが進められています。学校教育やメディアでもよく聞かれるようになったものの、その内容を詳しくはわからない、どういう取り組みがなされているのか知らない、という方も少なくないでしょう。
3Rはごみを限りなく減らし、環境への負担を可能な限り減らすことが狙いです。また、資源を有効的に繰り返し使う社会=「循環型社会」を実現するにあたっての重要な考えでもあります。より良い環境を実現するためには、個人や企業が3Rへの意識を高め、具体的な行動を起こすことが重要です。
今回は、3Rの概要、3Rに取り組んでいる企業の事例を紹介します。
3Rとは?
3Rとは「 Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の総称です。
日本で3Rの考え方が導入されたのは、「循環型社会形成推進基本法」が公布された2000年からです。循環型社会形成推進基本法は、廃棄物やリサイクル対策のあり方を定め、環境問題の解決を図るために定められた法律。この法律内で3Rの優先順位の考え方が導入され、3Rは環境対策のために取り組むべき項目として挙げられています。公布から20年以上が経過した現在においても、3Rは重要性の高い考え方です。
環境にやさしい行動の順番としては、リデュース、リユース、最後にリサイクルと提唱されています。なお、循環型社会形成推進基本法では、3Rの次に熱回収、適正処分と続き、この優先順位で廃棄物処理およびリサイクルが行われるべき、と定められています。
では3Rのそれぞれの詳細を見ていきましょう。
Reduce(リデュース)
資源の使用量や廃棄物の量を減らすことを指します。
例えば、製品をつくる際に資源の量を減らしたり、そもそもの廃棄物発生を抑えることが挙げられます。他にも、耐久性が高く長く使える製品を作ったり、製品寿命を長くするためにメンテナンス体制を整える、原材料を無駄なく使用することもリデュースにつながります。
また、最近だとレジ袋が有料化になりエコバッグの普及が広がったのも取組のひとつと言えるでしょう。
Reuse(リユース)
製品や部品を繰り返し利用する取り組みを指します。
不要になったものを、捨てずに繰り返し使用することであり、リユースショップやフリーマーケットアプリなどを活用し、使用済みの製品を売買することが挙げられます。
その実現を可能とする製品の提供、修理・診断技術の開発、リマニュファクチャリングなども取組のひとつです。
※リマニュファクチャリング…メーカー等が使用済み製品を回収した後、分解、洗浄、部品交換などを経て新品同様の製品として販売すること
Recycle(リサイクル)
再循環という意味で、廃棄物などを再生利用する取り組みのこと。
使い終わったものを、もう一度資源に戻したうえで、製品の原材料やエネルギー源として利用することであり、3Rの中でも一番耳馴染みのある言葉でしょう。
個人ができるリサイクルとしては、ペットボトルなどの資源ごみを分別回収することや、リサイクル製品を利用するなどがあります。企業側では、廃棄物をエネルギー源として再利用することなどが挙げられます。なお、新しい製品に使う原料として再資源化する「マテリアルリサイクル(原料リサイクル)」を指す場合と、さらに広い意味で、ごみを燃やす際に発生する熱をエネルギーとして使う「サーマルリサイクル(熱回収)」までを指す場合があります。
国内企業での取り組みーサントリーの事例
日本国内では、3Rに力を入れている企業も多数存在します。ここでは、3Rに取り組んでいる国内の企業の一つ、サントリー事例を紹介します。
サントリーは、アルコール飲料や清涼飲料水の製造・販売を行なっている国内企業。3Rの考えのもと、環境に配慮した容器包装の開発を行っています。飲用時からリサイクル処理まで、ユーザビリティにも配慮しながら、製品作りのなかで、環境保護のため以下のような3Rの取り組みを行っています。
(出典:サントリー|容器包装の3R )
リデュース
サントリーが行っているリデュースの取り組みは、環境に配慮したグリーンエコボトルの開発やロールラベルの使用などです。
グリーンエコボトル
「サントリー天然水」の販売に使用されているペットボトルは、従来のペットボトルよりも軽量化されたグリーンエコボトルが採用されています。独自開発の国産最軽量化によって、原料である石油資源の使用量が約4割削減されました。
ロールラベル
ロールラベルとは、ミシン目ではなくのりづけ部分からはがすタイプの商品ラベル。商品ラベルの薄肉化による、環境負荷低減にも努めており、このロールラベルはミシン目があるラベルと比較して薄くなっています。2014年4月からは、12μmのロールラベルの採用を進めており、従来のラベルに比べて、CO2排出量を25%削減を実現を可能としています。
ペットボトルの自社成型
PET樹脂「レジン」からPETプリフォームを製造し、ふくらませてペットボトルにする自社成型を推進しています。これにより樹脂の使用量を削減、ボトルの軽量化もしやすくなっています。さらに、輸送時の燃料やCO2排出量の削減もできています。
缶・びん・段ボールの軽量化
ペットボトルの他にも、缶やびん、段ボールなどの軽量化を進められています。
アルミ缶は、低アルコール飲料の缶胴を薄くする取り組みや、コーヒーのスチール缶も缶胴の薄肉化など、着実に軽量化を推進しています。
また、業界連携のもと飲料のダンボールカートンのショートフラップ化が取り組まれています。これにより、従来から紙の使用量を約20%削減できたとのこと。
リユース
サントリーで行われているリユースの取り組みは、主にびん・樽容器の再使用です。ビールや飲食店向けの清涼飲料などにはリターナブル容器が多く使用されています。これらを自社ルートで回収・洗浄して、繰り返し使用することで、環境への負荷を低減しています。
リサイクル
サントリーグループは、2012年に国内清涼飲料業界で初めてペットボトルのB to Bメカニカルリサイクルシステムを構築。これによりリサイクル素材100%のペットボトルを導入したことを、従来よりもCO2排出量を低減する世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発するなど、長年ペットボトルの水平リサイクルを実用化・推進を積極的に行っています。
そして、“2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用することで、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」の目標を掲げています。
FtoPダイレクトリサイクル技術
「FtoPダイレクトリサイクル技術」とは、BtoBリサイクルをさらに発展・効率化させたもの。回収したペットボトルを粉砕・洗浄した「フレーク」を高温で溶解・ろ過後、直接ペットボトルの原型(プリフォーム)まで製造を行うことができます。従来のシステムと比較すると、CO2排出量を25%の削減を可能としており、CO2排出量低減と再生効率化を同時に実現する技術となっています。
100%サステナブルボトル
2021年の国内清涼飲料事業における全ペットボトル重量のうち37%で100%サステナブルボトルを使用。また、料飲店向けリターナブル瓶製品を100%サステナブルボトルに切り替えています。2022年は、国内では2本に1本が「100%サステナブルボトル」になることを目標としています。
いかがでしたでしょうか?
今回は3Rの概要、3Rに取り組んでいる企業の事例を紹介してきました。
3Rは循環型社会の形成のために、とても重要な考え方です。3Rの実現のためには、国が主導するものだけではなく、企業や個人が関心・意識を高く持ち、具体的な行動を実践する必要があります。
企業が3Rに取り組むことは、CSRやESGに取り組むことにもつながり、ひいては企業イメージが向上やブランディングにつながります。現在、企業は企業は環境や社会、経済に配慮したサスティナブルな経営を求められています。3RやSDGsを新しく取り組むことを検討してみてはいかがでしょうか?
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(参考サイト)サントリー|容器包装の3R
(参考サイト)サントリー|ニュースリリース