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災害廃棄物とは? 概要や処理の流れについて

コラム

災害廃棄物とは? 概要や処理の流れについて

2022/04/06
日本は「災害大国」と言われるほど、年間を通して様々な自然災害が多発している国です。地震や台風、豪雨、竜巻など大きな自然災害も各地で発生しており、それにより、火災や水害の被害に合うケースも。

こうした災害の影響で、多くの廃棄物が発生することはよくあり、実際に処理に困ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか? また、それに伴って発生した災害廃棄物に関する報道を目にしたことがある、という方も多いと思います。

今回はこの「災害廃棄物」について見ていきます。


災害廃棄物とは?

まず、「災害廃棄物」とは一体どんな廃棄物を指すのでしょうか?

これは、台風や地震、津波等の災害で起きた際に発生したごみのことで、倒壊した建物のがれき、流れてきた木や枝など、災害によって発生した廃棄物を「災害廃棄物」と総称しています。

災害廃棄物は、大きく「し尿」「災害ごみ」「がれき」に分けられます。
し尿は、水害で便槽に流入した汚水や、仮設トイレ、避難所のトイレなどに溜まったもので、バキュームカーで収集されます。がれきは、主に家屋やビルなど建物の倒壊・焼失などに伴って発生します。

そして、災害ごみには、各家庭から出される壊れた家具や道具類、避難所から出される生活ごみなどがあります。水害の場合、水に浸かってしまった畳、衣類、生活用品なども含まれます。


災害廃棄物の処理は?

まず災害廃棄物は「一般廃棄物」に該当するため、処理責任は市町村にあります。
※産廃と一般廃棄物の処理責任については、他の記事で紹介しています。

産業廃棄物は事業活動に伴って発生する20種類の廃棄物を指し、災害によって排出された廃棄物は、産業廃棄物にあたりません。そのため、通常の一般廃棄物と同様に、焼却や最終処分は市町村が原則として行います。

ただ、災害廃棄物はその性質上、いつ発生するか、そしてその量を予測することはほぼ不可能です。災害の規模によっては、日常的に発生する一般廃棄物とは比べ物にならない膨大な量が発生することもあります。さらに土砂などが混ざっていたり、正しく分別ができなかったりと、通常の廃棄物に比べて処理に手間がかかるという特徴があります。

そのため、各市町村だけでは収集・処理がしきれないという問題が起こるケースもあり得ます。

災害が起きた自治体だけでの処理が困難な場合、特例的に被災地以外の全国の廃業処理施設処理する「広域処理」や、仮設処理施設の設置などの対策がとられます。


災害廃棄物の処理の流れは?

災害廃棄物の処理責任は市町村にあり、管轄自治体はこれらを収集・運搬して、適正に処分するしつようがあります。特に、交通障害となるような家屋の倒壊など発生した場合は、迅速に撤去することが求められます。

では、災害廃棄物の処理はどのような流れなのでしょうか?

①仮置場の設置
廃棄物を速やかに撤去するため、廃棄物を一旦搬入する仮置場が設置されます。

②仮置場への廃棄物の収集・運搬
仮置場の設置が完了したら、災害廃棄物等の収集・運搬を行います。可能な限り分別を行った上で、仮置場へ収集・運搬されます。

③廃棄物の選別
仮置場に搬入した災害廃棄物等は、重機等による粗選別で、可燃物、金属くず、コンクリートくず等に分別します。これは、焼却、破砕等の中間処理を円滑に行うため、また種類ごとの処分場に送るためです。

④仮設焼却施設の建設運転
災害廃棄物等の量は膨大であるため、仮設焼却施設を建設し、安全性を確保しつつ、可能な限り減容化が図られます。

⑤運搬・処分
収集・分別された廃棄物は各処分場に運搬され、適正に処分されます。


災害時の自治体は、平時よりも難しい状況の中、上記のような災害廃棄物の処理を含む、普段よりも困難な業務に当たることになります。そして災害時は住民たちの安全を確保するためにも、早期での災害廃棄物の撤去が求められます。

そこで自治体では、実際に災害が起きた時に、どのように災害廃棄物に対処するかを事前に定める「災害廃棄物処理計画」を作成することとされています。災害発生時は、早急に家屋などの被害状況や避難状況を把握し、この計画をもとに実際の被災状況に合わせて計画内容を見直し、具体化させ、上記のような流れで災害廃棄物を処理していきます。


災害廃棄物への備え

前項のように、各市町村では災害時に備えて、「災害廃棄物処理計画」を策定しています。このように、国や都道府県、市町村は平時より災害に対する危機感を持ち、災害時に迅速かつ円滑に対応するための対策を考えておく必要があるのです。

ただ、災害などに対して、事前の備えをしておかなければならないのは、市町村だけではなく、それは企業や組織にとっても同じこと。災害等の緊急事態が発生した際、事業の継続や早期復旧を図ることは非常に重要となります。そのためにBCP(事業継続計画)を策定しておく必要があるのです。

BCP(Business Continuity Plan)「事業継続計画」とは、災害など危機的状況が発生したときに、損害を最小限に抑え、重要業務を中断させないためのもの。万が一、事業活動が中断した場合でも、早期復旧を図る目的もあります。

緊急時にも事業を途切れずに継続、または早期復旧が実現できれば、企業は顧客からの信用を維持したり、社会的な信頼を得ることもできます。こうしたことから、各企業では平時から事業継続について戦略的に準備しておく計画が求められます。

BCPの観点からも、企業でも災害廃棄物に関して、事前に備えをしておくことが重要です。災害時に、自社敷地や周辺道路が災害廃棄物でふさがれたりなどしてしまえば、事業継続が難しくなってしまいます。事業継続を安心して行えるよう、災害および災害廃棄物の対策もBCPに含めることを検討してみてはいかがでしょうか?



いかがでしたでしょうか?
今回は「災害廃棄物」について解説してきました。

災害時はただでさえ、平時と同じように過ごすのが難しくなります。そこに災害廃棄物などといった、様々な面から速やかな対応が求められる事案も出てきます。

各市町村では、災害時に備え、災害廃棄物に関する計画を策定しています。一般家庭や企業も、万が一の場合のため、各自治体の災害対策を把握し、災害時どのような行動が必要なのかを想定しておくことが大切です。

日本は災害が多いとされている国です。日頃から災害、そして災害廃棄物に対する意識を高く持ち、緊急事態に備えて対策を講じておくことが、重要ではないでしょうか?


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