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食品ロスよりも深刻?「衣服ロス」の概要や企業の取り組み

コラム

食品ロスよりも深刻?「衣服ロス」の概要や企業の取り組み

2022/03/23
日々たくさんの資源やエネルギーを使って多くのものが生産され、そして消費されています。しかし、地球の資源は有限であり、資源を守るために様々な分野で、少ない資源で生産や消費ができる形態が必要とされます。各国や企業が取り組みを進めているものの、持続的開発を阻む要因が複数あり、その一つには、食品ロスやまだ使えるものをごみとして捨ててしまう、など資源の浪費が挙げられます。

「食品ロス」はメディアでも取り上げられる機会が多く、恵方巻きの時期などにはよく聞かれることでしょう。しかし、「食品ロス」より深刻とも言われているのが「衣服ロス」。現代はトレンドファッションを安く購入することができますが、その一方で手放す服や売れ残った衣服が大量に処分されている現状が問題視されています。

今回は「衣服ロス」について概要や企業での取り組みの事例をご紹介します。


「衣服ロス」とは?

「衣服ロス」とは、新品であったり、まだ着ることができるにも関わらず捨てられてしまう衣服のことを指します。他に「洋服ロス」「衣料ロス」とも言われています。

日本だけでも年間15億着以上が廃棄され、1日あたり1,300トンもの衣服が焼却・埋め立て処分されていると言われています。新型コロナウイルス感染症が拡大して以降は、外出自粛等の影響により、大量の衣服ロスが発生したとも。「衣服ロス」問題は、衣服がごみとして廃棄されてしまうだけではなく、生産過程から廃棄過程まで環境に大きな影響を与えてしまうことにあります。

衣服ロスは家庭からだけではなく、企業からも排出されます。
例えば過剰生産により在庫品となってしまったり、業者同士の取引の過程で必要がなくなってしまったり……などの理由から衣服ロスが出ます。在庫品を値下げして売ればいいのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、値下げはブランド価値を下げることにつながるため、廃棄されるのです。

廃棄される手段の多くは焼却・埋め立て処分で、国内で供給される衣服の製造から廃棄までの工程で排出されるCO2は推計で9500万トンに上るとされています。また、原料となる植物の栽培や染色などのために体調の水が使用され、さらに生産過程で余った生地などの廃棄物も排出されています。

このように、ファション産業は環境負荷が非常に大きく、衣服ロスは国際的な課題となっています。そうした中で、衣服の生産から廃棄に至るまで環境に配慮した「サステナブルファッション」への取り組みが広がっており、環境省による提唱もなされています。
企業の「衣服ロス削減」の取り組み

国内でも、衣服ロス問題、サステナブルファッションへの取り組みを実施している企業がいます。衣類回収や衣類のリユース活動など、さまざまな事例を紹介します。


着なくなった服を回収
「ユニクロ・ジーユー(ファーストリテイリング)」
不要になったユニクロ・ジーユーの服を各店舗に設置された回収ボックスで回収しています。回収ボックスを利用すると、ユニクロではキャンペーン実施期間の割引クーポン発行など、GUでは商品との交換や寄付に活用できるマイルを付与といった特典をもらえるようになっています。

回収した服はリユースされ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界中のNGO・NPOとともに難民キャンプや被災地への緊急災害支援など、世界中の服を必要としている人たちのもとへ届けられています。また、リサイクルの場合は独自の技術により、商品のダウン・フェザー素材に再生されたり、代替燃料に加工されたりしています。

なお、服の回収サービスを導入している企業・ブランドは、他にも下記のように多数あります。

服の回収を行っている企業・ブランド
  • 無印良品
  • H&M
  • ZARA
  • UNITED ARROWS green label relaxing
  • URBAN RESEARCH
  • Patagonia
  • ワコール
  • イオン



適正在庫とアップサイクル
「アダストリア」
グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファーム等、複数のブランドを展開する株式会社アダストリアは、適正在庫とアップサイクルによる大量廃棄問題の解決に向けた取組を実施。

売上などに応じて仕入や在庫を調整するOTB(open tobuy)管理、および商品ごとの管理を徹底し、追加発注・仕入抑制を素早く判断することで在庫を適切にコントロールしています。売れ残った在庫はアップサイクルや二次流通等への再販を実施。

アップサイクルの取り組みは2020年2月から、着られることのない在庫品を黒染めし、再販売するブランドをスタートさせています。こうした土地組みのっけか、残在庫の焼却廃棄ゼロを達成したとのこと。


衣料品リユース活動「近鉄百貨店」
近鉄百貨店では、「エコで、地球にハッピーなこと」「みんなで・楽しく・できることから始めよう」をモットーにしたエコ活動、「E~COTO(イイコト)」活動を実施。その行動の一環として、衣料品のリユース活動が行われています。

近鉄百貨店では、各店のギフトサロンで服の引き取りを4月30日(土)まで実施。服を引き取ってもらうと、“ありがとう”の気持ちとして「100円クーポン」が1枚プレゼントされます。引き取られた衣服は下記でも紹介する株式会社shoichi主催の「TASUKEAI 0 PROJECT(助け合いゼロプロジェクト)」により、東南アジアの孤児院や養護学校などに寄付されるとのことです。


アパレル在庫処分「shoichi」
株式会社shoichiでは、新品アパレルの廃棄量を減らすための取り組みが行われています。

上記でも記載したように、アパレル業界はブランド価値を重視するため、在庫品は値下げではなく、廃棄処分されます。そこで、同社では在庫品をネット販売・国内販売ではなく、海外で小売販売を行うことでブランド毀損を防ぎながら、衣服の廃棄量を減らしています。また、製品タグを付替え、ブランド名がわからないようにして、国内自社店舗で販売することでブランドの価値を下げることなく、在庫処分をなしています。

他にも、廃棄ウールを利用して、アップサイクル製品の開発・販売や、アジア諸国に物資支援・ボランティア活動を行いながら、「在庫品販売」における利益の還元や寄付、様々な奉仕活動を行う『TASUKEAI 0 PROJECT』を主催しています。




いかがでしたでしょうか?
今回は「衣服ロス」について概要や企業での取り組みの事例を取り上げました。衣服ロスが国際的な課題とされ解決に向けた行動が必要とされる中、多数の企業による服の廃棄量削減の取り組みが実施されています。「衣服」は普段の生活に欠かせないものであり、こうした企業の取り組みは消費者の意識や行動に変化を与えることでしょう。

また企業が衣服ロスへの取り組みをすることは、SDGsへの積極的な協力姿勢を示すことでもあり、環境課題の解決だけではなく、企業価値を高めることにもつながるでしょう。

衣服ロス解決への取り組みをはじめ、企業のサステナブルな活動はSDGs、CSRやESGとともに今後さらに注目されることになります。当社エコ・ブレインでもサスティナブル経営やSDGsへの取り組み等、各社動向にアンテナ張っております、サスティナブル経営・SDGs取り組みなどをご検討、ご相談がある方は、エコ・ブレインまでご相談ください!

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