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「食品リサイクル法に基づく定期報告書」とは?

コラム

「食品リサイクル法に基づく定期報告書」とは?

2022/03/16
4月は年度の変わり目ということもあり、3月ごろから年度の変わる前に済ませておかなければならない業務や、年度はじめからスタートする業務などが山積み、という方も多いのでは? 年度始めにやらなければならない大切な業務の中には、廃棄物に関するものもあり、その一つに「食品リサイクル法に基づく定期報告書」というものがあります。

まだ食べられるのに廃棄されてしまう「食品ロス」は、世界各国で問題視されており、それは日本も例外ではありません。日本での食品ロスの量は年間570万トン、一人当たり年間約45kgとなっています。これは、”お茶腕約1杯分の食べもの”を毎日捨てているのに近い量。「食品リサイクル法」とは、事業系食品ロスの減量化、再生利用を促進を目的に作られた法律です。

今回は「食品リサイクル法に基づく定期報告書」について概要や必要な項目を解説していきます。


「食品リサイクル法」とは…?

食品リサイクル法は、正式には「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」といい、食品廃棄物等の排出を抑えて資源を再生利用するために、食品関連事業者が取り組むべき事項をまとめています。

簡単にいうと「食品ロスを減少させ、資源として再利用すること」を目的としており、対象となるのは「食品関連事業者」のみ。食品関連事業者とは、以下のような事業者をさします。


★食品関連事業者とは…?
  • 食品の製造、加工、卸売又は小売を業として行う者
    (食品メーカーや百貨店、スーパー、八百屋など)

  • 飲食店業、その他食事の提供を伴う事業として政令で定めるものを行う者
    (レストランや食堂、カフェ、飲食物を提供するホテルや旅館などの宿泊施設、結婚式場など)



食品関連事業は、食品の売れ残りや製造過程で発生する食品廃棄物を抑制・減少とともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用する、などの取り組みを実施するよう求められています。さらに、年間100トンを超える食品廃棄物が発生する事業者=食品廃棄物等多量発生事業者には、再生利用等を促進するよう義務付けられています。

また、食品廃棄物等多量発生事業者については2009年から、毎年6月末までに主務大臣に対し、食品廃棄物等の発生量や食品循環資源の再生利用等の状況を報告することが義務付けられました。

食品リサイクル法には罰則もあり、食品廃棄物等多量発生事業者の再生利用等が不十分な場合、主務大臣により勧告、公表、命令されます。また、命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。


「定期報告」とは…?

上記でも触れたように、食品廃棄物等多量発生事業者(食品廃棄物等の前年度の発生量が100トン以上の食品関連事業者)は、毎年6月末までに、主務大臣に対し食品廃棄物等の発生量や食品循環資源の再生利用等の状況を報告しなければなりません。これが「食品リサイクル法に基づく定期報告書」です。

では、食品リサイクル法に基づく定期報告書はどのような内容を記載し、提出はどのように行えばいいのでしょうか?


・報告する事項
主に廃棄物等の発生量、発生抑制の実施量、再生利用の実施量と実施率など、17の報告事項があります。

報告書に記入する項目
  • 食品廃棄物等の発生量
  • 食品廃棄物等の発生量と密接な関係をもつ値
  • 食品廃棄物等の発生源単位
  • 食品廃棄物等の発生抑制の実施量
  • 食品循環資源の再生利用の実施量
  • 食品循環資源の熱回収の実施量
  • 食品廃棄物等の減量の実施量
  • 食品循環資源の再生利用等の実施率
  • 食品循環資源の再生利用により得られた特定肥飼料等の製造量及び食品循環資源の熱回収により得られた熱量
  • 法第7条第1項に規定する判断の基準となるべき事項の遵守状況その他の食品循環資源の再生利用等の促進のために実施した取組
  • 定型的な約款による契約に基づき継続的に、商品を販売し、又は販売をあっせんし、かつ、経営に関する指導を行う事業を行う食品関連事業者(いわゆる「本部事業者」。)にあっては、第3条各号のいずれかに該当することの有無


報告書を作成するときにはいくつか注意しておきたい点があります。下記でご紹介しますので、チェックしておきましょう。

・食品の製造を委託している場合、発生した食品廃棄物等は、製造を受託した事業者(受託者)の発生量となります。

・定期報告は、業種ごとではなく、食品関連事業全体における前年度の食品廃棄物等の発生量=全業種の合計が100トン以上であった事業者が対象。

・フードバンクに寄付した場合、再生利用に当たりません。

・熱回収については、食品リサイクル法における熱回収の基準に該当しているもののみを実績カウントします。
① 特定肥飼料等製造施設に関する要件
・食品廃棄物等を排出する事業場から75kmの範囲内に、特定肥飼料等の製造の用に供する施設がないこと。
・上記施設はあるが、事業場から排出する食品循環資源が再生利用に適さない種類のものである、または再生利用に適さない性状であること。
・75km範囲内の特定肥飼料等製造施設において再生利用を行うことのできる食品循環資源の量の合計を超える場合には、当該超える量についてのみ行うものであること
② 得られる熱量に関する要件
・廃食用油又はこれに類するもの 1トン当たり28,000MJ以上
・それ以外の食品循環資源 1トン当たり160MJ以上



・報告書の様式
定期報告様式(エクセルファイル)は農林水産省が、毎年ホームページで掲載していますので、ここからダウンロードしてください。一緒に記載例も掲載されているので、チェックしておくと良いでしょう。

なお、定期報告様式は、報告年度に応じた計算式が設定されているので、報告年度に対応する様式を使用するようにしましょう。


・報告書の提出方法
2020年4月から農林水産省共通申請サービスにより、定期報告の電子申請が可能になりました。そのため、下記の方法から報告書の提出を行う形になっています。

【電子申請】
・「農林水産省共通申請サービス」のファイルアップロード機能による報告
・電子メールへのファイル添付による報告

【紙で提出】
主たる事務所(本社等)の所在地を管轄する地方農政局に紙の報告書を郵送





いかがでしたでしょうか?
 
今回は「食品リサイクル法に基づく定期報告書」について見てきました。

年に1回の提出とは言え、報告書の作成から提出まで時間も手間もかかるものですし、通常業務だけでも忙しいなかだと後回しになってしまいがちです。「そもそも作成の手順や提出がよく分からないのだけど…」というお声もよく聞かれます。


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