「遊園地? 美術館?」ユニークなごみ処理施設をご紹介!
2022/03/02
私たちは日々、暮らしの中でごみを排出しています。
捨てたごみがどのような流れで処理されていくのか、についてはなんとなく知っている、イメージできるという方は多いかもしれません。しかし、実際にごみを処理する施設がどこにあるのかやそんなことをしているのか、までご存知の方は少ないのではないでしょうか?
「ごみ処理施設」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか? もしかしたら、あまりいいイメージはないと答える方もいるかもしれません。
実は、各地にあるごみ処理施設の中には、ごみを処理する役割以外の機能を持ったものや、傍目からは「ごみ処理施設」とはわからないようなものなど、ユニークな施設も! 今回はそんな面白いごみ処理施設の一部をご紹介いたします。
「まるで遊園地」舞洲工場(大阪府)
大阪市にある人工島・舞洲の公園「舞洲スポーツアイランド」の一角に、カラフルで非常に特徴的な建物があります。遠目で見ると「まるで遊園地のよう」と感じる方も多いというその建物は、一見するとどんな施設なのかわかりません。
(出典:大阪広域環境施設組合より)
遊園地のような外観をしたこの建物、実はごみ処理施設である「大阪市環境局 舞洲工場」。ごみ処理施設と聞いても、そのテーマパークのアトラクションのようなカラフルなデザインの外観からはなかなか結びつかない、と思う方も多いでしょう。それもそのはず、工場の外観をデザインしたのはウィーンの芸術家、フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー氏であり、自由な発想を持つ彼は絵画をはじめ、建築デザイン、商業デザインでもユニークな作品を残しています。
フンデルトヴァッサー氏は、生涯において「自然との調和」を目指し、「自然界に直線はない」という考えのもとから直線のデザインが極力使われていない特徴があります。舞洲工場も同じく各所の形状に曲線が採用されています。また、自然との調和の象徴として、施設内の周囲なども多くの緑で囲まれており、建物を覆う蔦も時間をかけて作られたデザインの一部とのこと。遠くからも目を引く壁面の赤と黄色のストライプは、工場の内部で燃焼する炎をイメージしているそう。
工場内部も、「おとぎの国の森のよう」な、子ども受けするようなデザイン。環境保護を学べるスクリーンやガラス越しに見えるごみピット、パネル展示やゲームなどを実際に体験して楽しみながら学べる「科学館」のような施設にもなっています。
舞洲工場のメインの役割はごみ処理。ごみの焼却施設と粗大ごみの破砕施設を併設しており、ごみ処理施設として優秀な工場です。舞洲工場含む大阪広域環境施設組合のごみ焼却工場では、ごみの焼却の際に得られる熱エネルギーを回収、発電および熱として利用(=「余熱利用」)しています。
得られた電気は工場の運転に使用するだけでなく、電力会社に売却し年間約6億円もの収入を得ているそう。さらに、工場内で発生した臭気は燃焼用空気として使われているため、ごみ処理場につきものの臭いは感じられません。
舞洲工場では、施設内を見学できる「オープンデー」が随時開催されています。自分たちが捨てたごみがどのように処理されているのかを知り、環境問題を身近な問題として考える機会を作れるスポットとなっています。模擬クレーンの操作体験やパッカー車の乗車体験などもできるそうなので、ご家族で見学してみてはいかがでしょうか?
「美術館のようなごみ処理場」中工場(広島県)
広島市の平和公園から南へ4kmほど行った南吉島に、「中工場」というごみ処理場があります。一面ガラス張りになっており近代アートのような建物は、美術館かと思うほどの開放的な作りになっています。そのきれいさは、映画のロケにも使われたほど。
(出典:広島市ホームページより)
中工場の建物をデザイン設計したのは、東京国立博物館の法隆寺宝物館、ニューヨーク近代美術館の新館などを手掛け、世界的にも有名な建築家・谷口吉生氏。都市に不可欠である清掃工場であることがわかるようにと、いかにも「工場」といった印象の外観に仕上げられたそう。それでも、コンクリートの打ちっ放しの壁やガラス張りのスペース、透明感のある手すり周りなど、スタイリッシュな様相となっています。
中工場の最たる特徴とも言えるのが、上の写真の「エコリアム」。エコロジーとアトリアムを掛け合わせた名称で、ガラス越しに稼働中のごみ焼却装置や清掃車の展示などを見ることができます。この焼却装置は最新鋭の設備で騒音も悪臭も出さないと同時に、独特の機能美を放っています。エコリウムには緑も植わっており、自然と稼働中の設備はまさに現在アートの展示のよう。
この工場では、広島市内の約400トンものごみを焼却しており、上述のごみ焼却装置だけではなく、クレーン操作室や巨大ボイラーなども見学でき、ごみ焼却の一連の流れを知ることができます。また、施設のミニチュアの設置もあり、ボタンを押すと詳しく説明をしてくれる機能がついているため、子どもたちがごみ処理について学べるようになっています。
河口沿いの敷地は開放的な公園となっており、その広い緑地は休日には家族連れによって賑わいを見せます。海に面しているため、釣りを楽しむ人も。ごみ処理から環境について学び、緑地で遊び、そして釣り、と一か所で3つも楽しめる中工場で、自分たちが捨てたごみのその先について勉強してみませんか?
「世界一楽しい?」北欧のごみ処理場
2019年10月、デンマークの首都、コペンハーゲンの海辺の工業地帯アマーに、「Copenhill(コペンヒル)」と名づけられら巨大施設ができました。一風変わったデザインのこの建物、実は最新のごみ処理場でありながら、なんと、人工スキー場、ジョギング、ハイキングやボルタリングもできる施設なのです!
建物の屋上には、全長370メートルのゲレンデが。高さ85メートルの頂上地点からグラススキーを楽しむことができるようになっています。また、外壁には、高さ80m、20m×4ピッチで構成される世界で最も高いクライミングウォールが設置されています。
ごみ処理場とは思えないデザインと機能を併せ持ったコペンヒルは、おしゃれな集合住宅が立ち並ぶすぐそばに建てられています。近郊に住む60万人分の家庭ごみが運び込まれ、ごみを焼却した際に回収した熱エネルギーは周辺世帯の暖房や電力として活用されています。排出される窒素炭化物は世界酒匂水準を誇る99%カット、そのためごみ処理場でありながら施設屋上でスキーを安心して楽しむことができるのです。
人が住む場所でごみが出されるにも関わらず、ごみ処理場が住む場所に近くに作られることに対して、あまりポジティブに捉えられません。しかし、この施設はごみ処理をしながら、市民の人気スポットを作るという逆転の発想で作られています。
持続可能な社会の実現度で世界トップクラスとされる国デンマーク、その首都コペンハーゲンは、2025年までに二酸化炭素の排出と吸収のプラスマイナスゼロ実現を目指しています。この街にできたコペンヒルは、人の暮らしとの関係を極限まで追求した、都市のごみ処理場として新たな形を見せてくれています。
いかがでしたでしょうか?
今回はユニークな特徴を持った「ごみ処理施設」の一部をご紹介しました。ごみ処理以外の機能を持ったごみ処理施設もあり、親子で楽しみながら環境について考えるきっかけ作りにもなります。
私たちは毎日ごみを排出して暮らしています。そのごみがどこで処理されているのか、またどのような過程を経て処理されているのかを知ることは、環境問題を考えるきっかけになります。ごみ処理施設の中には見学可能であったり、環境について学べる施設もありますので、自分たちの捨てたごみがどう処理されているのか、ごみ処理場で勉強してみてはいかがでしょうか?
「ごみがたくさんある」「ごみの分別がわからない」「リサイクル率を上げたい」など、ごみについてお困り・お悩みがある場合は、ごみの専門家であるエコ・ブレインにおまかせください!
長年ごみ問題に携わり、解決に導いてきた知識と経験のあるスタッフが、皆さんのごみにまつわるお悩みを解決します。
エコ・ブレインでは、東京23区をはじめ東京都含めた関東圏はもちろん、今まで築いてきた全国各地の協力ネットワークもフル活用し、北海道から沖縄まで日本全国が対応エリアとしています。廃棄物の分別も弊社が行いますので、分別の仕方が分からないという方もご安心ください!
エコ・ブレインの対応地域(東京エリア)
中央区、千代田区、文京区、港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、豊島区、北区、台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区
八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、西多摩郡、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町
ごみの処分など廃棄物関連にお困りの方、疑問がある方など、ぜひエコ・ブレインまでお問い合わせください!
(参考サイト)大阪広域環境施設組合|舞洲工場
(参考サイト)北欧の“世界一楽しい”ごみ処理場とは?【SDGs】(動画)※youtube
(参考サイト)広島市|環境局 施設部 中工場