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スイスのごみ・リサイクル事情とは?

コラム

スイスのごみ・リサイクル事情とは?

2022/02/22
「スイス」と聞けば、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
スイスは数多くの湖、村、アルプスの高峰を擁する、山岳地帯に覆われていることから、その大自然をイメージするかもしれません。もしくは、都市に残る中世の歴史地区の、礼拝堂橋など建造物を思い浮かべる方、はたまたスイスの基幹産業である銀行・金融、世界的にも有名な時計やチョコレートなどを真っ先に思いつく方もいるでしょう。

豊かかつ雄大な大自然など様々な魅力・特徴を持つスイスは、約人口850万人、日本の九州と同じぐらいの小さな国。しかしながら公用語がなんと4つもあり、住む場所によって言語圏に分かれています。そして、州によって条例が異なっており、ゴミ出しに関するルールもそれぞれ違いがあります。

そんな小さい国で、さらに州によって条例も異なるスイスでのごみの分別や処理の現状、リサイクルの取り組みはどのようになっているのでしょうか?


スイスにおけるごみ処理の現状

スイスの都市ごみ排出量は2020年は6.10千トンで、一人当たり年間約700kgのごみを排出しています。一人当たりのごみの量は、2019年時点でOECD(経済開発協力機構)加盟国の中で、デンマーク、ルクセンブルグ、ノルウェーについで4番目に多い国となりました。

スイスでは、2000年1月1日より、可燃性廃棄物の埋立は禁止となり、一切の例外は認められていません。可燃性廃棄物は回収できない場合、焼却が義務付けられています。スイスでは廃棄物はリサイクルされるか、エネルギーリカバリー(ごみ発電)のため焼却されている形です。

焼却によるエネルギー回収ができるとはいえ、できるだけ多くの廃棄物が分別収集され、リサイクルされることが望ましいとされます。スイスでは、自治体の固形廃棄物の半数以上が分別収集されているそう。これには、1990年代に各州で、家庭用指定ごみ処理袋の有料化が導入された始めたことが起因しているとされています。

ごみ処理袋の有料化により人々は節約のためにごみの分別をするようになり、同時に簡単に行き来できる集積所も作られました。なお、フランスとの国境に接するジュネーブ州では導入予定はないとのこと。ジュネーブ州は「国際都市」と呼ばれ、他の州と比べて外国人率が最もが高く(40%)、言葉が通じない方や価値観が違う方も住んでいます。そのため、ごみを不法に投棄されない対策として、ごみ袋有料化を導入しないと言われています。

分別された家庭ごみは、ごみの種類によって異なる集積所に捨てに行きます。ごみを不法投棄するば罰金を課せられ、200〜400,000スイスフラン。同じ人が違反行為を繰り返すと、罰金額は2倍ずつ加算されていく方式となっています。


【可燃物・紙】住んでいる近くの指定場所のコンテナに捨てる
【資源ごみ(ペットボトル・ガラス・電池・アルミ缶等)】指定された場所に持ち込み
【粗大ごみ・大型家具・電気製品・危険物】指定された場所に持ち込み、引き取りは無料
※指定場所までの持ち込みが難しい場合、電話やネット予約のうえ路上に出すことで、自治体に無料回収に来てもらえる
【薬】不要なもの、使用期限が過ぎている薬は、薬局に持ち込み
【洋服・バッグ・靴】まだ使える場合は、資源ごみ箱近く慈善団体が設置した箱に入れる
【食器や本等の不要なもの】歩道に設置されている箱に入れておくと、必要とする人が持っていく


なお、スイスの首都ベルン市では2018年9月から1年間、住民がリサイクル可能なものを色分けされたプラスチック袋に分け、自宅前のコンテナに入れて回収してもらう仕組みを試験導入されました。種類ごとに異なる収集所に行く手間が省けるとして試験の参加者の85%が本格導入を希望したとのことで、現在市議会で議論されているそうです。



スイスのリサイクルの現状

スイスの都市ごみは、2006年頃から一人当たり年間700kg前後を推移し続けています。その量は世界的に見てもトップクラスでありますが、その実、半分以上はリサイクル回収されているのです。スイスの家庭ごみは過去30年間で約1.5倍に増加しましたが、その一方、同期間でのごみの分別・リサイクル率も2倍に増えています。

一般的にスイスでは公共施設によるリサイクルは無料となっています。プラスチックやガラス瓶、空き缶、古紙、段ボールは、ほとんどの自治体で回収場所が常設されています。また、使用済みのペットボトルやプラスチック容器、バッテリー、電球などはスーパーでもリサイクル回収箱が設置されています。さらに、駅には、紙、ペットボトル、空き缶のごみ箱が別々に設置されています。

スイスにおいてリサイクルは、規則で義務付けられています。特に飲み物のパッケージについては、少なくとも75%のガラスびん、ペットボトル、アルミ缶はリサイクルされなければならないと条令で定められています。面積が小さい国であるスイスでは、廃棄物量の増加に伴い、公的資金を投入してあらゆる方法のリサイクルを活発に行ない、リサイクルシステムも発達させてきました。そのリサイクルシステムは、しばしば模範として取り上げられています。


プラスチックごみの減量の取り組み

世界各国で行われている「プラスチックごみ」の排出量削減に対して、スイスでも同様に取り組みが進んでいます。

ジュネーブ州では2020年1月1日より、州内の食品などの小売店がプラスチック製レジ袋の無償配布を禁止となりました。違反者には200スイスフラン以上の罰金が科されることに。なお、堆肥化が可能なバイオプラスチックや再生紙でできたレジ袋の無償提供は認められています。

また、ジュネーブ市内の公共スペースで販売などを行う場合、レジ袋やスプーン、ナイフ、フォーク、ストロー等プラスチック製品の提供も禁止になり、違反者は100スイスフラン以上の罰金が科されます。

そのほか、スイスの公共イベントでは、リサイクル可能なコップを使ったドリンクの提供や、食器類のデポジット制が推奨されています。食器類を返却されれば、事業者が消費者にデポジットとして払った分を返金する仕組みが取られています。

プラスチックごみ削減については、州や自治体による動きだけではなく、産業界による取り組みも進んでいます。スイスを代表する食品・飲料企業であるネスレは、2019年2月に製品へのプラスチック製のストロー添付廃止、紙製のパッケージングへの変更を開始しています。同社は、2025年までにすべての製品の包装資材をリサイクル・再利用可能な素材に代えていく方針を発表しています。

スイス国内の他社においても、プラスチック廃棄物削減に向けた取り組みについて発表がなされていたり、すでに進められている活動もあります。



いかがでしたでしょうか?

今回はスイスのごみやリサイクルの現状について見てきました。
日本の九州ほどの小さい国であるにも関わらず、一人当たりのごみの量がトップクラスというスイスでは、リサイクルシステムが発達しています。国民のリサイクルへの意識は高く、また州・自治体単位でもリサイクルやプラスチックごみ削減に向けた取り組みが見られています。
今後もスイスにおける廃棄物および環境に対する施策は、注目していきたいところです。


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