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”世界一清潔な国”シンガポールのゴミ・リサイクル事情とは?

コラム

”世界一清潔な国”シンガポールのゴミ・リサイクル事情とは?

2022/02/16
世界で最も清潔で安全な都市とも言われているシンガポール。

シンガポールは経済的に非常に発展していますが、環境保護にも大変力を入れている国でもあります。ごみに対する法律は特に厳しく、ポイ捨てなどの行為は罰金対象で、重大な場合は禁錮のペナルティが設けられているそう。また、警察による公衆トイレを流しているかの抜き打ち検査まで行われており、こちらに関しても罰金対象となっています。

こうした厳しい取り決めがあるため、シンガポールの人々は環境や清潔を守る意識は非常に高くなっています。多くの人が行き交うショッピングストリートも綺麗で、公園も清掃員の手によって、丁寧かつ完璧な手入れと管理がなされています。

東京23区よりもやや広い程度のシンガポール。環境保護のためには、小さな国土でいかにごみを処理するのかが大きな問題です。では、シンガポールでのごみやリサイクルの現状はどのようになっているのでしょうか?


シンガポールにおけるごみ処理の現状

シンガポールの2020年の固形廃棄物の総発生量は、およそ588万トンとなっています。ごみ総発生量は、過去4年間で徐々に減少しているようです。

シンガポールのごみのルールは、国の機関であるNEA(National Environment Agency:国家環境庁)が取り決めをしています。NEAはシンガポールの環境の保全と改善を担当している政府の組織です。NEAは環境問題に関する活動をしており、その中の一つとしてリサイクルの推進や、ごみの減量に向けて動いています。

そして、NEAはごみ分別を「リサイクルごみ」「一般ごみ」に分けることを推奨しています。

リサイクルごみ
リサイクルごみは、「ガラス」「紙類」「プラスチック」「缶」の4つに分けられます。場所によっては種類ごとに捨てますが、基本的には4種類まとめてごみ収集ボックスに捨てます。収集されたごみは、品目ごとに分けられた上で工場に運ばれ、リサイクルされます。

一般ごみ
一般ごみは、リサイクルごみ以外のごみ。日本のように可燃ごみなどの分類はなく、まとめて焼却処分されます。


シンガポールではごみ収集が有料となっており、2022年1月1日より、世帯のごみ収集料金をHDB・コンドミニアムの場合は月額$ 9.63(税込み)、一軒家の場合は月額$ 32.07(税込み)に改定されました。なお、現在は専用のごみ袋は採用されていません。分別したごみはそのままダストシュートやごみ箱に捨てますが、下記からは住宅タイプごとに詳しく説明していきます。


HDB
シンガポールの住宅開発庁(Housing and Development Board)が提供する公営住宅のことを「HDB」と言います。リサイクルごみは各建物にある専用のごみ置き場に捨て、一般ごみの捨て方は以下の3つの方法があります。

①各家庭にダストシュートがある場合(1989年以前の建物)
ダストシュートにごみを入れると、階下にあるごみ箱まで落ちていきます。ごみ回収業者が各ごみ箱のごみを取り出して、ごみ集積場に集めます。そこに集められたごみは焼却場へ運ばれます。

②各階共同ダストシュートがある場合(1989年以降の建物)
各階にある共同ダストシュートにごみを持っていき、ごみを入れます。入れられたごみはごみ収集車専用ごみ箱に集められた後に、業者によって回収されて焼却場へ運ばれます。

③ごみ置き場に直接持っていく


コンドミニアム(民間のマンション・アパート)
一般ごみは、ダストシュートに捨てるか、ごみ置き場に直接捨てに行きます。コンドミニアムで普及しているごみ集積システムに「バキュームごみ収集システム(PWCS:Pneumatic Waste Conveyance System)」というものがあります。

PWCSは、ダストシュートに入れられたごみを空気の力を利用してごみ集積場まで送るというシステム。シンガポールのように年中高温の環境であってもごみが腐りにくく、衛生的で人的コストも削減できるとされています。そのため、今後さらに多くの建物で導入されることが見込まれています。


一軒家
家の前に「一般ごみ」と「リサイクルごみ」の2つのごみ箱があり、それぞれに分別して捨てます。なお一般ごみ用のごみ箱には、ごみ収集業者によって各戸の住所が書かれています。


一般ごみ、リサイクルごみ以外のごみの一つに「電子機器(e-waste)」があります。シンガポールでは電子機器が年間約6万トンほど廃棄されているとされており、シンガポール政府は喫緊の課題としています。

2021年7月1日からは、一部の電子機器を処分する責任をメーカーや輸入業者に課す法律が施行されました。この法律に当てはまるICT機器(携帯電話やパソコン等)はタウンセンターやショッピングモールなどに設置されているリサイクルボックスに入れる、もしくは大型小売店に設置が義務付けられている店頭回収サービスを利用して捨てることになります。回収および処分費用はメーカーおよび輸入業者側の負担となっているため、無料で捨てられるようになっています。



シンガポールのリサイクルの現状

シンガポールでのごみ排出量は減少しているものの、2020年のリサイクル率は低下が見られました。NEAによると、2020年のリサイクル率は52%で、2019年の59%と比べ7%低下。リサイクル率の低下は、例年全体の廃棄物量の60%占めている「建築・解体廃棄物」「鉄系金属」の発生が、大幅に減少したことが原因となりました。

また、一般ごみのリサイクル率も2019年から、4%の低下が見られました。これは、家庭や学校、企業等から排出されるリサイクル可能な資源ごみ回収が、新型コロナウイルスの関係で一時的に停止したことによるものとされています。

シンガポールでは、リサイクル可能なものは専用のリサイクルトラックで回収され、資源回収施設(MRF)に送られます。その後、「紙」「プラスチック」「ガラス」「金属」のそれぞれに分類、梱包されて地元および海外のリサイクルプラントに送られます。 

シンガポール政府は、2030年までに埋め立て地に送るごみを、1日1人当たり30%削減、シンガポール国内全体のリサイクル率を70%に引き上げる目標を掲げています。


いかがでしたでしょうか?

今回はシンガポールのごみやリサイクルの現状について見てきました。
世界一清潔な国として知られているシンガポールでは、ごみのポイ捨てにも罰金を課すなど、厳しい取り決めをなすほど環境保全に非常に力を入れています。その結果、シンガポールの人々は環境や清潔を守る意識を高く持つようになっています。そして、世界中でも課題となっている廃棄物の減量およびリサイクルの推進は、シンガポールでも同様に課題とされ、政府は目標を定め、解決・改善に取り組んでいるのが見られています。今後もシンガポール における廃棄物および環境に対する施策は、注目していきたいところです。


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(参考サイト)SingaLife 

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