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”環境先進国”スウェーデンのごみ事情は?

コラム

”環境先進国”スウェーデンのごみ事情は?

2022/01/17
今や誰しもが一度は耳にしたことがあるであろう「SDGs」という言葉。SDGsとは22015年9月の国連サミットで採択された国際目標で、2030年までの達成を目指しています。「誰ひとり取り残さない」ことをキーワードに、先進国も含め、全ての国が取り組むべき普遍的な17の目標が掲げられています。

このSDGsについて毎年、達成度の世界ランキングが発表されているのをご存知でしょうか?このランキングは「The Sustainable Development Report(持続可能な開発レポート)」で発表され、前述の17の達成目標における取り組みを評価したスコアからランキングが作成されています。
最新の2021年のランキングでは、第1位「フィンランド」、第2位「スウェーデン」、第3位「デンマーク」と北欧諸国が上位を占める形に。第2位のスウェーデンでは前年は世界ランクトップで、過去5年間で4度も世界1位の座についています。このようにスウェーデンがSDGsの達成度が高いのは、政府だけではなく国民もSDGsの達成に積極的であるため、現実的な取り組みにつながっていると言えます。スウェーデンはSDGsへの取り組みとともに、ごみのリサイクル体制などさまざまな環境整備がなされています。国民一人ひとりが環境に対する意識が非常に高く、「環境先進国」とも言われています。

それではスウェーデンでのごみ処理の現状やリサイクルへの取り組みはどのようなものでしょうか?今回は環境先進国スウェーデンのごみ事情について見ていきます。



スウェーデンのごみと処理の現状

欧州連合(EU)加盟国で発生した廃棄物の状況については、欧州委員会統計局(Eurostat)がEU廃棄物統計規則に基づき収集・集計し、公表しています。本データによると、スウェーデンの2018年の各産業セクターと家庭からの廃棄物の発生合計は138,667,585トンでした。

都市ごみ(家庭ごみおよび商業施設、事務所、公共施設などから排出される家庭ごみと同様の廃棄物)の廃棄物処理方法別の比率(2018年)は、「焼却(エネルギーリカバリー含む)」が4割強を占め、次に「リサイクル」、「埋戻(リカバリー)」、「コンポスト化」となっています。

都市ごみの処理方法は他に「埋立」もありますが、スウェーデンでは家庭ごみのうち、埋め立てられるのは1%に満たないと言われています。残りはリサイクルまたはエネルギリカバリー・エネルギー回収(エネルギーを発生する手段として、廃棄物を焼却して得た熱エネルギーを回収して、再利用すること)されています。エネルギー回収はスウェーデンの家庭ごみのほぼ半分の処理手段とされており、回収された熱エネルギーは家庭や公共ビルの電力や地域暖房システムに使用されています。

EU廃棄物枠組み指令(DIRECTIVE 2008/98/EC)において、EUでの廃棄物管理の優先順位は①発生防止(Prevention)、②リユース前処理(Preparing for re-use)、③リサイクル、④エネルギー回収などリサイクル以外のリカバリー、⑤ディスポーザルと定められています。そして、EU指令およびスウェーデンの条例によると、エネルギー回収を伴う焼却による廃棄物処理はリサイクルとみなされます。

スウェーデンではごみの分別を100種類に分けており、家庭ごみの99%をリサイクルや上記で触れたエネルギー源としています。各種の容器は下記で詳しく紹介するパンとシステム(=デポジット制)が採用され、回収施設が身近に、製品ごとに設置されるなど非常に充実しており、ごみの分別に対する仕組みが整備されています。



スウェーデンのリサイクルの現状

それでは、スウェーデンではどのようなリサイクルの仕組みや取り組みがなされているのでしょうか?下記ではその一例をご紹介します。

コンポスト化が一般的
スウェーデンでは家庭ごみの99%がリサイクルまたはエネルギー源として利用されていると言われます。スウェーデンでは、住宅地に分別リサイクルボックスが設置され、紙類、ビン類、缶類、プラスチック類となど6種類に分類するのが一般的です。

そして、スウェーデンでは家庭の生ごみを回収し、バイオガスや肥料に再利用しています。スーパーマーケットで生ごみ回収用の紙袋が無料で配布されていたり、下記のような自動収集システムがあったりと、気軽に回収できるような仕組みがあります。

また、スウェーデンの家庭では、庭で生ごみをコンポストにして、肥料として使用するのも一般的となっています。アパートでも住民が協力して共同でコンポストする様子も見られます。華麗で生ごみを肥料にすると、自治体によってはごみの収集料金を減額してくれることもあり、多くの家庭で生ごみのコンポスト化がされているのでしょう。


パント・システム(デポジット制)
スウェーデンでは、アルミ缶やペットボトル、ガラスびんのリサイクル割合が国際的に高いとされています。その理由に、スウェーデンでは、空き缶やペットボトルをリサイクルするとお金が戻ってくるデポジット制度を導入していることが挙げられ、このリサイクルシステムは「パント・システム」呼ばれています。パントマーク(Pantmärke)が印字されている飲料を購入する際にお金を徴収され、ボトルが回収されるとその金額が返金される仕組みです。または、その返金金額分を寄付することもできます。

こうした同じような仕組み「デポジット制度」は、ドイツやノルウェーなど他の国でも導入されています。


廃棄物の自動収集システム
ストックホルム市、ハンマルビー・ショースタッドでは廃棄物の自動収集システムが採用されています。可燃ごみ、生ごみ、新聞の3種、それぞれ分別して街に設置されているゴミシューターに入れると、ごみが地下のパイプを通って集積所に自動的に送られ、収集ステーションに運搬される仕組みです。可燃ごみは上記のように焼却して熱エネルギーを回収、電力などとして提供されます。生ごみは処理時に発生するバイオガスを回収し、地域のバスの燃料などに利用されています。そして、新聞はリサイクル工場に送られ再生紙に使用されます。



いかがでしたでしょうか?

今回はスウェーデンのごみ処理やリサイクルについてみてきました。
「環境先進国」とも言われるスウェーデンでは、ごみの削減や資源の再利用の様々な仕組みが整備されていることがわかりました。それだけではなく、環境教育は幼少期からスタートしており、国民一人ひとりそして政府や企業等全てが環境への意識が高く、実際に行動に移しています。そのため、高いリサイクル率、SDGsの達成度ランキングでも常に上位を実現できています。今後もスウェーデンでの環境への取り組みは、注目していきたいところです。


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(参考サイト)Avfall Sverige  *スウェーデンの廃棄物管理協会

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