古紙リサイクルについて〜流れやリサイクルできないものとは?〜
2021/12/22
電子書籍や電子請求書など、私たちの日常生活の中でも、ビジネスの中でも電子化およびペーパーレスが進んでいます。しかし、それでも新聞やコピー用紙、お菓子等の包装紙など様々な紙類が身の回りに溢れています。
使い終わった紙類、皆さんはどのように処理されているでしょうか?現在、世界規模で持続可能な社会の形成のために、資源の有効利用を推進されています。そして、木材を原料とする紙も貴重な森林資源確保のためにリサイクルに回すことが進められています。自治体の多くでも古紙の再利用のために、燃やすごみとしての処分ではなく、資源として古紙回収に協力してもらえるよう呼びかけがなされています。
今回はこの「古紙」についてリサイクルの状況や再利用されるまでの流れ、リサイクルできないものなどを解説していきます。
古紙の利用率・回収率の現状
まず、古紙の現状について見て行きましょう。
2020年の紙・板紙合計の古紙利用率は67.2%、回収率は85.0%でした。(経済産業省「生産動態統計調査」)回収率は2010年からわずかに増減はあるもののほど横ばいで推移していましたが、2019年に落ち込み、2020年で大きく回復を見せました。利用率については2013年まで順調に右肩上がりを見せ、その後はほぼ横ばいで推移、2020年で再び増加が見られました。
なお、回収された古紙のうち、約80%が国内で消費され、残り約20%は海外で消費されています。2000年以前は回収された古紙はほぼ国内で消費されていましたが、この頃から古紙回収量が国内消費量を上回るように。ちょうどその時期より、中国をはじめとした東南アジアの各国にて製紙産業が盛り上がりを見せ、古紙を日本や欧米から輸入するようになりました。2020年には中国で古紙の全面輸入禁止となりましたが、日本国内で消費されない古紙は他のアジア諸国などに輸出され、段ボールなどにリサイクルされています。
古紙のリサイクルの流れ
1.分別排出・回収
古紙は家庭や、オフィス・店舗・工場などの事業所から排出されます。排出された古紙は、回収車両に積み込まれ、古紙問屋に運び込まれます。
2.計量・梱包・出荷
古紙問屋に到着後、重量を計ります。その後、選別され種類ごとに分別、梱包機を使用して1トンに圧縮梱包されます。
商品となった古紙は製紙工場に出荷、または輸出されていきます。
3.製紙工場-離解(溶解)
紙は、木材と古紙を原料に作られ、紙の原料となるものを大きく「パルプ」と言います。木材を細かく砕き小片にした「チップ」と薬品を一緒に煮て木材中の繊維を取り出して作られるのが「木材パルプ」。古紙中のインクやチリを除去、溶かして繊維を取り出すことで作られるのが「古紙パルプ」。大半の紙は、「木材パルプ」と「古紙パルプ」の両方が配合され、作られています。
工場に搬入された古紙はパルパーという機械に薬品などと一緒に入れられ、溶かすことで、繊維からインクなど異物を除去しやすくします。その後、溶けた古紙をスクリーンに通し、細かいごみやチリを取り除いていきます。薬剤を用いてインクなどを除き、繊維だけにした後、漂白させていきます。
4.生産
繊維をきれいな水で洗い、紙を抄くための機械(抄紙機)で、脱水、シート状に形成等の行程を経て古紙パルプとなります。古紙パルプは板紙加工してロール状に巻き取られるか、一定の大きさに裁断され、製紙原料となります。
5.加工工場-加工
生産された紙・板紙は、紙加工工場で様々な紙製品に加工され、小売店などで販売されます。
古紙の種類
古紙にはいくつかの種類があり、一般的によく目にするものとして、新聞、段ボール、雑誌、雑がみ、飲料用パックなどが挙げられます。古紙をリサイクルするために大切なことは、種類ごとに分別して排出すること。古紙はその品質や特徴に応じてそれぞれ異なる紙の原料に使われるため、適切に分別することでリサイクル率を上げたり、品質の向上につながるのです。
古紙の種類は経済産業省の統計では9分類に分けられています。用途によって、使用する紙の種類も異なっているため、細かく分別されています。
統計分類
・段ボール
・雑誌
・新聞
・上白/カード
・特白/中白/白マニラ
・模造/色上/(アート古紙を含む)
・切付/中更反古
・茶模造紙(洋段を含む)
・台紙/地券/ボール/込新
リサイクルできない古紙
古紙をリサイクルに出すときに注意しなければならないのは、「禁忌品」と呼ばれるものを混入させないようにすることです。禁忌品とは、例えば臭いのついた紙や防水加工された紙などリサイクルできないもののことであり、これらが混入してしまうと工場において、品質の低下、機械の故障の原因となってしまいます。下記の禁忌品については、資源物に混ぜずに、燃やせるごみなど適切に処理するようにしましょう。
主な禁忌品の例
カバンや靴などの詰物…カバンの緩衝材
昇華転写紙…アイロンプリント紙
感熱性発泡紙(立体コピー紙)…点字印刷物
臭いのついた紙…石鹸や柔軟剤の包装箱
食品残渣のついた紙…ピザ、ケーキなどの食品を直接包装した容器
ろう(蝋)段(ワックス付段ボール)…輸入青果物・水産加工品を入れる段ボール箱
不織布…マスク、簡易お手拭、包装紙など
使い捨ておむつなど…紙おむつ、生理用品、ペット用トイレシート
合成紙・ストーンペーパー…地図、選挙ポスター
石、ガラス、土砂、金属(工具、機械部品を含む)、木片、布類、プラスチック類
箔押しされた紙…金銀の折り紙など
建材に使用される紙…壁紙、防水シートなど
圧着はがき…公共料金の請求書
シール、粘着テープ…雑誌付録など
新聞折込チラシ、雑誌、カタログに付随したサンプル類…サンプルが付いたままの新聞折込チラシ、雑誌
防水加工された紙…紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器など
カーボン紙、ノーカーボン紙…宅配便の伝票など
感熱紙…レシートなど
印画紙…写真
硫酸紙(パーチメント紙)…クッキングシートなど
ラミネート紙、樹脂・アルミコーティング紙…酒パックなど
着色した果物類のクッション材…色の濃いもの
複合材(紙+プラスチック)…通販用緩衝封筒
※古紙再生促進センターHPより引用
いかがでしたでしょうか?
私たちの身の回りには紙が溢れており、ペーパーレス化が進んでいるとはいえ、多くのビジネスシーンで紙は活躍しています。使い終わった紙はただのごみとして処分するのではなく、適切に分別してリサイクルに回すようにしましょう。各個人、各企業が日頃からごみ削減やリサイクルを意識して行動に移すことで、持続可能な社会の形成に貢献することができます。また、古紙リサイクルをはじめとしたサスティナブルを意識した行動は、注目度が高いSDGsに取り組むことにもなり、企業のブランド力の向上にもつながります。
しかし、大きく「紙」といえども上記で見てきたようにリサイクルに回すことができない紙類もあります。古紙リサイクルに取り組みたいと考えていても、適切な分別や回収方法が分からず踏みとどまってしまうこともあるでしょう。そんな時はぜひ、弊社エコ・ブレインにご相談ください!何が資源(リサイクル)になって、何がリサイクルできないか、リサイクルスキームや回収の手順など、疑問や不安に思っていることは、エコ・ブレインがお答えますので是非お問い合わせを!
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(参考サイト)公益財団法人 古紙再生促進センター
(参考サイト)日本製紙連合会