個人・家庭でできるごみ削減、リサイクルとは?
2021/12/08
私たちは日々生活を送る中で、ごみを出さない日はないと言っても過言ではないでしょう。環境省が公表している、令和元年度における全国の一般廃棄物の総排出量は4,274万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は918グラムでした。
日常生活を過ごす中でごみの排出は免れません。しかし、資源の有効利用や環境保全等の面からごみの削減およびリサイクルはなさなくてはならない課題なのです。廃棄物削減は世界規模で取り組むべき課題で、各国、各地域でごみを減らすための取り組みや施策が実行されています。
ごみの削減は、行政や企業だけではなく、個人個人も取り組まなくてなならないものです。では、家庭・個人でできるごみ削減やリサイクルはどんなものがあるでしょうか?今回は、個人でできるごみ削減・リサイクルについて着目していきます。
家庭ごみの内訳は?
では、まず家庭ごみの中身はどのようなものがあり、どういった割合になっているのでしょうか?全国的な調査はありませんが、各自治体にて独自に調査、発表がなされています。ここでは東京都江東区と神奈川県横浜市の令和2年度の調査を例に見ていきましょう。
江東区
燃やすごみの組成割合は、生ごみ39.4%、次いで生ごみ以外の燃やすごみ37.0%、資源21.8%の順です。資源の内訳は紙類が最も多く12.2%を占めています。燃やすごみに占める、手付かず食品や食べ残しなどの食品ロスの割合は12.03%でした。
また、生ごみに占める食品ロスの割合は30.5%で、内訳は手付かず食品が16.6%、食べ残しが14.0%でした。手付かず食品の状態の割合は賞味・消費期限内が13.3%、賞味・消費期限外が34.9%、果物や野菜など期限の表示がない「表示なし」が51.2%でした。燃やさないごみの組成割合は、燃やさないごみが80.7%で金属類・ガラス類・陶磁器類が大半を占めます。次いで、燃やすごみが11.1%、古紙・びん・缶・容器包装プラスチックなどの資源が7.4%混入しています。
横浜市
燃やすごみの中の資源物の割合は、「生ゴミ」が34.0%、「紙類」が27.8%、「プラスチック類」が12.2%、「木竹類」が9.4%、「繊維類」が8.6%、「金属・ガラス」が1.8%、「その他」が6.2%でした。分別収集品目拡大後、大きく減少しましたが、分別対象である「古紙」や「プラスチック製容器包装」などはまだまだ多く含まれています。
なお、燃やすごみに含まれる生ごみのうち、約半分が「手つかず食品(手がつけられないまま捨てられる食品)」、「食べ残し」と「過剰除去(野菜の皮など不可食部分を取り除く際に可食部を過剰に取り除いたもの)」の「食品ロス」が占めました。また、燃やすごみに含まれるプラスチック類のうち、約60%が「ワンウェイプラスチック」でした。
個人でできるごみ減量方法は?
それでは、家庭・個人でできるごみを減らす方法とはどんなものがあるのでしょうか?いくつかの観点にわけてご紹介していきます。
ごみの分別から
ごみを適切にしっかりと分別することがごみの削減につながります。分別でごみを減らす方法としては、下記のようなものが挙げられます。
・「燃やせるごみ」と「リサイクルごみ」を分別する
・回収してもらえるものは廃品回収に出す
・スーパーのリサイクル回収ボックスを活用する
・段ボールや新聞紙、雑誌は資源回収に出す
・容器プラスチックごみは細かく切って量を減らす
・生ごみを捨てるときはしっかり水切りをして量を減らす
3Rの観点から
ごみを減らすキーワード「3R(スリーアール)」で、具体的な方法を御案内します。
リデュース(発生抑制)
・リデュース食器を利用する
・なるべく詰め替え商品を買う
・マイバックを持って無駄な包装は断る
・使い捨て商品の使用を控えたり、詰め替え用品を使う
・レンタルやシェアリングシステムを利用する
・過剰包装や不要な割り箸、おしぼりなどを断る
・食べ物は残さず食べる、食べきれる分だけ買う、作る
リユース(再使用)
・リサイクルショップやフリマアプリなどを利用
・フリーマーケットやリサイクルショップを活用する
・開発途上国や被災地の支援団体に、不要となったものを提供する
・ビール瓶などを洗浄・殺菌してもう一度使う(リターナブル容器を使用する)
・着られない服は雑巾などにする
・広告の裏をメモ用紙にする
リサイクル(再生利用)
・資源ごみの分別回収に協力する
・資源ごみの効率的な分別回収を広める
・リサイクル製品を積極的に利用する
食品ロスの観点から
まだ食べられるのに捨てられてしまう食品を指す「食品ロス」は世界的に大きな問題となっています。食品ロスは食品メーカーやスーパーマーケットで発生しているというイメージがあるかもしれませんが、食品ロスの半分は家庭から発生しています。
家庭からの食品ロスの要因は、料理を作りすぎたりして残る「食べ残し」、野菜の皮や茎など食べられるところまで切って捨ててしまう「過剰除去」、未開封のまま食べずに捨ててしまう「直接廃棄」です。少し意識したり、工夫したりするだけ、食品ロスを減らすことができますので、日々の買い物や料理の際に取り入れてみましょう。
・買い物前に、冷蔵庫や食品庫にある食材をチェックする
・まとめ買いを避け、使う分、食べられる量だけ買う
・消費期限と賞味期限の違いを知る
・すぐに使う予定の食材は、お店の食品棚の手前からとる
・食品に記載された保存方法に従って保存する
・野菜は、冷凍・茹でるなど下処理して、ストック
・作り過ぎて残った料理は、リメイクレシピなどで使い切る
・食べきれる量を作る
また、上記の「家庭ごみの中身」で触れたように燃やせるごみの中でも、生ごみの割合が高くなっています。ごみ削減のために、生ごみの減量化を図る必要があります。そのためには、食べ残しを減らす、食材を有効に利用することももちろん大事ですが、生ごみになってしまったものを家庭で処理する自家処理が、減量化方法として大変に効果が大きいと言われています。
家庭で生ゴミを処理する最も簡単な方法は、堆肥化。生ごみは土に埋めておけば、自然界に生息する微生物などが水と二酸化炭素に分解してくれます。庭があるのならば家庭用コンポスト化容器を利用すれば特別な資材を必要とせず、最も進められる方法といえるでしょう。他に段ボールコンポスト、家庭用生ゴミ処理機などもあります。
プラスチックごみ削減の観点から
プラスチックごみの削減策として、2020年7月からレジ袋の有料化がなされました。その効果もあり、マイバッグの使用が急激に進みました。プラスチックごみ削減は世界的にも大きな課題として捉えられており、企業でもワンフェイ容器の廃止・有料化や紙製などに変更、などといった取り組みがなされています。それでは、個人・家庭ではどんなことができるのでしょうか?
・マイボトルを持ち歩き、プラスチックのカップを減らす
・使い捨てのストローやスプーンといったワンウェイプラスチックの利用を減らす
・スーパーなどで食品を小分けにするポリ袋の使用を減らす
・詰め替え用ボトルなど繰り返し使えるものを選ぶ
・食品の保存はふた付き容器を使い、ラップの使用を減らす
・買い物のときには簡易包装を頼む
いかがでしたでしょうか?
今回は個人やご家庭で取り組めるごみ削減やリサイクルについて見てきました。 私たちは日々ごみを排出しており、ごみ問題は、国や自治体だけではなく私たち一人ひとりも意識していかなければならない大きな課題です。 一人一人では小さな効果かもしれませんが、多くの世帯で取り組めばその分大きな効果が得られることでしょう。すぐにでも実践できるものもありますので、お一人でも、お子さんやご家族とでも、取り組んでみてはいかがでしょうか?
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(参考サイト)環境省
(参考サイト)消費者庁
(参考サイト)政府広報オンライン
(参考サイト)江東区
(参考サイト)横浜市
(参考文献)松藤敏彦 2019『科学的に見るSDGs時代のごみ問題』