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エコ先進国のドイツ、ごみ処理やリサイクルの現状は?

コラム

エコ先進国のドイツ、ごみ処理やリサイクルの現状は?

2021/12/03
ごみの排出は生活を送る上で免れないものです。ただ、持続可能な社会を目指すため、環境保護等の面から世界各国でごみを減らすための動きが進められています。

世界の都市廃棄物排出量3位(2019年※GLOBAL NOTEの統計)のドイツは、環境意識が高いと言われており、世界的に見てもリサイクルやエコの先進国でもあります。

今回はドイツのごみ処理やリサイクルについてみていきます。



ドイツのごみと処理の現状

欧州連合(EU)加盟国で発生した廃棄物の状況については、欧州委員会統計局(Eurostat)がEU廃棄物統計規則に基づき収集・集計し、公表しています。ドイツの廃棄物発生量も本データに記載されており、2018年の各産業セクターと家庭からの廃棄物の発生合計は405,523,624トンでした。なお、EU加盟国のなかで最多の廃棄物発生量となりました。産業セクター・家庭別の廃棄物発生量の比率は大半が建設業が占めるという結果に。

ドイツおよびEUでの廃棄物処理方法は「リサイクル」「焼却(エネルギーリカバリー)」「焼却(エネルギーリカバリー以外)」「埋戻(リカバリー)」「埋立」があります。リカバリーとは、特定の機能を果たすために使用される他の有用な物質を置き換えることを目的とする処理(リサイクル、燃料や熱発生のための利用、埋戻し、溶媒再生、農薬土壌の改善処理など)のことを言います。ドイツでの廃棄物処理方法別の比率(2018年)は、「リサイクル」が約4割を占め、次に「埋戻(リカバリー)」、「埋立」、「焼却(エネルギーリカバリー)」、「焼却(エネルギーリカバリー以外)」と続きます。

EUでは、EU廃棄物枠組み指令(DIRECTIVE 2008/98/EC)において、廃棄物管理の優先順位を①発生防止(Prevention)、②リユース前処理(Preparing for re-use)、③リサイクル、④エネルギー回収などリサイクル以外のリカバリー、⑤ディスポーザルと定めています。

ドイツでは、家庭から排出されるごみは、家やアパートごとに設置されているごみ箱に捨てます。ごみ箱は下記のように4色に分かれており、それぞれにごみを分別して処分します。ドイツでは生ごみ、家庭ごみの回収は有料となっており、アパートに住んでいる場合は管理費として家賃等に組み込まれています。

緑色のごみ箱
生ゴミ、枯葉などの植物を捨てます。スーパーマーケットなどで、無料で手に入れることができる紙袋に生ゴミを入れて捨てます。数週間かけてコンポストにするため、料理の残りや、塩の入はいったものは混ぜてはいけません。できた肥料は後述のリサイクリングホフで無料で配布したり、一般の店舗で購入できます。魚や肉の骨を入れることもできるなど、州によって捨てられる範囲は異なります。

青色のごみ箱
古紙、段ボールなどの紙類を回収します。紙類は青い袋に入れて捨てることもあります。ただ、神でも汚れているもの、ティッシュやキッチンペーパーなどは下記の黒いゴミ箱に捨てます。

黄色のごみ箱
金属容器や、プラスチック容器などの包装容器ごみを捨てます。包装容器は商品を作った会社が処理することになっています。工場で自動で洗って分別するため、汚れたまま捨てることができます。処理のための費用は商品に上乗せされているため、無料で捨てられます。

黒色のごみ箱
割れてしまったガラス、タバコの吸殻、綿棒など再利用できないごみ全てを回収します。
また、ドイツ語でごみ用の大型コンテナのことを指す「トンネ」というものがあります。ドイツでは上記のごみ箱の他に、自宅近くにあるトンネに出さなくてはいけないごみがあります。ごみの種類によってトンネの色が異なり、こちらは無料で捨てることができます。

青いトンネ(Altpapier)
古紙を捨てるためのコンテナ。新聞や紙袋、手紙や古本などは全てこの青いトンネに捨てます。壁紙などは捨てることはできません。

黄色いトンネ(Wertstoffe)
金属容器やプラスチックゴミを捨てます。プラスチックの袋や牛乳パック、プラスチックタッパーや工具など。捨てられるのは、後述するデュアルシステムで包装廃棄物を回収するために包装材につけられるマーク「グリューネプンクト(Grüne Punkt)」のマークが付いているものです。

びん・ガラス用のトンネ
びん・ガラスの色別にトンネも分かれており、緑色のガラスは緑のガラス用トンネ、茶色のガラスは茶色のトンネ、透明のガラスは白いガラス用トンネにのみ捨てることができます。これらは回収された後、リサイクルに回されます。

なお、ドイツで机、椅子、ベッドなどの粗大ごみを処分したい時は、有料で回収してもらうか、また自分で持ち込みます。自治体によってはごみ回収を行っている業者が無料で取りに来てくれることも。


ドイツのリサイクルの現状

リサイクル率が高いと言われているドイツ。それではどんなリサイクルへの取り組みがなされているのでしょうか?

デポジット制度
デポジットとは、「預かり金」や「保証金」のこと。ドイツでは増え続けるプラスチックごみ問題の解決策として、デポジット制度が導入されています。瓶やペットボトルなど飲料容器に「Pfand」マークが付いている場合は、その容器にデポジット料金が上乗せされています。商品を飲み終わった後、そのペットボトルや缶を、スーパーなどに設置されている自動回収機に持っていくことで、その料金が返ってきます。この制度により、ワンウェイ容器の回収・リサイクル率が上がり、街の清浄化にもつながったと評価されています。

EUが2015年に発表した「循環型経済パッケージ」行動計画の中のプラスチック分野の政策「欧州プラスチック戦略」は、循環経済への移行に向けた、プラスチックのより持可能で安全な消費と生産方法の支援を目的としています。この中で2030年までには「EU市場に出回る全てのプラ製容器包装は、費用効果的な方法でリユース又はリサイクル可能にする」「欧州で発生した廃プラの半分以上をリサイクルする」などの目標が掲げられています。2017年のプラスチックリサイクル率のトップはドイツの95%、2位はリトアニアとフィンランドの92%、3位はノルウェーで88%、4位はデンマーク、クロアチア、エストニアで86%でああり、これらの国にはデポジット制度が導入されています。


ドイツデュアルシステム(DSD)
DSDとは1990年に、ドイツの製造業者や流通業者等が集まって設立した、ごみの回収とリサイクルを代理する会社(ドイツ・デュアル・システム有限会社=DSD)です。1991年に制定された容器包装廃棄物令により、一般家庭から出る容器包装廃棄物の処理責任を生産者等にあると定めており、使いおわった容器包装を集めてリサイクルすることになっています。会社はDSDにお金を払い、DSDがまとめて処理します。現状、DSDのような会社がドイツには約10社あります。DSDが処理する商品には、「緑のマーク=グリューネプンクト(Grüne Punkt)マーク」がついています。


リサイクリングホフ(der Recyclinghof)
リサイクリングホフはいわゆるごみの回収センターのこと。リサイクリングホフには、ごみの種類別に大きなコンテナーが置いてあり、電池、廃材プラスチックや、枝、紙などを回収しています。市民は無料で持ち込めますが、企業からのごみは、有料になります。

またリサイクリングホフにあるリサイクルセンターでは持ち寄られたものでまだ使えることのできるものなどを無料で提供しています。



いかがでしたでしょうか?

今回はドイツのごみ処理やリサイクルについてみてきました。エコ先進国・環境大国といわれるドイツでは、1972年に初めて連邦レベルの廃棄物処分法が施行されました。その後、容器包装廃棄物令を定めるなど、廃棄物処理およびリサイクルの仕組みを段階的に発展させてきた背景があります。

ドイツは循環型経済への移行をより強力に推進していくため、法律や規制の改正をたゆまなく行い、生産者責任の拡大をしながら、また、消費者への啓発活動を通じて、資源のリサイクルの仕組みを改善し続けている。今後も世界の循環型社会形成を牽引していくと考えられる、ドイツの環境施策に注目していきたいところです。


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