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電子マニフェストの仕組みとメリットとは?

コラム

電子マニフェストの仕組みとメリットとは?

2021/10/29
電子決済や電子書籍など、私たちに日常生活の中でも電子化が進み、身近なものとなっています。教育機関でも教材やテストなどもどんどん電子化がされてきています。働き方改革や新型コロナウイルス感染症拡大によりテレワークの導入も進み、書類の電子化が再注目されています。

様々な業界・場面で進む電子化。単にペーパーレスにするだけでなく、情報をより活用しやすくしたケースやセキュリティを高める、業務の効率化など多くの効果を生んでいるケースもあります。その1つに「電子マニフェスト」というものがあります。これは事業活動を続けていくにあたり、提出しなければならない書類のなかの、ごみにまつわる書類で行政提出する「産業廃棄物交付状況報告書」に関わるものです。

今回は「電子マニフェスト」について見ていきます。


「電子マニフェスト」とは?

まず、マニフェストとは「産業廃棄物管理票」のことで、産業廃棄物の処理を委託する際に、委託者(排出業者)が発行する伝票を指します。産業廃棄物の収集・運搬・中間処理・最終処分などを処理業者に委託する場合、委託者は業者へマニフェストを交付します。

マニフェストは、排出事業者が収集運搬業者、処分業者に委託した産業廃棄物の処理の流れを自ら把握し、不法投棄の防止等適正な処理を確保することを目的としています。そして、排出事業者は、マニフェストを使用し、委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか確認する義務があります。マニフェストを使用しないと罰則の対象となります。

マニフェストには、紙媒体のものとネットワーク上でやり取りができる電子媒体のものがあり、後者が「電子マニフェスト」と呼ばれています。電子マニフェストは、平成10年から導入が始まり、情報を電子化することによりインターネット上でいつでも利用できる利便性の高いシステムです。廃棄物管理データの透明性確保や事務処理の効率化など様々なメリットがあります。



「電子マニフェスト」の仕組み

電子マニフェスト制度は、マニフェスト情報を電子化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処理センターを介したネットワークでやり取りする仕組みです。廃棄物処理法第13条の2の規定に基づき、日本産業廃棄物処理振興センターが全国で1つ の「情報処理センター」として指定され、電子マニフェストシステムの運営を行っています。

電子マニフェストを利用する場合、排出事業者と委託先の収集運搬業者、処分業者の3者が加入する必要があります。



「電子マニフェスト」を導入するメリット

電子マニフェストのメリットは、紙マニフェストと比べてヒューマンエラーによるトラブルが減少するなど多数あります。

①ヒューマンエラー防止
電子マニフェストへの入力項目はシステム上管理されているため、すべての項目を入力しないとマニフェストが発行されないようになっています。そのため、記載ミスや記載忘れを防止することができます。また、終了報告の確認期限が近づくと、注意喚起を促すなどヒューマンエラーを防止する仕組みになっています。

②リアルタイムで廃棄物の処理状況が確認可能
電子マニフェストは、24時間いつでもどこでも、マニフェストの登録や状況の確認が可能。
廃棄物の運搬や処理が完了したときには排出事業者へ運搬終了報告、処分終了報告、最終処分終了報告が、情報処理センターからメールなどで通知されます。そのため、廃棄物の処理状況をリアルタイムで確認をすることができます。

また、排出事業者は外出先でもインターネットに接続できる環境があれば、簡単な操作で処理の状況が把握できます。ですので、急ぎで契約情報の確認が必要という場面でも、その場ですぐ確認することが可能となっています。

③保管の不要
紙のマニフェストには5年間の保管義務があります。特に多量排出事業者にとって、5年もの間、書類を社内に保管することは、スペースの確保や管理にかなりの労力を費やすことになります。一方で電子マニフェストは、情報処理センターに直接情報が保存され、いつでもマニフェスト情報を確認することが可能となるため、書類を保管し続ける必要、マニフェストの紛失のリスクがなくなります。

④産業廃棄物管理票交付等状況報告が不要
紙マニフェストでは、「産業廃棄物交付状況報告書」というマニフェストの交付状況を年に一度、都道府県等に報告することが定められています。しかし、電子マニフェストは情報処理センターが報告を代行してくれるため、排出事業者による報告書の作成・提出が不要になります。

⑤データの透明性
排出事業者、収集運搬業者、処分業者がそれぞれのマニフェストを相互に閲覧できるため、いつでも閲覧・監視して不適切なマニフェストの登録や報告を防ぐことができます。そのためデータの透明性を確保が可能となります。

⑥事務作業の効率化
電子マニフェストの導入により、事務処理の効率化が期待できます。電子マニフェストは紙マニフェストと比較して、年間3,000時間の事務処理時間圧縮につながるとされており(出典:日本廃棄物処理振興センター)、その効果の大きさが伺えます。

産業廃棄物の排出が多い事業者にとっては、電子マニフェストの恩恵は非常に大きいものと言えるでしょう。

 


 

今回は「電子マニフェスト」についてその仕組みやメリットについて簡単に見ていきました。
マニフェストは産業廃棄物を排出、処理の委託をした事業者が交付しなければならないものなので、手間をかけずに効率的に事務処理を行うためにも、電子マニフェストの運用を検討されてみてはいかがでしょうか?

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