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食品ロス削減に関する「食品リサイクル法」とは?

コラム

食品ロス削減に関する「食品リサイクル法」とは?

2021/08/25
新型コロナの影響で、学校の休校や外出自粛、飲食店の休業・営業時間短縮などで、使用するはずだった食品が余ってしまう(未利用食品)、というニュースがよく聞かれます。こうしたニュースの中で「食品ロス」という言葉が出てきます。

「食品ロス」は以前から世界的な課題としてあげられており、最近よくメディアで取り上げられることの多い「SDGs(SustainableDevelopment Goals(持続可能な開発目標)」でも、⾷料の損失・廃棄の削減が⽬標に設定されています。

食品ロス削減に関する法律の一つに「食品リサイクル法」があります。これは、⾷品関連事業者による食品リサイクルの取り組みを推進させる目的で2001年より施行され、2007年に一部改正されました。

今回は「食品ロス」および「食品リサイクル法」についてみていきたいと思います。

食品ロスとは?

「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。

日本での、年間食品ロスの量は600万トン。国民一人当たり”お茶腕約1杯分(約130g)の食べもの”が毎日捨てられている計算になります。(農林水産省及び環境省「平成30年度推計」より)

食品ロスは大きく、事業活動を伴って発生する「事業系食品ロス」、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」の2つに分けられます。
上記の食品ロス量の内訳は、事業系食品ロス量が324万トン、家庭系食品ロス量が276万トンでした。事業系の食品ロスは更に4業種に分類でき、各業種の食品ロス量は以下のようになっています。
  • 食品製造業・・126万t
  • 食品卸売業・・16万t
  • 食品小売業・・66万t
  • 外食産業・・・116万t

世界で約11人に1人が栄養不足、慢性的な飢餓に陥っている状況にあります。(2020年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書)しかし、その一方で先進国では食べられる食品が廃棄される「食品ロス」が大量に発生しており、こうした現状を解消する必要があるのです。

食品リサイクルとは?

食品ロス削減に関する法律の「食品リサイクル法」、食品リサイクルとはどんなものなのでしょうか?

食品リサイクルの手法としては、飼料を生産して畜産業者などで利用する飼料化、肥料を生産して農家などで利用する肥料化、油脂や油脂製品への利用、メタン利用などがあります。 これに加えて、改正法ではリサイクルが困難な場合に熱回収を行うことができるようになりました。リサイクルされた食品は約70%が飼料化、約18%が肥料化されています。

飼料化
食品リサイクルの中で、成分や熱量を最も有効に活用できる方法です。食料自給率の向上にもつながります。⾷品循環資源が有する豊富な栄養価を、最も有効に活⽤できること等から、⾷品リサイクル⼿法のうち最優先とされています。

肥料化
食品廃棄物等からたい肥等が生産され、肥料として利用されています。エコファーマーの増加やCO₂削減の効果も期待されます。また、農家を含めた地域連携の促進にもつながります。

メタン化
 メタン化とは、動植物性残さなど有機性廃棄物を嫌気性細菌によってメタン発酵させることでバイオガス(メタン約 60%、二酸化炭素 40%で構成され、そのほかに微量の硫化水素、水素、窒素などが含まれる)を発生させ、これを熱供給や発電用の燃料として利用する技術です。 

食品リサイクル法とは?

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)」とは、食品関連事業者(製造、流通、外食)に、売れ残った食品や食べ残し、食品の製造過程で発生する食品廃棄物を減量化およびリサイクルを義務付けた法律です。

対象
食品リサイクル法で対象となるのは「食品関連事業者」

  • 食品製造業・加工業(食品メーカーなど)
  • 食品卸売業・小売業(各種食品卸、スーパー、コンビニエンスストア、八百屋、魚屋。百貨店等の小売業など)
  • 飲食店業その他食事の提供を行う事業者(レストラン、ホテル、旅館、食堂、結婚式場など)

対象となる食品廃棄物
食品リサイクル法で対象となる食品廃棄物は以下の通りです。

  • 食品の売れ残り
  • 食べ残し
  • 返品・過剰生産分
  • 製造・加工・調理の過程において生じたくず
固形状の物だけでなく、廃食用油や飲料等の液状物も含まれます。
なお、家庭から排出される生ごみは除きます。

仕組み
食品リサイクル法に基づく再生利用等の仕組みは以下のようになっています。

基本方針
食品循環資源の再生利用等を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を定めています。
基本方針では、再生利用等を実施すべき量に関する目標を、業種別(食品製造業、食品小売業、食品卸売業、外食産業)に定めています。

2024年度までに目指す再⽣利⽤等実施率⽬標は、⾷品製造業95%、⾷品卸売業75%、⾷品⼩売業60%、外⾷産業50%と設定されています。

事業系⾷品ロスについて、SDGsも踏まえ、2030年度を⽬標年次として、サプライチェーン全体で2000年度の半減とする⽬標を新たに設定され、国全体の動きとして食品ロスの削減の推進が図られています。

食品関連事業者による再生利用等の実施
基本方針の目標を達成するために、食品関連事業者ごとの再生利用等の実施率や発生抑制の方法といった目標を定めます。

食品関連事業者のなかでも、食品廃棄物等の前年度の発生量が100t以上である場合は「食品廃棄物等多量発生事業者」といいます。こちらは、毎年度、主務大臣宛に食品廃棄物等の食品循環資源の再生利用等の状況を報告することが義務づけられています。再生利用等が基準に照らして著しく不十分であると判断された場合、勧告、公表及び命令が行われることもあります。

再生利用を促進するための措置
食品循環資源の肥飼料化等を行う事業者についての登録制度を設け、委託による再生利用を促進します。
また、食品関連事業者が肥飼料等製造業者及び農林漁業者等と共同して、食品関連事業者 による農畜水産物等の利用の確保までを含む再生利用事業計画を作成、認定を受ける仕組みを設け、計画的な再生利用を促進します。


食品リサイクルの現状

食品廃棄物等の発生量
平成30年度の食品産業全体の食品廃棄物等の年間発生量は1,765万トンでした。
業種別では、食品製造業は1,400万トン、食品卸売業は28万トン、食品小売業は122万トン、外食産業は215万トンとなっています。

⾷品製造業から排出される廃棄物等は、量や性質が安定していることから、分別も容易で、栄養価を最も有効に活⽤できる飼料への再⽣利⽤が多かったです。⾷品⼩売業や外⾷産業から排出される廃棄物は、衛⽣上飼料や肥料に不向きなものも多く、焼却・埋⽴等により処分される量が多いという結果になりました。

再生利用等実施率
平成30年度の食品廃棄物等多量発生事業者による食品循環資源の再生利用等実施率は、業種別にみると、食品製造業は95%、食品卸売業は62%、食品小売業は51%、外食産業は31%でした。
2024年度までに業種全体で達成すべき目標(食品製造業95%、食品卸売業75%、食品小売業60%、外食産業50%)と比較してみると、食品製造業以外の業種はまだ目標値に届いていないことがわかります。


食品ロスについてはSDGsの観点からもより削減が求められており、法律で食品関連事業者は食品廃棄物を減量化およびリサイクルが義務付けられています。しかし、食品リサイクルの対象となるものや報告書の作成がわかりづらく、なかなか取り組むのが難しいという声もあるようです。

様々なごみ問題を解決してきたエコ・ブレインでは、食品リサイクルについても取り組んでいますので、どんなごみの悩みも適切な解決方法をご提案いたします!リサイクルの判断基準から、指導基準・罰則までの流れをご説明し、お客様とご一緒に具体的な解決まで導きます。

食品リサイクルについてお困りの方、疑問がある方は、エコ・ブレインまでお問い合わせください!

(参考サイト)農林水産省:食品ロス・食品リサイクル(外部リンク)

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