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オリンピックは「環境保全」も大きなテーマ?

コラム

オリンピックは「環境保全」も大きなテーマ?

2021/07/07
2020年夏に開催が予定されていた東京オリンピック。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2021年へ延期とされ、とうとう今月の開催まで迫りました。

感染対策など様々な課題を抱えるオリンピックですが、「環境保全」も課題の一つとして挙げられています。会場跡地を有効に利用できなかったり、五輪開催期間中に選手村や観客から出るごみが問題となったりと、過去のオリンピック・パラリンピック大会でも様々な環境問題が出ていました。そうして「環境保全」について考え、取り組むことは開催国だけでなく、選手団や観客たちにも求められるようになりました。

1992年、オリンピックにおいて地球を保護することが公約とされ、本格的な取り組みが始まりました。1994年には、「オリンピック憲章」に「環境」についての項目が加えられるなど、オリンピックにおいて「環境」は重要なテーマとされ続けているのです。

過去のオリンピックでの環境への取組

2012年ロンドン大会は「史上最も持続可能なオリンピック・パラリンピック」として、大きな成功を収めました。招致の段階から「オリンピック史上最も環境に配慮した大会」を目標とし、環境負荷の低減、生態系の保護などに取り組まれました。

自転車競技場「ベロドローム」は、”環境に配慮した競技場”として有名となりました。自転車が走るトラックにはシベリアマツが使われているのですが、これは持続可能な方法で生産されており、他の木材も含めてFSC(森林管理協議会)認証を取得しています。自然換気を利用したパッシブクーリング(受動的冷房)システムを備え、照競技場の照明には自然の太陽光を取り入れたり、さらには雨水を溜めて使用するシステムを設備し、水道使用量の70%削減に貢献しました。

また、大会の準備から運営、撤去に至るまで「廃棄物ゼロ」が目標とされました。特に注目を集めた、組み立て式のバスケットボールアリーナは、期間限定の仮設施設で、大会終了後に解体、場所を変えて何度も再利用できるように設計されました。このほかにも、環境に配慮するためのさまざまな工夫が凝らされた施設が建設されました。オリンピックパーク全体で使用された建設資材は、2008年北京大会の半分ほどだとも言われています。

観客に対しても、期間中、ごみの分別を呼びかけ、生ごみのコンポスト化やペットボトルのリサイクルなどが行われました。

東京2020オリンピックでの取り組み

東京2020オリンピックは、「Be better, together /より良い未来へ、ともに進もう。」をコンセプトとし、持続可能な社会の実現に向け、課題解決のモデルを国内外に示していくとされています。大目標の1つに「Zero Wasting(資源を一切ムダにしない)」を掲げ、サプライチェーン全体で資源をムダなく活用し、資源採取による森林破壊・土地の荒廃等と、廃棄による環境負荷をゼロをにすることを目指しています。

1)建設廃棄物等の再使用・再利用
選手村の整備については、全国の自治体から借用した国産木材を用いて建築し、大会後には解体した木材を返却、各地でレガシーとして活用するプロジェクト「日本の木材活用リレー~みんなで作る選手村ビレッジプラザ~」が立ち上げられました。これにより、環境負荷を低減し、持続可能性の実現が目指されました。ほか、新たに作る会場の建設廃棄物の再資源化・縮減率99%以上を目指し、持続可能性に配慮した会場整備が行われています。

2)リサイクル品からメダル、表彰台をつくる
約5,000個のメダルを国民の使用済み小型家電からつくる「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」で、都市に眠る金属「都市鉱山」を活用する循環型社会づくりに貢献します。また、家庭から出るプラスチック等を集めて表彰台をつくる「みんなの表彰台プロジェクト」により、使い捨てプラスチック活用の新しいモデルを国内外に発信します。

3)運営時廃棄物のリユース・リサイクル
大会に関わる一人ひとりの参加により、ごみと資源を適切に分別してリサイクルし、大会開催中に発生する廃棄物について質の高い資源循環を実現させます。そのため、競技会場では5分別(①プラスチック ②ペットボトル ③紙コップ・紙容器 ④飲み残し ⑤食べ残し/ティッシュ・割り箸・マスク等)を実施。きめ細かな分別により、大会運営時の廃棄物のリユース・リサイクル率65%を目指します。

4)調達物品の99%リユース・リサイクル
レンタル・リースや物品の再販を行うとともに、大会関係者が連携して物品の後利用を推進します。新たな物品の製造と廃棄物の発生を抑制し、環境負荷の低減を目指します。

過去大会から課題とされてきた、競技場や選手村などの後利用についてもそれぞれ計画が立てられています。
東京オリンピックの選手村は、大会終了後、一つの街として跡地を活用する事を前提につくられています。新技術を活用し多様な人々が快適に暮らし、水と緑に親しみや安らぎを感じられる街というコンセプトをもとに、民間業者と協力し一つの街ができる予定です。さらに環境にやさしい水素エネルギーや太陽光発電などが使用される見込みです。

東京都が新たに整備する恒久施設(新規恒久施設)は、アスリートを育成する場や総合的なスポーツ・レクリエーションの拠点として提供されるなど、各々で後利用の方向性が検討されています。

また、大会会場の来場者に対しても、使い捨てプラスチックの発生抑制や移動時のCO2排出量の抑制の協力を呼びかけています。
・航空機による移動時のCO₂削減:カーボンオフセット付の航空券などの活用
・公共交通機関の利用:原則、競技会場までの移動は、公共交通機関利用をお願い




2015年には、国連で17の目標、世界全体で取り組む「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められました。海洋プラスチックごみ問題や使用する天然資源および廃棄物量の増加など、世界が直面している「持続可能性」の課題は様々です。オリンピック・パラリンピックは、世界最大規模のスポーツイベントであり、その影響は環境・社会・経済に、また世界に及ぶことから、持続可能性に配慮した大会の準備・運営が求められます。

新型コロナ感染拡大という未曾有の事態の中での、オリンピック開催となりますが、開催中そして開催後も環境に配慮した、運営・整備が期待されます。そして、運営側のみならず、選手、観客も一丸となり、持続可能な大会の実現が目指されます。

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